赤名短歌会合同歌集
『ふじつる』第19号

〜序文〜

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2025.2.26


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今年度で第19集を数える
赤名短歌会合同歌集『ふじつる』は
2月25日に印刷所から完成品が届きました。。





序文

 『ふじつる』第十九集をお届け致します。今年も多くの皆様の深いご理解と温かいご支援に支えられて発行できたことを、衷心よりお礼申し上げます。

 短歌の歴史は古く、奈良時代の『万葉集』から始まって現代まで、千三百年以上も愛され続けています。「短歌は年配の人が好むもの」という印象の方もおられるかもしれませんが、今、SNSを中心に若い世代でも静かなブームになっています。若者の短歌は、自由な感性で作られたユニークな作品が多く、今後個性的な作品がどんどん生み出されるかもしれません。インターネット上で気軽に短歌を投稿できる場のひとつに『うたらば』があります。いくつか紹介(テーマ「スマホ」)します。

感情を持たないはずの指先が既読のたびに芯から冷える          郁葉
会うときは目も合わせない人なのにきみのメールは声が聞こえる      さくらこ
正しくはスマフォだからと言ってくる友だちはまだ独身である       龍翔
僕だって触りたいのに君の手を独占してるスマホがずるい         いつき
顔文字が雄弁すぎて語るべき愛の言葉がおろそかになる          紗都子
いいねとか既読で紡ぐこの恋の二年しばりが来月解ける          永昌

 今年もこの合同歌集には、小・中・高校生の感性豊かでユニークな作品が届けられました。どうか、これを機に短歌の奥深い世界へ足を踏み入れてくれることを、心から願っております。以下は『ふじつる』第十八集に掲載された作品から、いくつかご紹介します。

雪解け水に色鮮やかな梅の花卒業前の胸の高まり           小学生 柚稀
暑き夜花火が上がり拍手する上がった後は少しさびしい        小学生 嗣道
思い切り気分を出せたカマキリ役さらなる一歩を踏み出す自分     小学生 敬一朗
お参りで新年一発拝む時神に願うぞ初彼女              小学生 関羽
夏過ぎて緑の木々も紅葉しふわりふわりと散りゆくもみじ       小学生 美嶺

ほつほつと舞い散る桜恋しけれあの人と交わしたあの約束を      中学生 和香
「行ってきます」寒さに飛び込む白い息赤鼻のトナカイさあ出発だ   中学生 倭玖
体育祭スタートラインに足並べピストル響くいざ勝負!        中学生 優真
振り返れば歩いた日々が背中押す遠くに響くは懐かしい音       中学生 華千代
三年間過ごした日々を振り返るあの日交わした会話忘れず       中学生 結奈

ありがとう三年間の思い出がつまった制服今日でさよなら       高校生 咲季
野球より大事なものは世の中に山ほどあると説教される        高校生 海音
みんな叫ぶ最後の授業どっどどどどうどどどうどどどう        高校生 琉希
冬休み初詣行きふと思うもう卒業か地味にさみしい          高校生 大空翔
思い出があるにはあるがあり過ぎて語りきれない短歌だけでは     高校生 未来
時が過ぎ花もゆらりと舞い落ちる行く先分からぬ私と同じ       高校生 聖登
窓見れば無限にカメムシ湧いてくる泣けどわめけど対処もできず    高校生 拓海


 終わりになりましたが、飯南町教育長 大谷哲也様には「短歌を通じて飯南町の子どもたちの心豊かな成長にお力添えいただいている」との嬉しいお言葉をいただきました。学校を代表して飯南高等学校校長 岡秀樹様には「短歌のタネを探すセンサーをオンにして過ごす生活というのは本当に素敵だと思います。」「(本校生徒作品の)型にはまらない奔放な発想が、逆に新鮮ということもあるのではないかと考えます。」など、貴重な視点からの感想をいただきました。ご多忙の中から感銘深いご寄稿をいただき、ほんとうにありがとうございました。

 なお、この歌集制作に当たっては、発刊の趣旨をくんでいただき、「赤い羽根共同募金」から温かい助成をいただいております。この場を借りまして厚くお礼申し上げます。

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「赤い羽根共同募金」提出書類
実績報告書より


 赤名短歌会は活動を始めて34年が経過。会員は、現在9名。うち2名は町外やホーム在住のため、短歌作品の郵送による参加です。

 毎月、第3金曜日(午後1時半〜4時頃)に例会を持ち、持ち寄ったお互いの作品について井戸端会議のようにして所感を述べあっています。このときの記録は即日、文書の形でまとめ、会員に郵送配布。以後の作品づくりに役立てるようにしています。

 一方、28年前、一年間の成果を歌集という形で残すことを思い立ち、『ふじつる』(創刊号)を発行しました。第4集(平成22年3月発行)からは、赤名小6年生・来島小6年生・赤来中3年生、それぞれ全員の作品を併せて掲載しています。この取組が認められ、第6集以降は、貴事業の支援を受けることが出来、毎年発行することが可能になっています。なお、第7集からは更に飯南高校3年生の作品も掲載を始め、相互の交流を深めています。なお、将来的には飯南町内が一つの「歌集」でつながるよう模索を続けているところです。

 このように一人一人の短歌の作品を一つの「歌集」に納めることによって、短歌を通して大人(会員)と児童・生徒の皆さんとが心を通わせあい、児童生徒皆さんの「ふるさとを愛する心」を涵養するとともに、短歌(和歌)という歴史の長い伝統文化に親しみ、継承していってくれることを願っているところです。

 赤名短歌会では、これからも「赤い羽根共同募金」からご支援いただいたり、地域の温かい支えを励みにしたりしながら、短歌という伝統文化の灯を赤来地域に点し続けていきたいと決意を新たにしております。今後とも温かいご支援のほど、よろしくお願い致します。

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