@ 邑智郡美郷町では長年、イノシシの被害(獣害)に悩まされてきていました。稲や野菜の収穫期になるとイノシシが出没し、せっかく実った作物が台無しにさせられました。かつては「猟友会」(猟師の会)に頼んで駆除をしてもらっていました。しかし、農家は作物が育つ季節(夏〜秋)にイノシシを捕ってほしいのに、猟師は「イノシシに脂が乗る冬」に捕りたいのが本音です。なかなか本気になってもらえませんでした。
A そこで猟友会に頼ることを辞め、農家が「狩猟免許」を取り、わなを仕掛けることを始めました。この取組によってイノシシ被害がぐんと減り、取れる作物が増えました。そのうちに、捕獲したイノシシを使った産業を興そうと計画。肉の加工を手掛ける会社「おおち山くじら」を設立しました。名刺入れなどの革製品づくりも手がけました。この取組に可能性を感じた若者が、都会から「Iターン」で移住する流れも出てきました。農家の人は、「昔は憎かったイノシシが、今は神様です。」と喜んでおられます。
B 高齢者が団結して鳥獣被害を封じる美郷町の取組は、日本中の田舎に影響を与え始めています。近年は、全国各地から視察団が来るようにもなりました。嘉戸隆町長は「イノシシを活用して交流人口を広げ、獣害対策美郷を目指す。」と意気込んでいます。