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学校図書館専門職員の整備・充実に向けて
−司書教諭と学校司書の関係・協同を考える−

                      

1999年3月29日
                      社団法人日本図書館協会
                      学校図書館問題プロジェクト・チーム


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実際のサイトは、
下の本の絵をクリックして下さい。
 


 日本図書館協会の常務理事会は1995年8月、学校図書館問題プロジェクト・チームの設置を決定。学校図書館において整備すべき「人」に関する合意形成を図るための基礎作業の必要を考えての措置です。

 この日本図書館協会では、学校図書館をめぐる諸課題に対して具体的な提言をされ、さまざまな活動を行っておられます。

 ぜひこのサイトをご覧になって下さい。

 以下は、一部を掲載させていただきました。

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以下に、概要を掲載します。
具体的には、該当のサイトをご覧下さい。

(くりっく)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/gakutopc.htm



経緯と課題


 1998年4月から一部の県で司書教諭の発令が始まり、司書教諭養成カリキュラムを定める省令の改正も行われた。

 文部省が進める「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域事業」の指定拡大もあって、各地の自治体,学校において図書館教育や学校図書館整備を研究と実践の課題とするケースも増えている。

 一方、その核心に「人」の問題があることは自明であるが、行財政改革が進行するさなかにあって、厳しい現状にある。

 そのため、人の問題をさておいての対応を当面の方策とする動きも見られる。

 司書教諭と学校司書とが併置される場合の、それぞれの職務内容と両者の望ましい関係。将来的な学校図書館専門職員像の確立などが焦眉の課題となっている。

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図書館の働きのある学校


 1998年12月公示の新学習指導要領総則の中で、指導計画作成に当たっての配慮すべき事項として、次のことを掲げている。

 「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること」。

 そのためには、学校図書館が図書館としての働きを擁していることが必要である。図書館が校内の「本の倉庫」では論外である。

 カギになるのが、学校図書館に常駐し、教師と協同して授業等に図書館(資料)が使えるようにし、日常的な児童生徒及び教師の求めに応え得るサービスの担い手の存在であり、充実した図書館資料が整備されていることである。

 これまで図書館に専任スタッフをほとんど欠いていた小中学校では、校務分掌の係教師で図書館運営を行うほかなかった。せいぜい熱心な係教師が自分の学級なり授業の中で図書館を活用するという域を出なかった。

 そういう学校図書館に、図書館の仕事に従事する専門的力量を備えた専任の職員が配置されると、次のような変化=学校図書館の働きが具体化することになる。

  • 図書館を訪れる児童生徒,教員に対する個別に必要かつ有効な対応
  • 資料,情報についての案内,相談と求めに応じる提供
  • 利用のガイドと系統的な指導
  • 資料の体系的,計画的な整備と組織化
  • 図書館だより,多様なブックリストの作成,各種行事など図書館からの情報発信
  • 「図書の時間」(小学校の場合)の計画的,系統的な指導への協力と参加,協同
  • 「総合的な学習の時間」をはじめ図書館や図書館資料を活用した授業の中での協力,援助 など

  図書室を訪れた児童の、l「わぁ、図書館みたい!」という歓声がこうした図書館の働きがもつ意義を象徴している。また、そうした図書館があることで、やってみたい授業への教師のイメージが広がり、具現化されるきっかけを得ることになる。

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学校図書館の専門職員とは


 「教育課程の展開に寄与し、児童生徒の健全な教養の育成」を図る(学図法第2条)という、学校図書館の目的達成に必要な「専門的職務」を日常的に担い得る人こそ、今求められている。それが学校図書館の専門職員である。

 その職務内容としては、大別すれば次のようになる。

@学校図書館運営の包括的責任を負い、学校の教育計画の中に図書館を位置づける計画立案とその遂行。

A資料・情報の提供や利用指導など、学校図書館の日常的な活動にスタッフとして直接携わる。

 この両面を単一の職種で考えるか、異なる職種をもって充てるかについては両論があり得る。

 その場合、その専門職員は、「教師の専門性」と「司書の専門性」を併せ持つ、学校の新たな専門家であり、学校図書館の職務に専ら従事できることが、必須要件である。

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司書教諭と学校司書


 現在、学校図書館には、その「専門的職務」に携わる人として、法的・制度的な根拠を異にする「司書教諭」と「学校司書」の二つの職種が存在する。

 この二職種については,歴史的に次の事実が指摘でき,それが現状を規定している。

(1) 法の制定が求められた当初、教諭である司書教諭とその補助員としての事務職員の配置が想定されたが、財政事情等により最終的には事務職員は法から除かれた。

(2) 法制化された唯一の専門職員である司書教諭が「当分の間」配置を猶予され、それが長期化する中で、専門職員の不在を補うものとして、法に定めのない「学校司書」が現場の必要に支えられて実態を備えてきた。自治体の施策がそれに根拠を与えている。

(3) 学校司書の実践が進む中で、「人」がいる学校図書館が「本のある教室」と決定的に異なる事実が見えるようになってきた。

(4) 司書教諭の発令数は748名(うち公立は334名),学校司書は5,984名(平成10年度学校基本調査報告書)  

 この二職種併置は、やむにやまれぬ現実が生み出した結果であり、理論的にそれが好ましいとして生まれたわけではない。

 単一職種か二職種併置かの議論は、純粋に理論だけで尽くされない側面を備えている。

 そうした歴史的に形成されてきた事実と経緯によって払拭できない側面を負っていることを認めておくことが必要である。  

 理論的には、あえて二職種に分ける積極的な理由は乏しい。が、それぞれに歴史と経緯をもってしまい、学校司書については基礎資格を異にする現任者が現に相当数いるという事実から、いまこの二つを一本化することは極めて困難である。

 両者の仕事は画然と区別しきれるものではなく、相互に重なり合った部分を持つ。その重なりは、司書教諭が時間的にどれほど図書館の仕事に携われるか、それぞれの資質・能力・意欲等によって当然違ってくる。

 しかしそれはどうあれ、元来が一方は教師である。他方は司書である。お互いの立場と役割の違いを認めあった上での、積極的な協力・協同が、その重なり合う部分で大きな意味を持つ。

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両者併置の状況を活かすには

文部省サイドからの司書教諭像

国会答弁(1997.5.30)


 「司書教諭の職務は,主として教育活動という観点から学校の先生が充てられるということから推測されますように,教育に関する職務に携わるものでございます」。

 「学校の教育活動全体の中で学校図書館をどのように活用していくかという大きな方針と申しましょうか,教育的な側面からその企画立案等に携わるということが大きな仕事になるわけでございます」。 

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協力者会議報告「司書教諭講習等の改善方策について」(1998.2.25)


 読書活動を通した児童生徒の豊かな人間性の育成に関する見識はもとより,学校図書館の経営能力,時代の変化に迅速に対応し得る情報教育の担い手としての力量や柔軟性,知的探究心,責任感,学校の教育課程の展開と各種資料の活用に対する深い理解・見識,さらには児童生徒や教師,地域の人たちとのコミュニケーション能力等の様々な資質を備えることが期待される。

 現在の司書教諭講習においては,学校図書館内の管理業務に係る知識等に比較的重点が置かれてきた傾向がある。……単に児童生徒の求めに応じるだけではなく,学校としての組織的・計画的な学校図書館の利用と指導を教育課程に沿って能動的・積極的に展開していくことが重要であり,講習はこの点を十分踏まえて展開されることが望まれる。

 これからの学校図書館は,学習情報センターとしての機能を一層充実していくべきであり,単なる図書の貸出・保管所などに止まってはならない。

 司書教諭に期待される資質能力も,単なる日常的な学校図書館業務遂行の技術等ではなく,教師としての力量や学校図書館に係る教育論,経営論などがより一層求められるようになっている。 

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司書教諭発令促進に関する文部省施策(文部省初中局小学校課 1998.12)


 司書教諭に期待される資質

  ○読書活動を通した児童生徒の豊かな人間性の育成に関する見識
  ○学校図書館の経営能力
  ○時代の変化に迅速に対応し得る情報教育の担い手としての力量や柔軟性,知的探求心,責任感
  ○学校の教育課程の展開と各種資料の活用に対する深い理解・見識
  ○さらには児童生徒や教師,地域の人たちとのコミュニケーション能力 など 

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文部省サイドからの学校司書(学校図書館事務職員)像

国会答弁(1997.5.30)


 「学校図書館運営の中心でございます司書教諭を補佐いたしまして,図書館の円滑な運営ということで,事務的,技術的な職務に従事をしているわけでございます。

 例えば,図書館サービスの職務として,館内の閲覧あるいは館外貸出,資料の利用案内といった仕事はこの学校司書の仕事でございますし,また技術的職務として,資料の発注あるいは購入,廃棄に伴います会計上,経理上,あるいは事務上のさまざまな処理というのは学校司書の方々に任されているわけでございます」。

 「各学校の方針の下で,その学校図書館をいかに円滑に子供たちや教師にサービスを提供するかという点では,この学校事務職員の仕事は大変大きいと思っております」。  

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「文部省初等中等教育局長通知「学校図書館法の一部を改正する法律等の試行について」(1997.6.11)


3.留意事項

(5) 学校図書館担当の事務職員は,図書館サービスの提供及び学校図書館の庶務・会計等の職務に従事しているものであり,その役割は,司書教諭の役割とは別個のものであることに留意すること。

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 司書教諭と学校司書についての文部省サイドのこうした説明(考え方)からは,両者の違いを一方を教育=指導,他方をサービスの担い手として強調することに専らで,教育の充実に資する両職種の積極的な協同のイメージは伺えない。

 定員措置につながる改正にはしないという前提の矛盾がここには明らかで,そこからは,「そんなことはこれまで私たちがやってきたことじゃないか」という司書サイドの反発を買ったり,日常の図書館サービスが十分に展開されないところで,どうして図書館を活かした指導が成り立つのか,観念的な空論だ,との批判を免れない。厳しい条件の下で学校司書が現に果たしてきた役割をもっと事実・実態に即して積極的に把握し,その配備を前提にした両者の主たる役割とその上での協同を考えることが重要である。





《司書教諭の職務》  


 教師の専門性に学校図書館の役割・機能についての基礎的な理解を加味した教員で、「教諭をもって充てる」と規定される現行法の下では、学校図書館の仕事に専念できる要件は備えていない。

 したがって、全校を対象とした直接の指導実践や図書館に常駐して利用者に対し不断の応対をする仕事は望みがたい。

 学校の教育計画全般に精通し、他の教員から何かと相談を受けるような力量のある教員が司書教諭に充てられるならば、学校の中で図書館の機能を生かせる場面を企画・提案し、の活動を具体化するための助言、参考資料の紹介などで各教員の図書館教育を奨励・支援することが中心的な役割となろう。

 そのような図書館とするための予算の確保,施設・設備,メディア環境の整備等の条件整備も重要な責務であり、一口に「経営的,助言指導的職務」と表現できよう。

 もし授業等の負担がかなり減免されるならば、各学年にわたる「図書の時間」を含む利用指導の一部を担当したり、各種メディアを含む教材資料の制作・開発に携わることも想定できる。

 文部省法規研究会がまとめた「司書教諭の職務の例」(後掲。1952年の局長通達の枠組みを敷延したもの)に掲げる多くは、専任でなければとても無理な職務の列挙になっている。

 「専任・専門・正規の職員として働いている全国の学校司書の姿に限りなく近い」と批判されるのももっともである。

 学校司書がいない学校では、司書教諭がこれらの仕事をもある程度はこなさざるを得ないことになる。

 それを想定しての職務内容であろうことは理解できるが、結果的にはそれを不十分ながらもやることが主となるのではないか。

 それは結局のところこれまでの係教師とさして違いのないものであり、文部省が期待する「司書教諭」らしさは薄れ、限りなく「学校司書」的な仕事の、それもごく皮相なレベルにとどまらざるを得まい。

 図書館には司書の専門性に立脚した専任のスタッフであってはじめて担える仕事が存在することをはっきり認識し、それは充て職の司書教諭が直接担うにはなじまない(実務を理解していることは必要だが)ことを率直に認めておくことが必要である。

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《学校司書の職務》


 学校司書は、利用者の資料・情報要求に徹底して応えるという図書館情報学の素養をベースに、教職教養の基礎を加味した専門性を備えた専任スタッフととらえるのが妥当である。

 「学校の教育課程の展開」を、児童生徒および教員に対する図書館サービスと助言・指導によって支え、子どもたちの図書館利用を励まし、読書経験を豊かなものとすることで、「健全な教養の育成を図る」学校の専門職員である。

 それは個々の利用者への直接サービスが基本であるが、学校の教育課程から由来することが主となるニーズへの的確な応対には、教授者である教師との連携・協同が欠かせない。

 それがまた新たな教育課程の展開(広がりと深まり)を生み出すことにもなる。その意味で学校に欠かせない教育専門職員である。

 さらに、「図書館登校」と呼ばれる現象が示すように、資料を媒介に一人ひとりの子どもの心と向き合う対応に、教科の教師とは一味違った専門性が発揮され、個を尊重する教育に欠かせない役割を果たしている。

 司書教諭の「経営的、助言指導的職務」に対して、「奉仕的,助言指導的職務」と総括できよう。

 両者の職務には相当に重なり合う部分があること、双方の職務の充実がお互いの仕事の質を高めあい、必要性を強める関係にあることを理解することが重要である。

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どんな職員体制を志向するか−これまでの対立する論点を整理する


 学校図書館には、教育学と図書館学の専門教養を習得した単一の学校図書館専門職員を、新たな教育専門職員として必要に応じて複数配置する制度が将来的には望ましいと考えられる。

 ただ、二職種併置となるほかない経過をたどった歴史的事実に即せば、当面その方向での合意を得るのは難しい。

 そこで現実的な方向として、司書教諭と学校司書の二職種をできるかぎりしっかりした中身と制度的根拠を備えたものとし、両者の対等な協同の関係を原則として、それぞれの実践と交流を強めることを志向するのが適当である。


 専任司書教諭の制度を新たに設け、現在の学校司書がそれに移行するという考え方が学校司書の一部にある

 学校図書館専門職員を単一職種として考える上では一理あるが、もともと「教諭」として採用されたわけではない学校司書を教諭の一種である司書教諭に切り替えるのは無理もある。

 現実の学校司書は基礎資格においても多様で,研修により基礎要件を埋めるとしても限度がある。したがって、これを当面の合意形成の基点とすることはできない。

 図書館の司書については、地方教育行政法や図書館法等により、専門的職員であることは既に法制化されている(給与体系はおおむね行政職)。

 むしろ重要なのは、働きによってそれが教育に欠かせない専門的な仕事であることを実践的に明らかにし、その認知を教育社会につくりだすことである。

 新たな専門職とはそのようにして形成されるものであり、現行の制度から固定的に考えるべきものではなかろう。

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当面する課題

 以上のような考え方を基に,学校図書館の整備・充実を図るための専門職員の体制をつくりだすために,小異を捨てて共通な目標を設定し,その実現に向けて協同することがいま重要である。具体的,かつ段階的に次のようなことに力を結集することを提起したい。

[当面の課題]
◎ 個々の学校現場,各研究組織(教科・主題別)の研究・教育論議の中に学校図書館を意識的に持ち込み,教育社会の学校図書館像の変革を進める。
◎ 学校図書館専門職員の働きを実践的に明らかにし,その中身の普及を図る。
◎ 自治体の施策として,学校図書館の日常的な仕事を担い得る専門職員を正規の専門職員として配置することを求める。その際,「学校図書館の仕事を担い得る」専門性の要件を大事にし,あいまいにしないことが重要であり,安易なボランティアへの依存はしない。
◎ 現に働いている学校司書の身分と働く条件の低下をきたさないよう自治体に求める。
◎ 司書教諭の発令が,学校図書館の充実につながるような内容として進められるよう,発令者(教育委員会)に働きかける。
◎ 学校司書に対する国や県の助成策を求める(国庫・県費負担職員への道を開く)。

[将来的な課題]
◎ 「専任の学校図書館専門職員」を制度化する際の内容と要件について検討し,合意形成を図る。(例えば,教育専門職員,専任,定員措置,資格要件とそのための養成教育など)
◎ 合意に基づき「専任の学校図書館専門職員」の法制化実現をめざす。