ハーフ
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授業対象=中学校1年生
実施=2019.7.11


2019.7.15


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全体像


教材


@ 日本で暮らす外国人が増えるにつれ、日本に定住する外国人が増えてきています。それに伴って「ハーフ」(日本人と外国人との間に産まれた子)が近年の統計によると、新生児の50人に1人。年間約2万人ずつ増えています。テニスの大坂なおみ、陸上競技のサニブラウンやケンブリッジ飛鳥、野球のダルビッシュ有、女優の滝川クリステルなど、有名な人も大勢います。

A しかし、ハーフの人たちにとって、顔立ちなどが理由で不愉快な思いをすることも少なくないと言います。役所に印鑑証明を取りに行って窓口に並んでいたら、係の人に「外国人登録書の窓口はあちらですよ」と言われたり、日本語で話しかけても英語が返ってきたり、初対面なのに両親の出会いを聞かれたり、日本育ちなのに「日本語、お上手ですね」と言われたり、……。

B もともとハーフは「混血児」と呼ばれていました。2004年、朝日新聞社は「混血児という表現は避ける」と発表しました。理由は、「混血」は「純血」との対比で使われており、「混血児」は差別的に使われている、というのがその理由です。これに替わって使われ始めたのが「ハーフ」なのです。1970年代、ドリフターズの番組に出演して人気を博した「ゴールデン・ハーフ」というアイドルグループ(ハーフの女性アイドル4人組)の登場によって使われ始めました。現在では「混血児」という言葉は使われていません。

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合計20分〜23分扱い

  図式化(個人学習)8分 

  ⇒4人グループ(相互プレゼン;40秒×3セット) 

  ⇒全体代表プレゼン(計4人;4分)

  =合計時間 20分+アルファ






この教材を使った学習
25分間


  8分……自学(持ち出す教材は4種類@ABC、教材の文章を図式化)
  6分……4人グループ「(1対1)×3セット」で相互プレゼン
  第1セット=@とA、BとC(プレゼン時間は40秒×2)
  第2セット=@とB、AとC(プレゼン時間は40秒×2)
  第3セット=@とC、AとB(プレゼン時間は40秒×2)
  6分……全体プレゼン(@ABC、それぞれ代表者1名ずつがプレゼン)

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10分間
聞き取り ⇒再現(プレゼン)


  メモ(図式)を取りながら聞き取り  ……2人ペア(相互に再現)
                     ……代表者による全体プレゼン(1名)
               
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テーマ
勉強はなぜするのか?








自分の意見を図式にしよう!

テーマ
〜自分が家庭で今以上に勉強するには?〜

実態としては
家庭学習は
全体的には十分とは言えない実態にあります。
自らの家庭学習を見つめてもらいます。


  意見を図式でまとめる
   (1) 3分 自分の意見を図式化する。文章で書かない。
   (2) 2分 2人ペア(交互にプレゼンし合う) 30秒×2
   (3) 7分 時間の残される限り、一人ずつ「全体プレゼン」

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これぞ
「総合的な学習の時間」で
求められている学力です。
情報を鵜呑みにするのではなく
批判的精神を持って反論する。
その向こうに
自分らしい「持論」が見えてきます。



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指導者が
スピーチ用に書いた図式



スピーチの概要


 「勉強」という言葉は、大昔の中国で使われ始めました。「勉強」はもともと中国語です。漢字の字義(もともとの意味)は、「勉」は「勉める」(頑張る・努力する)です。「免」はお産する様子(分娩)から出来た漢字です。もともと苦しい、辛いという意味が含まれています。

 「強」は「強い」という意味の他に、「強いる」(無理やりさせる)という意味があります。

 したがって、「勉強」という言葉が産み出された初めから「辛く苦しいこと」「無理やりやらされること」という、あまりイメージ的にはよくない言葉です。 ……皆さんにとって「勉強」のイメージはどうですか?

 しかし辛く苦しい一面があるから、勉強は価値があるとも言えます。「さまざまな誘惑や怠け心に打ち勝って勉強に立ち向かう」体験を積み重ねることを通して、人は立派な「人間」に成長していきます。教養や人間力を高めていきます。

 もう一つ、確かに勉強は辛い一面はありますが、それを乗り越える体験を通して「分かった!」「出来るようになった!」という大きな喜びを得ることが出来るのです。それは、実に気高い深い人間的な喜びです。

 もう一つ、勉強を頑張ったら成績が伸びます。そうしたら自分にとって、嬉しくありがたいことがあります。将来の職業選択の幅が広がります。入学試験・就職試験など、世の中にはさまざまな「試験」があります。成績が良ければ良いほど、選べる幅が広がります。自分の未来を切り拓く、と言ってもいいと思います。

 最後に人類全体にとって勉強(学ぶこと・研究すること)は、どんな意味があるかを言います。それは「魔法の国を造る」ということです。

 例えば江戸時代の人にとって、テレビ・エアコン・飛行機・自動車・スマホ・冷蔵庫・ドローンなどなど目の前に見せられたら、どんなに驚くでしょう??? ……人類は勉強を土台にして、一つ一つ夢を実現し、(昔の人から見たら)魔法の国を造ってきているのです。

 特に近年は科学技術の進歩は、驚くべきスピードです。近い将来、ロボットが農作業をしたり、料理を作ったり、診療をして薬を処方したり、高齢者の介護をしたり、……という時代が来るかもしれません。

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自分の考えを図式化する


 続いて、「小学校5年生の弟が、まったく家庭で勉強しません。兄(姉)として、どのように対応したらいいでしょうか? 対策を考えてください。

 ただし、作文してはいけません。浮かんだアイデアに関するキーワードを記録し、図式化しましょう。

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弟が勉強するようにする方策は?


 生徒は、さまざまな考えを発表してくれました。例えば……

 勉強が終わったら好きなことをしてもいいことにする。
 勉強はなぜ必要か、話す。
 一緒に勉強する。
 分からないところを教えてやる。
 優しく励ます。
 ご褒美を準備する。(一緒に遊ぶ・おやつ・ゲームなど)
 頑張ったらほめる。できたら褒める。
 親からも褒めてもらう。
 やらなかったらゲームを取り上げる。
 やらなかったら親に叱ってもらう。

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生徒の図式「方策」

図式化する時間=3分









図式化しながら思考をめぐらす


 要約学習におけるポイントは、これらの意見を図式化することです。日頃の生活の中でも、スピーチやディスカッションの機会は沢山あります。その機会に作文するのではなく、図式にしながら思考をめぐらせると、ぐんと労力が軽減されます。

 また、短時間で思考を巡らしたりまとめたりが可能になります。発表の際には、下を向いて書いた文章を朗読することがありません。発表のしあいではなく、話し合いのスタイルに近づきます。

 浮かんだキーワードをポンっと書き留め、次の浮かんだ言葉(考え)と関連があったら、矢印で結んだり枠で囲ったりします。実に単純明快です。

 実際、授業では自分の考えを図式化する時間は、たった3分です。子ども達の大半はこの時間で3つはアイデアをメモすることが出来ました。なお、プレゼン(自分の考えを話す)は、30秒間を設定しました。

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教養を高める


 「勉強はなぜ必要か」についての回答(解答)は、今回の私のプレゼンがすべてではありません。また、説明不足の部分もあります。しかし、プレゼン時間は7分以内としています。とりあえずという腹積もりで語りかけました。

 世の中には、さまざまな人がいることは確かです。せっかく高い成績を上げ、それなりの地位に就いても、身に付けてきた「知恵」を良からぬことに使う人もいます。学問イクオール「教養」「人格」(素直さ、謙虚さ、優しさ、純粋さ、品のよさなど)とならない例外もあります。

 せっかく培った知恵を、高齢者ターゲットの詐欺など様々な犯罪に使ったり、汚職に使ったり、人を陥れることに使ったり、……。ですから勉強を頑張ること(学問を納めること)は、そのまま必ずしも「教養」とはなり得ないところが悲しい現実です。

 とりわけ学業成績がよい人は、より影響力が大きい立場で仕事をしたり、振る舞ったりする可能性が高いのが、今の世の中です。ですから学業に優れている人は、より自らを律する能力、豊かな人間性が求められています。

 そういう意味で学校教育では古来、「知育」「徳育」「体育」の3つがバランスよく備わるよう配慮しつつ、全人教育が行われてきています。勉強と聞くと学業成績だけを思い浮かべ勝ちですが、そうではないという点について、今回の要約学習(授業)では深入りしませんでした。

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生涯学習の観点から


 平成4年度の学習指導要領改訂から、「新しい学力観」「生涯学習」が強調されるようになりました。学校を卒業したら、勉強(学習)は終わりではありません。社会や科学技術の進展は日進月歩、目覚ましいものがあります。インターネットが普及して、情報が乱れ飛ぶようにもなっています。こういう社会情勢を背景に日々、(学校を卒業してからも)学び続ける必要があります。

 子ども達には、情報収集の方法、情報のまとめ方、自分なりの考えを幅広い視点からまとめる方法、自分の考えをプレゼンする方法を、学校教育を通して身に付けていってほしいと、強く願っています。要約学習の研修会や授業に出掛けるときは、このことを自らに強く言い聞かせている私です。

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