冷え込んだ日韓関係
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2019.7.14(日)


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ホワイト国から
韓国を除外


 日本政府は7月4日、半導体や有機ELパネルなどの製造に使われる3品目のハイテク関連素材に関する「包括的輸出許可制度」対象から韓国を除外しました。

 日本政府の説明によると「文在寅政権が徴用工問題・慰安婦問題など、すでに両国政府間で取り交わしていた外交上の約束事を、一方的に反故にしたこととは無関係だ。」としています。

 併せて、「韓国が対北朝鮮経済制裁に反して北朝鮮に物資を流している。最恵国待遇に匹敵する『ホワイト国』の対象国としての信用を失ったためだ。あくまでも報復措置ではない。」としています。

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韓国向けの輸出規制強化
事務レベル会合
2019.7.12


 7月12日、日本政府は「韓国向けの輸出規制強化」を巡って経済産業省内で事務レベルの会合を開き、今回の措置を韓国の担当者に説明しました。日本側は貿易経済協力局の担当課長らが出席。韓国からは産業通商資源部貿易安保課長らが出席。報道によると、説明は同日午後2時から5時間に及びました。

 日本政府は、今回の会合は「事務的な説明の場」との位置付けで、菅義偉官房長官は同じ日の記者会見で「韓国への説明はあくまで事実確認で、協議するものではない」と述べています。

 一方、元徴用工問題への「報復措置」などとする韓国側の主張に関しては、日本の外務省幹部が同日、海外メディアに「対抗措置ではない」と明言しています。「2国間の協議と規制措置の撤回」を求める韓国との立場の隔たりは大きく、どう着地するかは依然として見通せないと報道されています。

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韓国との間に横たわる諸課題


 竹島(韓国名は独島)問題は1946年、連合国軍総司令部(GHQ)の覚書によって「竹島は日本の行政区域から分離」。1952年、韓国は李ラインを設定してその内側にある竹島を固有の領土とし、1954年からは韓国の警備隊が常駐、実効支配しています。

 韓国海軍の駆逐艦による、海上自衛隊哨戒機への
火器管制用レーダー照射事件は、日本の排他的経済水域(EEZ)において、2018年12月20日に起きました。その真相は、韓国が要請を受けて「韓国海軍の駆逐艦が、北朝鮮遭難船への燃料補給をしていた場面」を日本(哨戒機)に目撃され、とっさに取った行為のようです。

 
慰安婦問題は事実確認が曖昧なまま、朝日新聞が1982年9月2日「朝鮮の女性、私も連行。元動員指揮者が証言、暴行加え無理やり 37年ぶり危機感で沈黙破る。」と報道したことが発端となり、韓国内で大騒動に発展し、今日に至っています。


 
徴用工問題は1939年から5年間、国家総動員法にもとづき朝鮮半島から内地への労働動員。2年間は、指定された地域で業者が希望者を集めた「募集」形式。3年間は、朝鮮総督府の斡旋により行われたものです。それが1960年年代以降、日本国内の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や日本人左派学者がこれら全体を「強制連行」と位置付け、今日の騒動に発展しています。

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 今年(2019年6月)韓国政府は、4年前の両国の合意に基づいて設立された「元慰安婦を支援するための財団(日本は10億円拠出)を解散する」ことを決めました。

 去年(2018年)11月末には、元徴用工をめぐる裁判で韓国の最高裁判所が「新日鉄住金に賠償を支払うよう命じる判決」を言い渡しています。










世論調査
〜現在の日韓関係〜


 こういう状況を受け、日韓両国で実施された世論調査で、現在の日韓関係を「非常に悪い」「どちらかといえば悪い」と回答した人が両国とも6割を超えました。特に日本人は63.5%と昨年の40.6%から約23ポイントも増加しています。

 この調査結果は、日本の特定非営利活動法人「言論NPO」が6月12日、発表したものです。

 ちなみに、日韓関係を「非常に悪い」「どちらかといえば悪い」とした人も韓国人は、66.1%と昨年より約11ポイント増加

 両国関係を
「非常に良い」「どちらかといえば良い」と見る人は、日本人で6.1%、韓国人では3.7%。悲しい結果となっています。

 かつては韓流ブームなどの流れで、日韓関係は良好に推移していた時期もあります。両国間の旅行者も増え、相互に経済発展に寄与していたものです。近年、両国の関係は一気に冷え込んできていることが、意識調査からも分かります。

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日韓共同世論調査
〜好悪感情の根拠〜


 第6回日韓共同世論調査(2018年6月)によると、相手を好ましくないと感じている理由は、次のようになっています。

【韓国】
81% 過去の侵略を正しく認識していない。
72% 独島の問題がある。
20% 日本の政治家の言動。

【日本】

76% 日本の歴史問題を批判し続けている。
38% 竹島問題がある。
31% 慰安婦問題がある。

 逆に、好ましいと感じている理由上位は、次の通りです。
【韓国】
74% 日本人は親切で真面目。
58% 生活レベルが高い。
24% 日本製品は質が高い。
20% 日本文化に関心がある。

【日本】
50% 韓国文化に関心がある。
21% 同じ民族主義の国だから。
20% 積極的に働く。
14% 韓国製品は安くて魅力的。

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課題の分離
2019.03.10 今を生きる


 立場が違えば認識も違います。どちらが正しいのか裁定を下すというのは、なかなか難しい問題です。人間関係と一緒です。アドラーが説いているように「課題の分離」(他人の課題に介入しない)で解決出来るのか? 考えてみました。

 「過去と他人は変えられない」。互いに相手を非難するだけでは状況は改善されません。正論で相手を言い負かしても、感情的になるだけです。非難の応酬は互いの悪感情を増幅するだけです。基本的に韓国政府のものの見方・考え方は、韓国政府自身の問題です。日本が解決すべき課題ではありません。介入不可能だし、介入すべきでもありません。

 戦時下とはいえ当時、多くの朝鮮半島出身の人達が不幸な状況に陥ったことは否定できません。感情論ではなく、相手の認識や論理を我がこととして精査する必要があります。

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日本政府の対応に疑問


 今から20年前、当時の小渕総理大臣は、植民地支配によって多大な損害と苦痛を与えたことを率直に認め「痛切な反省と心からのおわび」を表明しました。一方、キム・デジュン大統領も日本側の謝罪を受け入れ、日韓パートナーシップ宣言と呼ばれる歴史的な文書に署名しました。

 20年前、日韓両首脳が歴史的な和解を果たし、未来志向の日韓関係に踏み出したのは、まさに互いを必要としているという共通認識があったからです。今の東アジア情勢を考えれば、日本にとって韓国ほど戦略的に重要な国はありません。これは韓国にとっても同じです。

 「互いを必要とする関係になること」こそお互いの幸せにつながっています。しばらくは冷え切った関係が続くかも知れませんが、環流ブーム時代もありました。冷え切った関係を乗り越える知恵と努力が、今こそ求められているように思います。

 そういう意味で、日本政府が「ハイテク関連素材に関する包括的輸出許可制度の対象から韓国を除外」という対応は、私は疑問を感じている一人です。

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