子どもが支配されて育ったら
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2021.9.29


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先日
『ちゃんと話が聞ける子に』(田中喜美子)

を読みました。

新入生に向かって「ハイ皆さん」と
(小学校)学級担任が呼びかけても
ちゃんと聞いている子は
半分しかいない。

こんな嘆かわしい実態から
この本は始まっています。

わが子(男42・女38・男37)のことや
教員生活時代に出会った子ども達のことと
ダブらせながら読みました。

多少???の部分もありましたが
大半は「そうだそうだ」と
納得したり思い返したりしながら
読み進めました。

いつものように
A5に図式化しながら読みました。
上の写真は
5枚中bP(1枚目)です。

今回はこの本の内容(bP)に関わって
コメントを書くことにしました。




再掲



聞きわけがいい子


 「聞きわけがいい」とは、著書の中では「本当に嫌なこと、納得がいかないことに対して『No!』と言える」ことだとしています。

 また、辞書によると次のように言い換えてあります。
○ 物事の道理をよく理解している。
○ 物分かりが良い。
○ 思慮分別がある。
○ 人としての善悪をわきまえている。


 一方、「聞きわけがいい」の対極にある子は、この本の中では
「強い者の言いなりになる(指示待ち人間)」として、論が展開しています。

 上の図式は、どこが頭でどこがしっぽか分かりにくいと思いますが、上の2パターンの子どもがメインです。

 「聞きわけがいい子」の育ちを概観すると、
親のしつけが首尾一貫していることがポイント。特に、社会のルール(していいこと、してはいけないこと)をベースに、親はぶれない「ならぬことはならぬものです」ことが肝要だと説いておられます。

 こういう一貫した親のしつけを通して、「何がいけないのか、何を為すべきか、自然に学ぶ」とともに、「何でも自分の思い通りにならない」ことを学んでいきます。

 ただし、
親が子ども(自分)を心から愛してくれていると実感していないと、せっかくの「首尾一貫した躾」も成果が上がりません。

  

 一方、「指示待ち人間」はどういう親子関係から生じるのかと言うと、
「親が絶対的な権力者」であるケースです。親は子どもを支配下に置き、自分の思い通りにしようとします。子どもが「言うことを聞く」のは、親が怖いからです。「いい子」の演技をしているだけ、表面的に過ぎません。

 こういう親子関係を通して、子どもは「指示待ち人間」になっていきます。その一方で、「いい子」になることに疲れ、ある日突然爆発します。思春期になって突然、非行に走ったり、逆に不登校(無気力)になったりします。

 以上が、図式にまとめた内容(概要)です。

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子どもが支配されて育ったら?


 私の教員時代の体験を振り返ると、やや疑問に感じる部分はありますが、大筋で「なるほど」と思います。

○ 情緒が安定し、物わかりがよい子の保護者に共通して言えることは、親が子どもを心から愛しています。子どもも実感しています。その上で「ならぬものはならぬものです」と、人としてあるべき道を毅然として仕付けてきておられます。

○ 私は犬を飼っていますが、しつけの根本は「待て!」が出来るかどうかに係っていると確信しています。言うことを聞かないワガママ勝手なイヌ、ワンワン吠えたてかみつく獰猛なイヌは、まず「待て!」が出来ません。 ……人の躾の根本も「待て!」だと考えています。いわゆるセルフコントロール(自制心・克己心)に当たる部分です。

○ 親が子どもを支配して育てたケース(やたら怒鳴る・暴言を吐く)は、(私の事例では)例外なく自尊心が育っていません。思春期にもなると反抗的で暴言を吐いたり、暴力的だったりします。教員の指示を素直に聞くことが出来ません。 ……私もずいぶん苦労し、疲れ、彼らからたくさん学んできました。

○ このような生徒に対して頭ごなしに怒鳴ったり、高圧的に指図(命令・禁止)したりすると、彼らとの関係は終了(ジ・エンド)となります。翌日からは暴言を吐かれるか、無視されるかのどちらかです。

○ 彼らの大半は「発達障害」と診断名が付けられていました。私はこういう診断名を安易に付けることに対して、大いに疑問を抱くとともに理不尽さを感じていました。

○ 「発達障害」について、医学関係のHPでは次のように説明がされています。

@ 発達障害をもともともって生まれた子供は、虐待を受ける可能性が他の子供より高い=虐待児に発達障害の子の割合が通常より多くなる。

A 虐待・育児放棄を受けた子供が《擬似的に》発達障害に似た症状を示すことがある。このケースは、環境を変えることによって改善する。

○ いずれにしても、子育ての段階で「怒鳴る」「無視する」「支配する」「暴力・暴言」は、子どもの健全な成長を破壊します。大事なのは「限りない愛情」です。心底、愛おしく思うことが問題解決のスタートです。

○ 不登校の場合、基本的に「親は絶対的な権力者」というケースは(私の事例では)ありません。逆に、特に父親が甘い(優しすぎる)ケースがほとんど。幼児期・児童期のハードルをクリアーしきれていないと思われる事例が大半です。基本的に、ストレス(辛いこと苦しいこと)に立ち向かっていくエネルギーが不足していると、私の中では分析していました。

○ 不登校は平成年代に入ってから、急速に増えていきました。ということは、社会的な環境の変化がもたらしたとも言えます。決して「学校」のせいばかりではありません。

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