学習規律
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2019.6.23(日)


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O小学校
5年生と6年生
要約学習の授業(各1時間)を終えました。
今回は
O小学校へ届けた
事後感想を掲載します。





学習規律


 5年生と6年生の「要約学習」の授業を終わりました。どの学級も学習規律がしっかりしており、また授業に対して前向きに取り組み、感心しました。

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 いろんな学校・学級で「飛び込み授業」を重ねています。比較するつもりはありませんが、学習規律・雰囲気など、それぞれに特徴があります。

 今回お邪魔したO小学校(計6クラス)は、どのクラスも授業がしやすい学級でした。

教室に入ったとき、迎えてくれる表情が温かい。
授業始めと終わりの挨拶がさわやか。
聞くときは、さっと集中して聞く。
指導者の指示が通りやすい。
指示した学習活動に、前向きに取り組む。
友達同士プレゼンし合うとき、しっかり聞いている。
提出されたワークシート(図式)が前向き。


 自分は授業力があるのではないかと、錯覚するような学級集団ばかりでした。学習規律がしっかりしているというのは、学級担任の資質(指導力)に負うところが大きいと思います。

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1)図式の基礎はキーワード


 図式については、全体的に「ずらずらと本文を書き写す」(著作権違反)という子は少数でした。大半がプレゼンする際にポイントとなる、「キーワード」を中心にして図式化していました。図式の基礎がクリアーされていて、とても嬉しかったです。

 今後も調べ学習の際は、作成した図式を基に発表内容を取捨選択したり、プレゼン用の図式を作成したり、実際にプレゼンしたり、図式を基に作文したりということを積み重ねていってください。そういう学習を通して「図式力」(思考力・構成力)を高めていかれるよう積み重ねを期待しております。

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 図式の基礎・基本は、文章からここぞという「キーワード」が抜き出せるかどうか? です。ずらずら本文を書き写す図式はアウトです。著作権に係る上、その図式を手元にプレゼンする際、書き写した文章を朗読してしまいます。顔を上げてのプレゼンは不可能です。

 4人グループで、それぞれ違う文章を図式化しています。相互に一対一でプレゼンし合うので、都合3回、プレゼンすることになります。3回目は、図式を相手の友達に渡して、何も見ずにプレゼンします。いい図式(構造化されたシンプルな図式)を描いた児童は、楽々(何も見ない)プレゼンをクリアーします。

 この積み重ねが、今後のプレゼンやスピーチで生かされます。予め作文して、それを手元に置いてのプレゼンは朗読するスタイルになります。迫力がありません。言葉が空中を素通りします。聞き手の理解難易度も上がります。

 予め図式を描く方法は、作文と比べてはるかに労力削減です。しかも、絵のように脳裏に内容がインプットされるので、聴衆を見ながらゆったりと語りかけるスタイルが実現します。聞き手の理解難易度も下がります。

 こういう図式を描いたり、図式を基にスピーチしたりする場面は、授業や日常生活にたくさんあります。それぞれが「要約学習」の貴重な機会だと認識し、図式を活用すると、ぐんぐん言語力が伸びます。

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2)図式の構造化


 図式の構造化(文章の組み立て)については、個人差がありました。図式の構造化と文章読解力とは比例します。また、図式を見ずにプレゼン(スピーチ)できるためには、この「図式の構造化」が必須です。今後も、引き続き学習(積み重ね)が必要です。

 この構造化された図式が書けるようにするためには、よい図式に学ぶ必要があります。図式を見れば、その子がどういう風に文章を読んだかが分かります。一見しただけで文章内容が伝わってくる図式が、構造化された優れた図式です。よい図式を書くチャレンジを通して、図式力を高めるとともに読解力・聴解力を高めていかれることを期待しております。

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 図式を見れば、その子がどのように文章を読んだか、また、人の話を聞いたかが一目瞭然です。構造化された図式は、内容がすとんと胸に落ちています。ただキーワードを並べただけの図式は、しっかりと文章内容を理解出来ていません。

 そういう意味で、図式と要約文と、どちらが評価しやすいかというと、圧倒的に図式です。一目瞭然です。その点、要約文(文章)の評価は(指導者にとって)点数化に骨の折れる作業です。

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3)思考力・判断力・発表力などの育成


 授業後半は、調べ学習の資質能力を背景に、「総合的な学習の時間」創設の趣旨「社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を育成」「自ら学び自ら考える力などの[生きる力]をはぐくむ」ことを念頭に授業を展開しました。

 5年生は「学校給食の是非」、6年生は「晩婚化・未婚化を打破する方策」を取り上げました。どの学級も前向きに立ち向かいました。

 「自分の考えをまとめる」(設定した時間は3分)にあたっては「作文」をしないで、「図式」(キーワードのみ)にする方法を導入しました。全体的には自分の考えを図式にすることが出来ていました。この方法だと、短時間で思考を巡らしたりまとめたりが可能になります。発表の際には、下を向いて書いた文章を朗読することがありません。発表のしあいではなく、話し合いのスタイルに近づきます。

 日頃の学習(学級活動・道徳の時間・教科の授業など)においても、「自分の考えを図式化し、それを基に発表する」スタイルを導入し、「自ら考える力」を育成するとともに、思考の構造化(図式化)及び発表力を高めていかれることを期待しております。

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 たった3分でも、しっかりと自分の考えを広げ、まとめ、図式に描くものではあります。感心しました。

 もし「自分の意見を作文せよ」と指示したら、とても3分では難しい児童が少なくないと思います。ここが図式の威力です。浮かんだ考えを、ぱっとキーワードだけにして図式に書き落とします。関連性のある内容が浮かべば、矢印や囲みを使って構造化します。その過程で、児童の脳裏に発表内容が焼き付けられます。

 あさってはM小学校に出かけます。「道徳の時間」で、この「自分の考えを図式し、それをもとにディスカッション」というスタイルを模索しておられます。

 若かりし(30歳代)とき、「道徳の時間」で発問を投げかけると図式(自分考えをまとめる)の時間を取り、「ロの字型」の机配置になった生徒が、「自由発言方式」(指名のない自由発言:井戸端会議)で話し合いをさせていました。

 自分では「教え込まない道徳」として自負していました。これを要約学習で導入しようとは、これまで全く思いませんでした。あさっては、若かりしときの「自負」を再現です。ふむ、できるかな? ……「ピンチはチャンス」、またしても一つの試練を迎えている私です。

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