@ 厚生労働省は、2020年に認知症患者数が630万人を超し、「65歳以上の高齢者の約7人に一人が認知症」と発表しました。そのため早期発見の方法、及び認知症への対策が喫緊の課題(差し迫った問題)となっています。認知症を診断するにはいくつか課題があります。何と言っても、診断する医師に専門的な知識や経験が必要です。また、診断を受ける患者には心理的負担がかかります。
A ところで、人工知能(AI)が認知機能の低下した患者と健常者(の顔写真を見分ける「認知症診断支援システム」を開発したと、東京大学医学部が研究成果を発表しました。発表によると、老化は全身的に進行するので、顔で判断する「見た目年齢」は余命(あと何年生きられるか?)・動脈硬化などの判断材料にもなるとのことです。今回発表された「認知症診断支援システム」は、患者と医師との5〜10分程度の会話から、認知機能障害の有無や重症度を判定。患者と医者、双方の負担を軽減し、認知症の早期発見が可能とのことです。
B 今回の研究は、千葉県柏市在住の高齢者を対象に、正面・無表情の顔写真を使い、認知機能低下を示す群(121名)と正常群(117名)の区別ができるかどうかについて調査・研究が行われました。その結果、92%という高い正答率が得られました。一方、「顔のどの部分」で正答率が得られるかの調査・研究も行われました。結果、顔を上下で分けて解析した場合、顔の下半分の方が少し良い成績を示したとのことです。