短歌の作品
四季折々

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空色に空ひろがりて今ここに卒業すなりまなじり上げて

るんるんと新入生のランドセル揺らす背中に花びら舞へり

花びらに季節はずれの雪降りて新入生が家路を急ぐ

陽光の風にあおられ舞ひ上がる花びらひらひら春盛り上がる

色の無き赤名盆地に東風(こち吹きて花粉とりまぜ春の香運ぶ

花桃の咲きてにぎはふ川角(かいずみの里に春の陽なよやかに揺れ

山里にたどたどしくも鶯の声のわたりて春咲かんとす

春色に野山も空も色づきて露天に(かり鳥の声聴く

山道にしぶとく残る固雪を蹴散らし走れば犬も弾めり

ゆらゆらと景色を刻む露天の湯ゆらぐ水面(みなもに春の雲行く

ぽっぽっと冬を堪えたる枝に沿ひ春が来たよと桜花咲く

花の色は移りにけれど今しとき春らんまんに散りゆくを見よ

花桃の咲き広がれる丘に立ち来し方臨む天空
(あお

野球部の声を載せたる風受けて桜散り敷く川土手走る

白鷺の今耕せる田に降りて虫探せるかひょこひょこ歩む

群スズメ葉桜の樹に隠れ居て羽音とともに霧散し去れり


大いなる光あまねく広がりて残雪あはれ春に溶けゆく

山々の春たちまちに慌ただしまだらに白き山肌の雪

春雨やガラスに沿ひて滴垂れあはれ涙の止めどなく見ゆ

かなしみは明るさゆえに極まりてその現実を両手でかしずく

今年もや別れの季節巡り来て春来る空に霞かからむ


高原の春たちまちにあわただし草木萌え立ち山盛り上がる

うらうらと桜花さく川土手にくるめくばかり春の光よ

見上げたる空に花びらゆらるらと風吹くときに幹あざやけし

見て見てと花みな笑顔ふりまきて人その下に夢育まん

陽を浴びて色あたたかにフキノトウ土手のあたりにほつほつ群れる

散る花のうへにまた散る桜花けぶれるほどにふぶく花びら

きらきらとただきらきらと波打てる露天の水面を春の雲ゆく


むらむらと盛り上がりたる山腹にぽつんと白き山桜花

夕映えが空赤らかに染めぬきて身震いしたる山々の樹

むらむらと盛り上がりたる川土手に夕日くだけてきらめき流る

青空を二つに断ちて伸びゆける雲の彼方に機影輝く

凛然(りんぜんと春が氷を滑り来て狭庭(さにわの雪にぶつかり消える

里山に光さやけく広がりて群雀飛び春は親しき

残雪のまだらに残る山道を駆けろ愛犬 春を取り込め

倒されて押しつぶされし群竹のむっくり(てり雪解けの池

たちまちに山盛り上がる大空をおほふばかりに春のあけぼの

たちまちにこぼれてにほふ桜花あすは散る身の惜しからざりし

さくらさくらさくらさくらとさくら咲きハラハラハラリハラハラと散る


川音はさるるぴるぽるぽんぽちゃんどぶんどぶんと春を奏でる

ゆうれいみたいほら見てごらんおじいちゃん枝垂(しだれ桜も花びら散らす

山道に貼り付く落ち葉踏みつけて走るそばから春立ち上がる

耳を切る風冷たくもそこここに湧き上がりくる春の足音


春立てば脳裏を(ぎるあのメロディ思えばいと(しこの年月(としつき……

一面に霜降りたれど春立てる霞の空に光あまねし

見上ぐれば楚々たる春の光の中に日輪(にちりん でんと天空(べる

愛犬も大きく伸びして眼を細む 楚々たる春の光の中に

物憂げに雲垂れ下がり綿雪のしとど降りたる彼岸中日


青空に卯月ついたち包まれて朝の空気の動き始める

立ち止まりまた振り返り見るサクラあと幾度(いくたびか君に出会はむ

土手沿ひにさくらさくらと咲き乱れ道行く人を立ち止まらせる

土手桜どうだとばかり胸を張りふところ広げそっくり返る


わいわいとまるで相談したやうに辺りの桜いっせいに咲く

道沿いに龍のごとくに咲き登るさくらさくらと木霊(こだまをのこし

葉桜の木洩れ日風に乱されて緑の光みどりの香り

音の無き戦闘機のごと早苗田をツィースィーとツバメクラメ飛ぶ

早苗田にスズメひらひら舞い降りてツーと横切りツバクラメ飛ぶ

のっけから梅雨の末期のごとく荒れ小枝散り敷く山路に風鳴る

里山に梅雨空すっぽり被さりて山の峯々統べて雨降る

紫陽花を活けてチョロチョロ注ぐ水壺に響きて梅雨の音立つ


2023.07 炎熱を和らげ冷ます山道は葉陰も涼しゆるり走ろう

2024.07 たたなづく夕雲空をあかく染めサウナのごときひと日暮れゆく


2025.03 しとしとと雪の景色をけぶらせてしみじみと降る三月の雨
2025.03 しとしとと雪の景色をくゆらせて三月の雨しみじみと降る


2025.03 また降るか積もりたる雪その上に淡雪の降るはらはらと降る

2025.03 残雪の覆ふ野山に風遊びときおり春の流るるを見る

2025.03 べた凪にゆるりと沈みゆく夕日ぷつんと消えて広がる闇夜
2025.03 半熟の卵のごとき姿して彼方に夕日落ちたり


2025.03 ゆふらりと燃ゆるかげろふ雪解けの野山を揺らし春を招かむ

2025.03 やはらかに春の光の満ち満ちてまだらに残る雪を包めり


2025.03 空に満つ春の光に包まれて咲かむとすなり湖岸の桜
2025.03 うららかに陽の光満つ宍道湖に花冷えの風ふくらみて吹く
2025.03 静かなる春うらうらとたなびきてもやの彼方に嫁が島見ゆ
2025.03 宍道湖にさざ波立てて駆け抜ける風の行方を眺めてをりぬ

2025.03 地を這ひて舞い上がりたる春風の花さか爺を呼び寄せむとす

2025.04 寒い冬何処で越したかカメムシの窓に貼りつき春を憩へり

2025.04 うららかな春の陽を受け池の草むくむく起きて天に背伸びす  
2025.04 むくむくと頭もたげて立ち上がる池のほとりの倒れし草木

2025.04 ふるふると風に揺れたるフキノトウ浅黄色して春を告げをり
2025.04 ほくほくとフキノトウ味噌食すれば春の香りが口に広がる