子育てで一番大切なことは何でしょう。躾も大事、勉強も大事、しかしいちばん大事なことは、子どもの心に「自己肯定感」をはぐくむことです。
自己肯定感とは、「自己評価」「自尊感情」ともいい、「自分は大切な人間だ」、「存在価値があり、世の中や他の人にとって必要な人間だ」と思えることです。自己肯定感を持つ子どもは「プラス思考」で、人生に対して意欲的に取り組んでいきます。
逆に自己肯定感の低い子どもは、常に自分を卑下しながら不安にとらわれ、のびのびと生きることができません。皆がそうだとは言いませんが、重大犯罪を起こすのも、自己肯定感が極端に低い子どもに多いのです。
ところが、今の日本の子ども達は外国の子ども達に比べ、心の土台である自己肯定感が突出して低いことが、さまざまな調査で明らかになっています。
例えば、日本少年研究所が行った「高校生の未来意識に関する調査」(2002年)によると、「自分はダメな人間だと思うことがある」という問いに、「よく当てはまる」「まあまあ当てはまる」と答えた子どもの割合は、米国で48%、中国が37%に対して、日本は73%です。
もちろん、外国と日本とでは文化の違いもあるでしょう。しかしそれにしても、日本の子ども達の自己肯定感の低さは突出しています。日本の子どもが外国に比べてダメで、能力がないとは思えません。では、どうしてこういう結果になるのでしょう。
それは、日本の社会が子どもに対して、「どうして、このくらいのことができないの!」「弱い」「わがまま」「ジコチュー(自己中心的)」と、否定的な言葉を繰り返し浴びせ続けてきた結果だと思うのです。
ですから私は、日本の子育ては「もっとおおらかであってよい」し、「子どもをもっともっと褒めてやっていい」のではないか、と思わずにはおれないのです。