短歌の作品 四季折々 . |
いつしかに吹雪く夕べとなりにけり吾が生かされて過ぐる年月 いつしかに吹雪く夕べとなりにけり凍れる池に静まれるコイ 降りしきる雪また雪雪どんどんと跳ばす雪さえ顔を襲えり 粉雪が天を揺るがし襲い来て除雪車の音闇をつんざけり 天を駆け梢をくぐり舞い乱れ落ちて地に消ゆ雪の花びら 要約の授業なし終え仰ぎたる雪の彼方に青き空見ゆ 冬去りぬ 春風のごとく寄り添へる愛犬 山の残雪を蹴る 山道にしぶとく残る固雪を蹴散らし走れば犬も弾めり 冬の陽をあまた載せたる屋根沿いに木枯らし木の葉飛ばして過ぎる 透明の空に雪雲わき立ちて白き妖精舞ひ降りてくる 雪の上にぽたりと夜が落ちてきて白き妖精ほろほろ舞へる 冬の陽をわずか載せたる山沿ひの空よりむわり雪の大軍 音もなく静かに時は過ぎゆきてもくもくもくと年暮れんとす 仰ぎたる空一面に粉雪の踊り来たりて冬舞い戻る 琴引の高くそびえて明らけし雲ゆうゆうとその上をゆく 夕焼けに砕け漂ふ露天湯のゆらぎなつかし吾これにあり イノシシのぬたくりし跡ぼこぼこになりて偲ばむ天地万象 軽トラの荷台にどさりとイノシシの抜け殻ありてすれ違ゐたり 仰ぎたる空一面に粉雪の踊り来たりて年替はりゆく 底冷えにとどろく除雪機ギアを上げ攻め来る雪を蹴とばし進む 粉雪が呼吸のやうに舞ひ降りて色なき盆地を白く染めたり たまゆらの冬の落日ひそやかに凍てつく峰を赤く染めたり 夕闇の凍てつく池にひっそりと真鯉孤独に動くともなし ぽつねんと冬の光を浴びながら枯れ葉落として裸イチジク 木枯らしが空を鳴らして吹き乱し雪の嵐を呼び込まんとす イチジクは冬の光を浴びながら枯れ葉落としてぽつねんと立つ しばらくはためらふごとく雪舞ひて吹雪く夕べとなりて暮れゆく 2024.12 はらはらと我が身は散りて腐葉土になりて次代へエール送らむ 2024.12 年の瀬は朝から冷気垂れ込めて狭庭の隅に濡れ落ち葉積む 2024.12 暗闇に目輝かせカリカリと響くネズミの壁かじる音 2024.12 日暮るれば重き空気に閉ざされて赤名盆地に年の瀬迫る 2024.12 陽落つれば青き夕闇せまり来て冬の底冷え身にまとう我 2024.12 冬の陽にわが影長く伸びゆきて七等身に見ゆるおかしさ 2025.1 青空を見るといふより浴びてゐる大寒過ぎの雪国の冬 2025.1 新しき日記に文字を書くやうに雪の山道ふみつけ走る 2025.1 青空を吸い込むやうに深呼吸いざ雪道へ犬と飛び出す 2025.1 真冬でも早春のごとふっくらとした陽ざし浴び山道走る 2025.2 陽は照れど空よりガラス砕け散り夜は深沈と氷りつきたり 2025.2 撫づるごと風の過ぎゆく池の面に冬の光のたゆたひてをり 2025.2 清らかに冷ゑし空気に身を委ねひたひたひたと舗道を走る 2025.2 玄関のドアを開ければ突き刺さるやうな冷気が我が身を襲う 2025.02 バサバと天より雪の舞い落ちて一瞬のうち雪国と化す 2025.2 バサバサと天より雪の舞ひ落ちて生産性のなき労始む 2025.2 温泉の没我の耳に聞こえ来る果つることなき湧き出す話題 |