短歌の作品 家族 . |
2015年5月、母が脳出血で、一ヶ月余り意識不明で生死を漂っているときに生まれた詠草。
初春におめでとうとも言えなくてただ見つめをり伏す母の眼を 梅が香に娘の笑顔卒業すいざ歩み出せ看護への道 介護五の母に連れ添う秋祭り逢ふ人ごとに涙ながしぬ 病床に米寿を祝う花あふれ今のみを生く母笑みてあり 花嫁はいつも通りに微笑みて交わす祝杯天高き日に 梅雨晴れてじいじと呼ぶ児のシャボン追ふ後ろ姿を吾追ひかけり きょうもまたじいちゃんあそぼとかけてきてぷにぷにほっぺをくっつけてくる 見舞ひたる叔母との会話弾めども数分前のこと消え去れり…… 胴巻きと腹部を病める母なれば意識の底で伝えたらむか 悔やまんか脳出血に倒れたる母に胃ろうの決意したるを ただにただぢっと虚空を見つめをる母を見舞ひて年改まる うららかに春立ち上る陽ざし受け笑顔残して孫ら去りゆく 水底にぢっと身を置き静まれる父の形見の年老ひし鯉 餌をやれば身をひるがえしゆるゆると近づき来たる亡父の鯉よ 餌を持てばそれと察して近寄りて目を合わせたる亡き父の鯉 縁側に立てば目合わせひるがえり近寄りてくる亡き父の鯉 秋の陽をあまた載せたる雲流れお花畑の孫娘去る 2022.12.25〜2023.1.13 次男が孫2人をつれて長野から帰省。そのときの詠草です。 ![]()
2023.04 2023.4.1〜4.9 育休中の長女が孫2人を連れて広島から帰省。そのときの詠草です。 ![]()
問ひかけに目合はぬ母のうつろなる心に届けひ孫の笑顔 母にまだ心に形あれかしと言葉束ねて語りかけたり 2023.06 5月11日、父の7人兄弟のうち4番目の叔母(95歳)が天に召されました。
じいちゃんの顔が見たいって頼んだの! ラインが動く笑顔届ける うららけく陽の当たりたる池の面に亡父の鯉の餌をパクつけり 秋の日の光に跳ねる池のコイ水面を揺らしまた静まれり
のど渇き声枯れたれど読み聞かせしたる周りにひしめく孫ら とてぽてと危うい歩み見せながら顔中笑顔で寄り来たる孫
2024.08 片言で話しかけたる幼子の吾の手引き寄せワンワンそそる 2025.2 孫くれし手紙の文字が難解で感動までの宇宙空間 |