「卒業式」と題して、三刀屋高校掛合分校(男子3人)、松江工業高校(男子1人・女子2人)が、それぞれ高校生最後の演劇を披露しました。時は、3月22日(水)夜7時〜、場所は島根県民会館でした。
先般、要約学習の授業で掛合分校を訪れた際、副校長先生からこの公演を紹介され、興味を抱いて観に出かけました。
演劇に先だって、ドキュメンタリー映画「走れ!走れ走れメロス」(50分間)を視聴しました。掛合分校演劇同好会の歩みを映像化した作品です。全国規模の映画祭で入選・入賞を5つも獲得した映画だそうです。感動しました。涙もあふれました。
演劇に初めて触れた島根県の4人(うち1人は照明係)の高校生と、顧問の先生の奮闘を追いかけたドキュメンタリー。
全校生徒70人、島根県で最も小さな県立高校・三刀屋高校掛合分校で、4人の高校生たちが演劇を始めた。
それぞれ演劇に初めて触れる4人は、対人関係が苦手、ずっと机に向かっているのも得意ではない、熱中できるものもないなど、各々が劣等感と向き合いながら、次第に演劇に打ち込んでいく。
顧問の亀尾佳宏先生のもと、演目には太宰治の名作「走れメロス」を選び、意気揚々と高校演劇の地区大会に出場することにした彼らだった。
しかし、本校である三刀屋高校のレベルの高さに圧倒された上、コロナ禍で大会は無観客になってしまう。県大会への進出はかなわず、このまま誰にも見てもらえないまま終わると思った4人の青春は、しかし、予想外の方向に向かっていく。……
第14回下北沢映画祭で審査員特別賞や観客賞など4部門を受賞、東京ドキュメンタリー映画祭2022入選など各地の映画祭で高い評価を獲得した。
2022年製作/53分/日本
配給:下北沢映画祭
|
.
|
もともと掛合分校には、演劇部がありませんでした。演劇に造詣が深い亀尾佳宏先生が着任、生徒に演劇への勧誘をしたところ、2年生3人が申し込んでくれました。その後、コロナ禍で思いがけない苦しみを味わいながらも、今回の公演に繋がったとのことでした。
ちなみに、この「走れ!走れ走れメロス」の演劇で、亀尾佳宏先生は「若手演出家コンクール」(日本演出者協会など主催)で最優秀賞に選ばれています。
ネットで調べると、次のような解説(一部)が紹介されています。
コロナ禍で校歌も歌えない制限された学校生活の悔しさなどを交えて演じた。
重要な場面でセリフを忘れるハプニングもあったが、生徒たちはとっさに「セリフは?」「忘れた」とアドリブ。約40人の客席からは笑いも起きた。ふだんの稽古でもセリフ忘れはあり、冷静に対応できたという。
|
.
|
新聞の記事には、次のようなコメントが載っています。
上演を心待ちにして稽古を重ねてきた曽田昇吾さん(17)は「プレッシャーはあったが楽しめた。達成感と喜びがある」。常松博樹さん(17)は「挑戦することが好きで、客が入った劇場でできてよかった」と満足した様子を見せた。
コロナ下での上京は迷ったという亀尾教諭は「生徒たちは想像以上の活躍で、客に届くような表現をしたことがプロの俳優と対等に評価されたと思う。地方で活動する人たちに希望を与えられればうれしい」と喜んだ。
|
.
|