マシュマロ実験とは、子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した実験。スタンフォード大学の心理学者、ミシェルが1960年代後半から1970年代前半にかけて実施した実験です。
幼稚園の4才の子ども600人が実験に参加しました。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っていいます。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ。」と言って部屋を出ていきました。
子どもたちの行動は、隠しカメラで記録されました。映像を分析した結果、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまう率が高いこと。我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らそうとする傾向があることが観察されました。実験に参加した者のうち、1/3はすぐにお菓子を食べます。1/3は、テストの途中でお菓子を食べてしまいます。我慢してマシュマロを食べずにいられた子どもは1/3ほどでした。
12年後、追跡調査が実施されました。その結果は、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続していること。1分未満に食べた子の多くは、感情を抑えることが難しい傾向があり、また、問題行動を起こしていること。
一方、マシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、【我慢できた子】は、次のような傾向にあったそうです。
○ 対人能力に優れ、自己主張がきちんとできる。
○ ストレスに強く、プレッシャーに混乱しない。
さらに両グループ間では、大学進学適性試験(SAT)の点数には、トータル・スコアで平均210ポイントの相違が認められました。
ミシェルはこの実験から、「幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響する。」と結論づけました。40年後にはさらに追跡調査が行われ、この傾向が生涯のずっと後まで継続していることが明らかにされました。