心を動かす
プレゼンテーション

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2023.2.18


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 手元に、光村図書からいただいた機関誌「国語教育相談室」があります。注目すべきは、特集「プレゼンテーション」です。12ページにわたる企画で、共感するところ大でしたので、ここに要約して紹介します。

 なかでも、中谷日出 氏(NHK解説委員、メディアリテラシーに取り組む)の文章を取り上げます。

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プレゼンテーションマッピング


 中谷氏は、事前にプレゼンテーションマッピング(中谷氏の命名)を描かれるそうです。いわゆる「図解」、つまり「図式」です。私のやり方と一緒です。

 この「図解」を描く過程で「自分が伝えたいこと」は何かが明確になるとともに、「聞き手が知りたいことは何か」が(独りよがりではなくて)ハッキリしてくるとのことです。

 このプレゼンテーションマッピングの積み重ねは、「要約力」の力を付ける上で極めて有力とのこと。全く、私も同感です。

 なお、この「要約力」は、プレゼンテーションの基礎であるとともに、プレゼンテーションには必須の基礎力とのことです。これまた同感です。

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伝えたいという気持ち


 別の視点から、プレゼンの極意を言うとしたら、「伝えたいという強い気持ち」だそうです。これが、プレゼンの原動力となります。

 中谷さん自身、プレゼンの前には「自分の気持ちを盛り上げる」「伝えたいという思いを最大限に高める」とのことです。 ……おやおや、これまた私の場合と一緒です。

 
要約学習においては、「教材が命」です。発達段階に即して、子ども達が「なるほど」「面白い!」と引きつけられるような題材をいかに準備するか? ここが授業の「肝」です。

 この教材が魅力的であるなら、図式化の意欲、プレゼンの意欲が一気に高まります。学習の成果も上がります。

 小学校中学年は、身近な内容が中心になります。「タツノオトシゴ」「フンコロガシ」「クモの糸」「おばけ」「うんち」「おへそ」などなど。

 中学生は、政治・経済・科学・歴史など、知的好奇心をかきたてる教材を日々、探し求めています。最近は人工知能に関する題材が目立ちます。「人工知能画家」「デジタルヒューマン」「メタバース」「デジタル通貨」「スマート農業」……。

 小学校高学年は、中学生用の教材を小学生向けに書き直します。同時に、小学校中学年の教材を書き直しますが、高学年を念頭に教材づくりもしています。「培養肉」「ロボット審判」「空飛ぶ車」「人工流れ星」「昆虫食」……。

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テクニックではありません


 こういう二つの心得を念頭に、資料を準備です。常に、資料は相手重視、相手尊重です。プレゼンは、聞き手のために行われるのです。

 むろん、プレゼンにテクニックは必要です。が、それは枝葉。重要なのは、次の二つです。

@ 伝えたいことを明確にする。
A 伝えたい思いを最大限に高める。

 こういう気持ちを持って本番に臨むと、相手は耳を傾けてくれるし、話の内容に共感もしてくれるのです。

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なお
この他に
ジャーナリスト・コピーライターなど
さまざまな分野の方の
プレゼンの秘訣が
一人一ページ割り当てで
紹介されていました。

以下に
心に残った内容を
紹介します。


 言葉巧みで流ちょうな話しぶりだったけど、何も心に残らなかったことはありませんか? 聞いている人の気持ちになって話す。このことの重要性を、ぜひ心に留めてください。(ジャーナリスト 見城美枝子 氏)

 いくら事前準備をして、自分の思いをうまく話せたとしても、自己満足ではダメです。いい話が聞けたと、相手が満足してくれなくては、話した意味がありません。
(コピーライター 寺井晶博 氏)

 この人の話を聞こうという気持ちを喚起するのは、論理ではありません。感情です。ぜひあなたに伝えたいという熱い思いを持って、相手の目を見てスピーチする。身振り手振りで図解する。声も、情感に訴えるように語りかける。 ……こういう熱意が重要です。スピーチは、スポーツなのです。
(日本プレゼン・スピーチ能力検定協会理事長 荒井好一 氏)

 プレゼン資料を作る前に、聞き手のニーズを念頭に、「何を伝えたいのか」をハッキリさせておくことが大事です。「これで伝わるだろうか?」と吟味しながら、資料は作るべきです。
(小学校教員 曽我部義則 氏)

 プレゼンというと、パソコンとかプロジェクターとか、大がかりなものをイメージしがちです。しかし、授業ではシンプルさをベースにプレゼンすることを目指すべきです。これが出来て、機器の活用が生きてくるのです。
(同上)

 プレゼンでは、流暢に話すことよりも大事なことがあります。聞き手を意識し、伝えたい内容をしっかりと話せているかどうか、ここに重きを置くべきです。
(同上)

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