短歌の作品
四季折々

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山麓のミニコンサートほのぼのと秋風に乗り揺れて漂ふ

夕闇がかぶさるやうに落ちかかる山道ぬけむと犬も急げり

要約の教材づくりカメムシの羽音に乱れ遅々と進まず

朝日浴び霜の模様に凍てつける落ち葉踏み踏み師走を歩く

台風の襲ひし林道荒るる道杉葉のじゅうたん踏み踏み歩く

風わたるきんたの里の露天湯に赤茶けた葉のまろぶを見たる

初雪の上に木の葉の散り敷きてゆく秋惜しむ風の音聞く

朝日浴び霜の模様に凍てつける落ち葉踏み踏み師走を歩く
雲ほどけゆく秋空にゆうゆうと烏の飛びて夕暮れていく

音もなく還らぬ日々の浮かび来てロウソクの火をそっともみ消す

秋風が呼吸のやうに吹き過ぐる森を駆け抜け犬と戯る

はやしこも露店も見えぬ秋祭りにコロナ無縁の苅田のカラス

さわさわと風わたり吹く山道に命終へんとなくセミの声

夕暮れる雲を仰ぎて浸かる湯にさざ波空を刻みて寄せる

夕焼けに流るる雲を仰ぎつつ露天に歪む夕日を浴びる

ゆく水の整う音の静かなり耳傾けてゐる黄金こがねの稲穂

唱和せし読経の声の轟とどろける寺院の屋根に秋の雲垂る

秋の陽をあまた載せたる雲流れつるべ落としとなりて暮れゆく
秋の陽をあまた載せたる茜雲あかねぐも夏の想い出抱きて暮れる
秋の陽をあまた載せたる雲流れ実りの香り漂いてをり

窓外を打ち始めたる雨音に秋の訪れふと忍び寄る

大空をキャンバスにして描きたる秋の雲愛めで行く末見つむ

秋空を愛めでる余裕の昼下がりダイナミックな雲の芸術

窓を打つ風の音にも剥はがすよに一ひら一ひら秋の深まり

苛立ちも澄み広がれる秋空の風無き碧あおに吸ひ込まれゆく

たをやかに吊されし柿よ縁側に光り浴びつつ秋うらら

かさこそと葉落とせどもイチジクの実は熟させて秋更けてゆく

山道に舞い飛ぶ枯葉け散らして走れ愛犬夕日が沈む!
山道に舞い飛ぶ枯葉け散らして走れ愛犬! 夕日が沈む

うららけく陽の当たりたる池の面もに亡父の鯉の餌をパクつけり

撫づるごと風の過ぎ去る池の面もに枯れ葉ひらりと落ちて漂ふ

陽の落ちて刈田に遊ぶカラスらもめいめい空へと飛び去りゆきぬ
陽の落ちて未だ明るき刈田には苦戦したるかコンバインの痕

霜月もあれよあれよと過ぎ去りて黄昏たそがればかり寂しきはなし

深沈しんちんと秋の夜更けて底深き暗がり森へと吸ひ込まれゆく

冬近し月伴ひて冴え冴えと歩む彼方に琴引の山

見晴るかす刈田の続くその果てにひときわ高き琴引の山

2024.09 森の道に引かかるやうにセミの声響きて木の葉秋風に落つ

2024.09 唐突に秋がストンと落ちてきてつるべ落としになりて暮れゆく
2024.09 唐突に秋がストンと落ちてきてつるべ落としに夕暮れていく

2024.09 ようやっと残暑居すわる高原に秋の空気の動き始める
2024.09 いい加減残暑居すわる高原に秋の空気が動き始める
2024.09 透明な秋の空気が駆け上り青い海原天に広がる
2024.09 ひんやりと空から秋が舞ひ降りて布団干場の向日葵の花

2024.10 目を細め小雨の中をひた走る行く手にカラスきょとんと立てり

2024.10 はらはらと散りたる枯れ葉秋風に舞い上げられて転ばされをり
2024.10 とうめいな空にいつしか雲生まれ涼しげに舞う刈田のトンボ
2024.10 いつしかに秋の景色となりゆきてイチジク庭にカサコソ鳴れり


2024.10 山道にアケビが一つほおばれば幼き香り胸にわきくる

2024.10 ドントトト秋の陽ざしに包まれて賑わう神社「はやしこ」の音