短歌の作品 四季折々 . |
ぎんぎんと降り注ぎたる紫外線眼に刺さるよに梅雨の明けたり どんよりとくぐもる景色の野を駆けて七月の風森に消えゆく 山脈を刻みて寄せる夕闇にふと足を止め夏を見上げる 立ち上る草焼き辺りの青煙景色乱して雲にまぎれり むんむんと重たき空気押し分けて走る木立に梅雨明け近し 山脈を刻みて寄せる夕闇にふと足を止め夏を見上げる 悄然と命終へんか蝉の声ただ佇みて夏を見上げる さわさわと風わたり吹く山道に命終へんと鳴くセミの声 歩むごと水音立てて我先にどぼどぼどぼと飛び込むカエル 雷鳴に耳の開きて目覚むれば遠く近くにのたうち鳴れり 雷鳴はまだ明けやらぬ天を駆け遠く近くにのたうち鳴れり いつしかにおぼろ月夜となりにけり天に広がる猛暑の名残 とろとろと眠りおぼろにまた眠る午睡の耳に夏漂へり 恥ぢらひてうつむきたるか向日葵に被さるやうに秋ゼミの鳴く 五月晴れほうとふくらむ鯉幟くくくと回る矢車の音 鯉幟ほうとふくらみはためきて空いっぱいに光あふるる 鯉幟ほうとふくらみあざやけし くたとしなびて休みたるなり 森を駆け田面に遊び舞い上がり熱暑ふりまく7月の風 きょうもまた走る悦び炎熱も桜並木の日陰伝ひに この年で初体験の盆踊り手足ぎくしゃく操り人形 透明の空にいつしか雲生まれにわかに乱れ滝落としたり 思い切り燃ゆる夕陽に飛び込まむ明日への渇き身に浴びなむと 2024.07 花びらは仕舞い色なり夕暮れて空を見つめて黙してゐたり 2024.07 短か夜の浅き眠りにたゆたひて夢とうつつを行きつ戻りつ 2024.07 裏山の影の庭先まで伸びて早苗田沿いに日の暮れてゆく 2024.08 セミの声をまとひて走る山道にリンリンリンとクマ鈴響く |