短歌の作品
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題材別
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2023年の短歌



 2023.12 たまゆらの冬の落日ひそやかに凍てつく峰を赤く染めたり

 「秋の日はつるべ落とし」という言いますが、12月の夕暮れも同じです。最近の日没時刻は5時前、一年中でいちばん早い時刻となっています。日が沈むと、あっという間に真っ暗になります。いよいよ、赤来高原の山を白く染め始める年末がやって来ます……。
 ※ たまゆらの = ほんのわずかの間

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 2023.12 夕闇の凍てつく池にひっそりと真鯉孤独に動くともなし

 亡き父の形見、池の鯉も一匹を残すのみとなっています。ここ数日、エサをやっても緩慢な動きで、一口二口食べるのみとなりました。そろそろエサやりも来春までお預けです。それにしても、たった一匹になってほんとうに寂しそうなかわいそうな真鯉です。

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 2023.12 ぽつねんと冬の光を浴びながら枯れ葉落として裸イチジク
 2023.12 イチジクは冬の光を浴びながら枯れ葉落としてぽつねんと立つ

 今年も、連日のごとく美味しい実を恵み続けてくれた、我が家のイチジクの木です。寒くなると共に、みる間に大きな枯れ葉を散り落として、真っ裸になりました。まさにぽつんと老木……です。その姿に我が身を重ねつつ、物思いにふけることのある私です。

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 2023.12 木枯らしが空を鳴らして吹き乱し雪の嵐を呼び込まんとす

 12月16日は前日(10月の暖かさ)とうってかわって、北風がビュンビュン吹き荒れる真冬の天気となりました。家の中にいても、震え上がるような音がひっきりなしに響いています。

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 2023.11 冬近し月伴ひて冴え冴えと歩む彼方に琴引の山

 またまた琴引山です。11月23日、久々の忘年会がありました。見上げる空に、煌々と月が夕空を照らしていました。この2日後には、視野の中で木星が月に大接近とやら……。それにしても、寒暖を繰り返しながら、空気は冬の到来を告げています。その向こうで、冬よどんと来い! というように、琴引山がどっしりと鎮座していました。

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 2023.11 見晴るかす刈田の続くその果てにひときわ高き琴引の山

                

 山陰合同銀行赤名出張所に、奥の間があります。ここで時間がかかるお客さんの対応をされます。久し振りに、その部屋に通されました。すると! 壁面に赤名盆地から眺める琴引山の見事な写真(額)が飾ってありました。その惚れ惚れする光景に、ふと浮かんできた短歌です。

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 2023.11 子ども等の一途に目澄ます瞳あび声いちだんと「図式」伝へむ

 2023.11 要約の授業なし終へ心地よき疲れ抱きて秋うらら

 2023.11 要約の授業なし終へ心地よき疲れ抱きて秋空高し

 要約学習は今や、私のライフワーク(一生をかけた第一の仕事)とも言えます。私の脳裏にあるのは「どうか私の体を使って(図式を伝授させて)ください。」という一途な思いあるのみです「秋うらら」とは、 秋晴れの心地よい気候でのどかな様子を表現しました。ちなみに、この短歌は心情を表す結句が、未完成のママです。結句の候補としては、「すじ雲高し」「秋広がれり」「秋漂へり」「秋にとびこむ」など。

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 2023.11 霜月もあれよあれよと過ぎ去りて黄昏(たそがればかり寂しきはなし

 2023.11 深沈(しんちんと秋の夜更けて底深き暗がり森へと吸ひ込まれゆく

 「光陰矢のごとし」とはよく言ったものです。暑い暑いとあいさつ代わりの夏が過ぎ、いつまで経っても夏が去らず、代わる代わる秋が来て、……ふと気が付いたら11月も半ばです。「秋の日はつるべ落とし」の言葉どおり、日が沈むと一気に夜が迫ってきます[深沈(しんちん)と=深く静かな様子]★★★どうも秋は好きになれない季節です。

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 2023.10 大学時代「硬式テニス部同窓会(同期生会)」が、小豆島でありました。               


べた凪を切り裂き進む瀬戸内のフェリーの穂先に小豆島見ゆ

集ひたる(よわひ重ねし同窓の仲間の老ひに吾の老ひ見ゆ

同窓の集ひの話題いつの間に行き着くところ老ひと健康

寒霞渓に吐く息のごと雲動き紅葉の色に秋深まれり

憂きことはしばし忘れて寒霞渓ながめたたずむ瀬戸のべた凪

絶壁に貼りつくごとく造られし寺院見上げて心あらたか

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 先週は大学時代の同窓会(教育学部:中学課程)が松江でありました。今週はテニス部です。どちらも幹事役として参加。天気にも恵まれ、何とか役目を終えることが出来ました。上の短歌は、テニス部です。卒業後、コロナ禍も含めて幹事を交代しながら、一度も欠けることなく毎年実施し続けているという、実に強靱な同窓会です。
 しかし、ここ3年〜4年、自身や伴侶の病気のため出席者が減りつつあります。もともとは男子8名、女子4名の同窓会でした。女性は結婚前後から不参加。その後、家族ぐるみの参加の時期を経て数年前、一人が天に召されました。 ⇒ 今年は3夫婦(6人)と1人の、合計7人の集いまで減ってしまいました……。

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 2023.10 陽の落ちて刈田に遊ぶカラスらもめいめい空へと飛び去りゆきぬ

 2023.10 陽の落ちて未だ明るき刈田には苦戦したるかコンバインの痕

 「秋の日はつるべ落とし」と言いますが、日が沈むとあっけなく景色が暗闇に沈んでしまいます。落ち穂があるのでしょうか、田んぼのあちこちにカラスが憩っていましたが、日暮れ前になるとめいめいが山の方へと飛び去っていきました。
 後には、ところどころ泥をくねくねにかき混ぜた痕も残る、刈田が視界に広がって見えます。今年の9月〜10月初旬は天候不順だったため、稲刈りが延び延びになったという声を何度も聞きました……。

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 2023.10 他界した父が遺したコイ3匹、また一匹が息絶えました。残るは一匹。               


亡き父の遺せしコイの息絶へて水底に揺れ秋の風吹く

水底に命終へたる白コイのずしりと重しすくひ上ぐれば

すくひ上げ池のほとりの一角に静かに埋めむ父の化身を

手を合わせ般若心経唱へれば涙あふれて止まらざるなり

眺むれば真鯉寂しく池にゐて水を揺らしてお弔ひする

撫づるごと風の過ぎ去る池の(に枯れ葉ひらりと落ちて漂ふ

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 2023.09 秋の日の光に跳ねる池のコイ水面(みなもを揺らしまた静まれり 
                              

 我が家の池には約40センチの鯉が2匹棲んでいます。18年前に他界した亡父が可愛がっていた(形見の)コイです。浮き餌をやると、2匹が絡まり合うようにゴボゴボ・ゴボゴボッと豪快に食べまくります。すると4匹〜5匹(どこから舞い込んだか不明な灰色の魚[10センチぐらい])が、隙間を狙うように、下から一気に泳ぎ上がって「パカッ」と一粒をさらって、また岩陰に隠れます。餌をやるたびに、しばらくは池の光景を眺めている私です。

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 2023.09 名を呼べば寄りくる犬の尾を振りて吾を見つめる瞳清らか
 2023.09 朝食を食べてくれよと見つめれば瞳落としてクゥと鳴くなり……

 愛犬(ラブラドールレトリバー:黒:11歳:メス)の賢いことと、性格の清らかさは、いつも私の心を癒してくれています。日課の山中ランニングも、リード無しで伴走してくれます。これまで、愛犬を詠った短歌をたくさん残してきていますが、……懸念材料、平均寿命(14歳?)が刻々と近づきつつあります。ここ2〜3ヶ月、朝食を食べなくなってしまっている、愛すべき愛犬です……。


 ほほゆるむ ももと名付けし わが子犬 家族になる日 指折り数え

 なでなでし 目を見合わせて 頬ずりし つい抱きしめる わが子犬かな

 わが子犬 「もも」との散歩も はや四日 額の汗に 夕日が光る

 おやつ見せ 待てっ!の声に 溜めつくり よしっ!の声待つ 健気な瞳

 散歩中 うんこスポット たどり着き 力む姿は 愛しさ満点

 実現す 「もも」と一緒に ランニング ペースを落とし 肩を並べて

 忘れまじ 不平も言わぬ 子犬「もも」 避妊手術も けろりと過ごす

 「もも」連れて 稲穂の実る 散歩道 ふと足を止め 秋の香を嗅ぐ

 初体験 まず立ち止り 少し食べ しっぽ振り振り 初雪ダッシュ

 べちゃ雪の攻め来る道をひた走る吾を招くよにイヌは尾立てり

 愛犬ときょうも走れり沈みゆく夕日を浴びて炎暑を連れて

 愛犬と燃ゆる空気を押し分けて走る木陰にセミの声聞く

 枯葉踏みイヌと走れる山道に沈む夕日と刻を争ふ

 えいえいと山の坂道愛犬と走る木立にクマ鈴響く

 リード外し小雪の中をももと行く寄り添う心道連れにして

 わだちにも雑草青し木漏れ日を尾に振り回し蹴散らし駆ける

 しぐれ来てまたしぐれ来て山道を抜きつ抜かれつ犬と走れり

 山道にしぶとく残る固雪を蹴散らし走れば犬も弾めり

 冬去りぬ春風のごとく寄り添へる愛犬山の残雪を蹴る

 残雪のまだらに残る山道を駆けろ愛犬 春を取り込め

 散歩道しかししかしと立ち止まる吾を見上げる愛犬の息

 どんよりとくぐもる熱気かき分けて走る愛犬しなやかなれや

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 2023.09 長月も終はり迎へん夕暮れの黄昏(たそがればかり寂しきはなし

 「秋の日はつるべ落とし」とは、秋の日暮れが早いことのたとえです。秋になると、日没の時刻が早まるだけでなく、その後の薄明の時間も短くなり、日が沈むとあっという間に真っ暗になります。秋の訪れとともに物寂しくも思う今日このごろです。

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 2023.09 うららけく陽の当たりたる池の(に亡父の鯉の餌をパクつけり

 我が家の池にコイ(約40センチ)が2匹、悠然と泳いだり、池の底で静まりかえったりしています。18年前に79歳で他界した父の形見です。もともと3匹でしたが数年前、1匹は白い腹をひっくり返して死んでいました……。毎日、浮き餌を投げてやります。ガラス戸を開ける音と同時に、餌場へ大波を起こして寄ってきます。うららかに秋の日差しが、池の面を照らしています……。

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 2023.09 ふるさとの自然を愛し慈しみユーモア交え(うた残し(

 退会して20年余が過ぎていますが、赤名短歌会の会員だったMさんが天に召されました。慣例にならって「追悼歌(詩)」をご自宅に届けることになっています。ただ、私自身はご本人に会ったことも話したこともありません。そこで、過去のMさんの詠草を鑑賞しながら、何とも拙い作品ではありますが、上の追悼を詠みました。以下、今は亡きMさんの残された詠草を紹介します。


早ばやと床の掛軸を柿の絵に換えて稔りの秋を待ちをり

昼の月吾を見下ろし笑ってる怒るな焦るなゆとりを持って

春が来て元気に伸びる君達は雑草だから抜かせてもらう

豪雪の次は豪雨に見舞われて残りし野菜は猪喰ろふ

豪雪などなかったような顔をして花々咲けりありがとう夏

彼岸花墓参の道辺に盛り咲く来年もきっと咲いておくれね

寒中にひそかに芽吹く木蓮に頑張ってねと肌を撫でやる

春近し庭の草花芽吹き出す吾も元気で春を迎へん

亡き(つまの好物だった柚子粥を仏前に供え「味いかがですか?」

野も山も皆枯れ色になりにけり吾が残生と同じ色なり

短歌一首詠めぬ老女となりにけり昨日のことも忘れてしまい

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 2023.08 老眼のつひに来たれる我が身しあればメガネ越しにてページ開かむ(字余り)
 2023.08 老眼のつひに来たれる我が身かなメガネ越しにてページ開かむ

 この年(72歳)まで、老眼鏡無しに新聞を読んでいましたが、最近富みに文字がぼやけて見え始めました。体調や天候にもよりますが、老眼鏡の力を借りて新聞を読むことが漸増しつつある私です……。

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 2023.08 蝉の声聞かざるままに長月を迎へんとすも鳴る耳のセミ

 60歳代後半から「耳鳴り」が常態となってしまっている、老化現象の私です。不思議と今年は、蝉の声がいたって少ない夏です。その一方で、私の脳裏では蝉の声を意識するたび、その代わり「ジ〜〜ジ〜〜〜」という、蝉のような音が聞こえ始めます……。

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 2023.08 思い切り燃ゆる夕陽に飛び込まむ明日への渇き身に浴びなむと

 今夏の暑さは記録的だとの報道しきりです。幸いここ赤来高原(海抜450m)は涼やかな山風が吹き下ろしており、母屋の一階ではエアコンが要りません。それにしても、真っ赤に燃える夕陽を見つめていると、あのエネルギーの中に飛び込んでいきたい衝動に駆られます。

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 2023.08 透明の空にいつしか雲生まれにわかに乱れ滝落としたり

 子どもの頃、夕立は日常茶飯事でした。日本晴れが一転かき曇り、車軸を流すような土砂降り! 川遊びをしていた子ども達は、大きな葉っぱを頭に乗せて家路を急いでいたものです。近年、そんな風物詩が姿を消していましたが、酷暑の今年はときどき「にわか夕立」が見られるようになりました……。(滝落とし=夕立)

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 2023.08 この年で初体験の盆踊り手足ぎくしゃく操り人形

 今年は来島地区で数十年ぶりに「盆踊り」が開催されます。私も実行委員の一人です。ので、娘と孫3人を誘って練習会に出かけました。踊りは3種類、何だか右手左足左手右足…………、交互にぎくしゃく、昔のロボットか操り人形のようなぎこちない動きです。自覚症状があっても修正出来ないと言う、この老化現象。でも、まぁ楽しい時間を過ごしました。本番(8/12)ではがんばります。

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 2023.07 きょうもまた走る悦び炎熱も桜並木の日陰伝ひに

 台風が影響しているのでしょうか? 激しい地点では38℃〜39℃も! 日本列島は連日の猛烈な暑さに襲われています。島根県も平野部は35度〜36度。こんな中、きのうは真昼時、出雲市北山沿いを走りました。しかし、木陰は天の恵みです。太陽光線をまともに浴びながら走るのは地獄です。が、日陰は身体がぐんと楽です。約300mの桜並木沿いに6往復、まずは余裕で走ることが出来ました。

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 2023.07 7/15〜18、広島に住む娘が孫2人を連れて帰省しました。

連続5回『まんじゅうこわい』の読み聞かせ同じ場面でまたも大受け

じいちゃんとレゴの積み木で遊んだよ負けて弾ける二人の笑顔

炭酸のあぶくぶくぶく絡みつき孫はしきりに撫でて潰せり


5メートルのボルダリングに孫娘上がっては落ち登っては落ち

あやせども泣きやまぬをあやせどもこの児の母にまさる母なし 

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[1首目]落語『まんじゅうこわい』。好きな絵本は、何度でも読まさせられます。
[2首目]図書館にレゴがあります。わざと負けても(ると)、二人とも幸せです。
[3首目]孫娘は炭酸泉が大好き。ギリギリセーフ、男風呂に一緒に入りました。
[4首目]ゆめタウンにボルダリングコーナーがあります。感動しながら見学しました。
[5首目]娘の第2子は6ヶ月の乳飲み子。泣き出して止まらないとき、じいは失格

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 2023.07 じいちゃんの顔が見たいって頼んだの! ラインが動く笑顔届ける

 7月14日、朝食を食べているとラインが鳴りました。広島の娘からの着信です。画面に出てきたのは孫娘、5歳4ヶ月。翌日は帰省することになっています。「へぇ〜、あした会えるのに・・・」。画面の後ろで娘が「おじいちゃんが大好きなんだって!」と、補足説明。何とも嬉しいことを言ってくれるではありませんか……! まぁやってきたら、読み聞かせ、しりとり、花火大会、屋内遊園地、温泉、……濃密な4日間を過ごしたいと思います。

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 2023.07 森を駆け田面(たのもに遊び舞い上がり熱暑ふりまく7月の風

 ランニングをしていると体中に「風」「空気」を感じます。森(山道)を抜ける直前は、後ろから背中を押してくれました。その風が広い盆地の田んぼへと流れていきました。ふと空を見上げると、鳥が翼を広げたままゆっくりと旋回しています。きっと上昇気流があるのかな?(=田面に遊び舞い上がり)と思いました。それにしてもこのときの気温、ちょうど30℃。湿気を含んで、むっとする不快な暑さでした。

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 2023.07 山道のくぐもる熱気かき分けて犬軽やかに吾ドタドタと
 2023.07 どんよりとくぐもる熱気蹴飛ばして草露かぶり愛犬駆ける
 2023.07 土砂降りの後の山道愛犬と走る長靴ぐつぐつ鳴れり

 6月末、九州地方を中心に、いわゆる線状降水帯とやら。各地に大洪水と被害をもたらしました。ここ飯南町も、7/1はまさに「車軸を流すような大雨」に見舞われました。上の詠草は、雨上がりの翌日(7/2)、愛犬といつもの山道を走ったときに生まれました。
 愛犬はラブラドール・レトリバー、11歳と3ヶ月。人間なら70歳台半ばです。ところが、身のこなしの ほれぼれすること限りなし。スピード・スタミナ、何をとっても叶いません。

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 2023.06 過日、父の7人兄弟のうち4番目の叔母(93歳)が天に召されました。

祭壇の叔母の遺影が亡き祖母の面影に似て涙で霞む

ゆるゆると叔母を乗せたる霊柩車離れてゆけり霧雨浴びて

小雨降るなかをゆっくり歩みつつ亡き叔母の顔まぶたを過ぎる

これ叔母の仏様とぞしめやかに火葬仕切れる人の声聞く

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 葬儀は発熱のため、参列叶いませんでした。上の4首は葬儀の前日(火葬)の詠草です。荼毘に付され、骨だけになってしまった叔母の亡骸は涙を誘いました。遺骨の一つを箸で指し示しながら、係の人が「これが仏様です」という説明に一同、手を合わせて冥福を祈りました。ちなみに「仏様」とは「のど仏」のことです。
 亡くなった叔母は観音様のように心優しい人でした。これで、父の兄弟(男女男女男男女)は上から5番目の叔父(90歳)一人となってしまいました……。

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 2023.06 2023.6.1 河口湖畔「大石公園(観光スポット)」にて富士山と初対面しました。
 



すっぽりと雲の向かふに隠れたる富士の形を目線で描く

すっぽりと富士の姿を覆ひたる雲吹き飛ばせ! ぢっと見つめる

富士山を(かぶさり隠す雲動き見る見るうちに山駆け上がる

すそ野から雲切れ上がる富士の山胸のつかえの取れるがごとく

見つめたる雲を(まとひし富士の山稜線引き連れ姿現す

風吹きて雲のベールをめくるごと富士の雄壮つひに現る

恥ぢらひて雲に隠れし富士の山たちまちにして衣(ぎたり

雲流れ河口湖より眺めたる富士の山稜夢のごとくに

今そこに夢かうつつか富士の山すそ野引き連れ雲より出づる

今そこに夢かうつつか富士の山雲をまとひて悠然とあり

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 5/31 飛行機にて東京(劇団四季:観劇)⇒6/1 河口湖(遊覧船・音楽と森の美術館・大石公園)⇒6/2 東京(浅草演芸ホール)⇒6/3 飛行機14:15にて出雲空港へ帰着。3泊4日の旅でした。
 当初のもくろみ(6月初めは富士山が見える確率が高い時季)が外れ、季節外れの「台風」2号襲来! 梅雨前線を刺激して6月2日(金)は新幹線を止めるほどの集中豪雨に見舞われました。
 今回の旅のメインは河口湖から富士山を望むこと! ……6/1 高速バスで10時半頃「河口湖駅」に到着しました。あいにく天気は曇り、富士山の「ふの字」も見えません。雲が晴れることを祈りつつ午後3時前、大石公園に着きました。いちばん左の写真のごとく、すそ野が少し見えるだけ。落胆の色を濃くしながらも脳裏では、雲の向こうに富士山を思い浮かべて待ちました。
 なんと、願えば叶うものです。3時40分頃、右から左に流れていた雲が右側から崩れ始めました。初めは右の稜線が現れたり消えたり。そして突然、山頂が見えたり隠れたりし始めました。そして4時半頃、ついについに雲を従えた富士山がデーンと全てを見せるという、最高のパーフォーマンスを楽しませてくれました。

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 2023.05 身体(からだより次々湧きて出で来たる痰よ! 御前は誇れる戦士

 5月第2週は、浜田・福山など宴席を伴う過酷な(要約学習の)授業の連続。ワークシート点検に睡眠時間を削り、ついに週末は発熱ダウン。発熱は近年では記憶がないほど、久しぶりの体験。直後の叔母の葬儀には参列叶わず、布団をかぶって寝る始末でした。発熱といっても(平熱が36.2度のところ)36.5度〜37.2度の微熱でしたが、ランニングもサウナも叶わぬ日々が続きました。
 この間、寝ても覚めても咳と痰に苦しみました。やっと収まってくれた今日この頃(5/22)ではあります。 ……「痰」はウイルスやウイルスと闘った白血球の死骸?、異物。労いの言葉をかけながらゴミ箱に捨てました。

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 2023.05 しめやかに家族葬とや五月雨よ若き教え子天に召されし

 過日、小雨そぼ降る中、教え子(29歳男性)の葬儀が行われ、心の整理が出来ないままに参列しました。事情があったのでしょうか、11人という少人数での淋しい葬儀でした。死因は心筋梗塞とのことですが、あまりに唐突で若すぎる出来事です。ご両親の心痛は計り知れません。他界した教え子の兄が連絡してくれたので、お別れに立ち会うことが出来ました。事後、短歌を考えましたが、自分の心の深さと比べて、あまりに浅い作品に嘆きながら、とりあえずの追悼歌とすることにしました。

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 2023.05 五月晴れほうとふくらむ鯉幟くくくと回る矢車の音
 2023.05 鯉幟ほうとふくらみはためきて空いっぱいに光あふるる
 2023.05 鯉幟ほうとふくらみあざやけし くたとしなびて休みたるなり

 今年も鯉幟の季節がやってきました。ただ、ふた昔前頃まではあっちでもこっちでも鯉のぼりが泳いでいたものですが、ザンネン近年は珍しくて、写真に残したくなるほどに珍しくなりました……。
 
あざやけし=「あざやけし」(明るくて清々しい)を早く使った例としては、「赤光」の明治41年「塩原行」のなかに「谷川の音をききつつ分け入れば一あしごとに山あざやけし」が記憶に残る。茂吉はこのほか「あざやけし」を何度か使用している。茂吉が初めて「あざやか」から工夫して、「あざやけし」を使ったのだろうと思われる。(歌言葉雑記:宮地伸一)

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 2023.05 青空に皐月幟のはためきて突如 電話が訃報伝へる

 ゆったりと温泉にくつろいで車に戻ったとたん、携帯電話が鳴って若き教え子の訃報を知らせてきました。あまりに唐突で予期しない、思いも寄らない出来事に、しばらくは現実が理解出来ませんでした。おりから晴天の下、場違いにゆうゆうと鯉のぼりがはためいていました……。

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 2023.04 問ひかけに目合はぬ母のうつろなる心に届けひ孫の笑顔
 2023.04 母にまだ心に形あれかしと言葉束ねて語りかけたり

 過日、娘とその子2人を伴って特別養護老人ホーム「愛寿園」に母を見舞いました。コロナ後、面会お断りが続き、1年ぶりに再開したときは会話どころか、息子が認識出来ないほどに一気に認知症が進んでしまいました。娘(母から見たら孫娘)が再会するのは3年数ヶ月ぶりです。しかし残念、「孫」「ひ孫」の刺激にも全く反応がありませんでした……。

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 2023.04 2023.4.1〜4.9 育休中の長女が孫2人を連れて広島から帰省。そのときの詠草です。
                 


じいちゃん来たよ! 不意に現る孫娘なかよしこよし時空を超える

肝っ玉母さん二児の我が娘 乳飲み子抱えて炊事をこなす

初帰省の赤ちゃん二か月(いだけども固まる体ぎこちなき腕

朝いちばん聞こえてくるは孫の声じちゃんおるぅ〜と飛び込む笑顔

読み終えて重ねし絵本十二冊! 声かすれども次これ読んで!

ゆうれいみたいほら見てごらんおじいちゃん枝垂(しだれ桜も花びら散らす(再掲)

犬のごと駆けずり回る孫娘きょだい遊具に見え隠れする

見とってよ! 孫の縄跳び見学すジイジはもはやかないませぬぞ

孫娘アメーバのごとにじり寄りあれよあれよとちゃかり抱っこ

あっけなく車のランプ遠ざかる孫の笑顔も遠ざかりゆく

あっけなく車のランプ遠ざかり孫の笑顔を連れ去りゆけり

はなやかな娘家族を見送りてじいじのまなこ空にとどまる

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 孫は5歳0ヶ月(女児)と2ヶ月(男児)。2ヶ月の赤ちゃんは今にも落としそうで、はらはらしながらの危うい抱っこ。泣き出したら母親でないと止められません。女児は可愛い性格。朗らかで素直、聞きわけがいいので、朝から夜までずっと側にいても疲れません。長らく滞在していたので、別れの喪失感は深い闇でした……。

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  2023.4 ゆうれいみたいほら見てごらんおじいちゃん枝垂(しだれ桜も花びら散らす

 車を走らせていると、孫娘(5歳)が指さして叫びました。今年の桜もあっけなく花びらを散らして葉桜になっています。なるほど、枝垂れ桜の枝振りはまさに「幽霊の手」に見えます。

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  2023.4 川音はさるるぴるぽるぽんぽちゃんどぶんどぶんと春を奏でる

 川沿いに歩いていくと、春の小川はさまざまな音を立てて流れ下っています。耳を澄ますと「さらさら」とは聞こえません。春が来た喜びを、いろんな音をかき混ぜながら奏でているようです。「さるるぴるぽるぽんぽちゃん」は、どこかで聞き覚えた可能性があります。川の流れを聞いていると、ふと するりと脳裏から川音が飛び出してきました。

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  2023.4 さくらさくらさくらさくらとさくら咲きハラハラハラリハラハラと散る

 寝起き前の布団の中で、ふと浮かんできたフレーズです。咲くときの勢いはまさに「さくらさくらさくらとさくら」というふうに、一気に賑やかに咲き競います。が、一転、散るとなったらいっせいに「ハラハラハラハラハラ……」と舞い上がり、舞い飛び舞い落ちていきます……。
 
きのう、見事に満開となった琴引山荘の桜並木でした。ところが今日は、早々と花びらがひらひらと風に煽られて舞い散り始めていました。あっけないというか、潔いというべきか……。

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  2023.3 たちまちにこぼれてにほふ桜花あすは散る身の惜しからざりし

 東京の桜開花は3月14日、満開は3月24日。すでに月末にかけて散り始めているとのこと。ここ赤来高原はきょう(3/31)、まさに桜花爛漫を迎えました。それにしても、桜の花はどうしてこうも満開になると同時に、慌てたように散り急ぐのでしょうか? 何か遺伝的に仕組まれた意味があるのでしょうか……。
 下の句「あすは散る身の惜しからざりし」は、プラス思考で詠みました。私自身もこうありたいものだという願いを込めて……。

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 2023.3 たちまちに山盛り上がる大空をおほふばかりに春のあけぼの

 3月中旬を過ぎる頃から一気に空気が柔らかくなり、みるみる草木がもくもくと盛り上がってきました。松江・出雲あたりでは桜の開花が始まったようです。ここ赤名盆地も辺り一面、春の気配に包まれてきた今日この頃です。

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 2023.3 散歩道しかししかしと立ち止まる吾を見上げる愛犬の息

 山道に入れば、愛犬のリード(引き紐)を外して走ります。先になったり後になったり、ご主人のペースに沿って走る愛犬です。ご主人が躓いて転べば、すぐに近寄って「だいじょうぶですか?」というように、顔をぺろぺろと舐めます。
 ふと思案することがあって、急坂を歩いて登っているとき立ち止まりました。すると「どうしたんですか?」というように近寄ってきて、ご主人を見上げる愛犬「もも」です。
 結句は迷いました。「愛犬の□□」の□□がなかなか決まらなくて、短歌が落ち着かないまま、ランニングが終わりました。「瞳」「眼」「目」では、分かり切ったこと。最終的に、音節数(2音節)も考慮して、舌をべろんとしてゼイゼイ息をしている姿に落ち着きました

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 2023.3 倒されて押しつぶされし群竹のむつくり(てり雪解けの池
             

 今年の積雪は、いちばん多いときで90センチでした。池回りの植物は、倒されて押しつぶされて雪の下。3月になり全ての雪が解けた後を見れば、可哀想にもぺしゃんこになって地面に貼り付いていました。 ⇒ところが、日に日にむくむくと鎌首をもたげ、とうとうもとの姿を取り戻しました。何というたくましさ、何という生命力!

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 2023.3 (かつて住む学生寮の前に立ち はるばる来ぬる吾をしぞ思ふ
             

 先日、ミニ同窓会で鳥取に出かけた折、何十年ぶりかの時を隔てて(2年4ヶ月お世話になった)「学生寮」に立ち寄りました。外観は、当時そのままです。呆然と眺めながら、当時のこと、その後の教員生活、そして今、……津波のように映像が通り過ぎました。残る余生、再び、ここに佇むことがあるのだろうか? しばしの間、感慨深い時間を過ごしていました。
【本歌取り?】 唐衣着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ(伊勢物語)

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 2023.3 いつの日も笑顔たやさずひたむきに心血注げり弱きを援け

 明日は鳥取市で「ミニ同窓会」(T大学教育学部中学校教員養成過程45入学:日常、ラインで交流している5人)があり、出かけます。今回の企画は5人のうち2人が先般、本を出版しました。その祝いが名目です。2人それぞれに色紙を渡しますので、そこに書く短歌を考えました。
 K君は、余命1年宣告を受けています。しかし、平然と笑顔で前向きに過ごしています。彼の足跡を辿ると、教員時代から「弱き」に付きて弱きを助ける精神が息づいています。退職後も、実践を基にしたアイヌ紙芝居を作成したり、アイヌ文化講演会を開いたりして、精力的に人権擁護の活動を展開してきています。
 昨年末には、日本海新聞主催の「柳壇(川柳)」の年間賞に選ばれました。
地雷置くロシア兵にも母はいる

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 2023.3 ひたむきに憶良の足跡たどりつつ和歌の魅力を今に伝へむ

 S君は教員生活中途から行政に転身、県教委次長、K市教育長など歴任しています。その傍ら、山上憶良(倉吉で国司を務めた歌人)について地道な研究を重ね論文を発表したり講演会を開催したりするとともに、『倉吉文芸』の発行に携わってきています。一方、自らの趣味として写真抱き合わせの俳句を作り、個展を開いてもいます。

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 2023.2 残雪のまだらに残る山道を駆けろ愛犬 春を取り込め

 月末は、すっかり春めいてきました。特に2月28日はぽかぽか陽気。景色を包む空気も穏やかで、光が満ち満ちています。日課にしている愛犬との山道ランニングは、しかし、ところどころ雪が残っています。きょうも、長靴を履いてのドタドタランニングでした。靴を履かない犬は、いつも軽やか。春の空気をゼイゼイ吸って、嬉しそうに駆け回ります。

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 2023.2 里山に光さやけく広がりて群雀飛び春は親しき

 テレビから「春は光とともにやってきます……。」と、天気予報アナウンサーの声が聞こえてきました。起床後、窓越しに空を見上げていた私は「あ、そうそう、そのとおり!」と心の中で頷いていました。さっそく、この見立てを短歌にしようと言葉を紡ぎ出す努力のスタートです。
 上の句は、すぐに決まりました。難航したのは下の句です。下記のように、さまざま思い浮かんでは却下。その繰り返し(下から上へ)の末、何となく落ち着いたのが上の短歌です。
 ちなみに、光の後にやってくるのは、やっぱり「音」(鳥の声、川の流れ、吹く風、……)です。「群雀」はランニングの途中でよく出くわします。その賑やかなこと! 春を告げる鳴き声です。
 光さやけし=明るく、清らか。群雀(むらすずめ)=おびただしい数の雀の群れ。
里山に光さやけく広がりて小鳥飛び交ひ春親しけれ
里山に光さやけく広がりて音響きあい春 今咲かむ
里山に光さやけく訪れて音加わりて春咲かむとす

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 2023.2 粉雪が呼吸のやうに舞ひ降りて色なき盆地を白く染めたり

 2月15日、起きてカーテンを開けると、辺り一面真っ白く染まっていました。これを「雪化粧」というのかと、しばし純白の美しさに見とれていました。
 一時は80センチ以上も積もった雪でしたが、節分以降の温暖と降雨で一気に雪解けが進みました。田畑の雪の7割〜8割方は解けて、緑気のない(=色のない)地面がまだらに広がっていました。それだけに見事、昨夜来の降雪は景色を一気に純白一色に染め抜きました。

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 2023.2 凛然(りんぜんと春が氷を滑り来て狭庭(さにわの雪にぶつかり消える

 2月5日(日)早朝、玄関に出て景色を見渡すと、朝日がきりりと田畑を輝かせていました。ふっと「春が氷を滑りたる」というフレーズが浮かんできました。ぜひ、この景色・感動をこの文句を盛り込んで作ろうと思い立ちました。 ……結局、「春未だ浅き」という印象を盛り込むことにしました。途中経過は、以下の通り(下から上へ)です。なお、凛然は「寒さが厳しいこと」、狭庭は「我が家の庭、狭い庭」のことです。
凛然と庭の朝日に佇めば春が氷を滑り来たれり
如月の朝日キリリと差し込みて春が氷を滑りてゆけり
如月や氷の上を滑りたる春の気配に耳を澄ませる

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 2023.1  底冷えにとどろく除雪機ギアを上げ攻め来る雪を蹴とばし進む

 この冬第2弾、年末に続いてドカ雪に見舞われました。ここ数日間は、朝と夕方には降り積もった雪(たいがい20センチ〜30センチ)を小型除雪機を使っての除雪です。昔はスコップとスノーダンプでの作業でしたが、年齢的にも体力的にも小型除雪機さまさま、強力なパートナーです。
 ところが、いざ短歌にしようとすると、なかなか文学的な短歌になりません。小中学生が作るような短歌に苦笑しながら悪戦苦闘しました。以下、作歌の途中経過(順番は下から上へ)も掲載しました。結局、擬音語を入れると薄っぺらな作品になることに気付きました。
底冷えにとどろく除雪機バリバリと攻め来る雪を蹴とばし進む
底冷えにうなる除雪機バリバリと攻め来る雪を蹴とばし進む
底冷えにうなる除雪機バリバリと吹雪に向かひて跳ね飛ばしたり
底冷えにうなる除雪機バリバリと攻め来る雪に立ち向かひたり
ドドドドド小型除雪機雪をはね攻め来る雪に立ち向かひたり
バリバリと小型除雪機ドカ雪を吹雪に向かひて跳ね飛ばしたり

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 2023.1 露天湯の炭酸泉に浴すれば泡まとわりて雲に漂ふ
      露天湯の炭酸泉に浴すればぷつぷつ泡に包まれて快
 

 一週間に一回程度、北山温泉(出雲市)に繰り出します。サウナの他に、ここの温泉の魅力は「炭酸泉」。ぬるめの湯船の2か所から、あぶくがわき出てきています。入浴と同時に、体中に小さな「あぶく」がまとわりつきます。何だか健康にとても良さそうです。 ……ということで、そのときの気分を「雲に漂ふ」としました。2首目は文字数が窮屈なため、ついつい安易に裸の言葉「快=快適・快楽」を用いてしまいました。

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 2023.01 2022.12.25〜1.13 次男が孫2人を連れて長野から帰省。そのときの詠草です。
                 


あら不思議 半年間の時空超へ響きあひたる孫との笑顔

帰省より怒濤の時間来たりなば孫は来てよし帰ってよしとや(再掲)

今朝もまたじいちゃんあそぼと駆け寄りて日がな一日べったり暮るる

ブロックに絵本にバレーにカーレース尽きることなし孫との遊び

孫二人左と右にぺったりと体寄せきて食事の時間

温泉もサウナにまでも孫と爺どこへもいっしょ仲良しこよし

何もかも爺と同じにしたいとぞ訴える孫愛おしきかな

孫二人コロナになりてお別れの日の遠のきて ジイ嬉し泣き?

二十日のあっけなく過ぎ幼子ら別れの笑顔残し立ち去る

見送りて佇む空に冬の雲どんより垂れて背中に抜ける

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 孫は2人とも男児(小1&4歳11ヶ月)。まさにワンパク盛り、疲れ知らず。エネルギーの質が違います。一日付き合うとぐったりの私です。その孫が1/2〜3、38度の発熱。コロナ陽性と判定されました。二人ともひと晩寝たら、あっけなく元気玉に戻りました。が、コロナ規定により10日間は自宅療養。長野への出立も10日延ばして、1/13となりました。この出来事に爺(=私)の心は、……。

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 2023.1  我が家にもつひに来たれりコロナ風邪おとなはそぞろ寝正月
      やっとこさ体に入りしコロナ菌こんな奴かと観察すなり
 

 こともあろうに正月2日、4歳の孫が38度の発熱、診断結果「新型コロナ陽性」と判明。 ⇒同時に「同居家族は自宅待機(外出禁止)5日間」となりました。症状が出れば「擬陽性」とのこと。
 不思議? なことに、孫2人は発熱するも翌日には快復。けろっとして騒ぎまくっています。一方、大人の方は体調不良(けだるさ)で気力減退。そぞろ(=不本意。意に満たない。)ごろごろ横になる正月となりました。
 私自身は発熱はないものの「寒さが身に沁む倦怠感」が3日間続きました。世界中を恐怖に陥れ、社会・経済的にも大きな打撃を与えてきた「新型コロナ」とやら、「こんな奴か!」と、冷静に観察しながら快復を待った私です。

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 2023.1  あらたまの年の初めの初春の孫の賑わひ天まで届け 

 2022年は「戦」という悲しい漢字一文字でしたが、今年の世の中はどのように展開していくのでしょうか? 我が家では、孫等のにぎわいを載せて新しい年を迎えました。幼子たちの息吹、エネルギーは、心を豊かに温かくしてくれます。どうか、この「いやさか」が世の中に広がることを心から祈り、初春の短歌としました。
 短歌の中に「の」をあえて5回も登場させ、リズムを生みだそうと意図しました。

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