学校週5日制の是非
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2018.6.24(日)


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指導者のスピーチメモ(図式)







反論する


 明日、O小学校5年生の「要約学習」があります。授業の前半は与えられた文章(4種類)を図式化、それを基に4人組で相互にプレゼンしあいます。後半は、5年生では初チャレンジ、指導者(私)のスピーチを図式化しながら聞きます。二人組で相互に再現しあいます。ここからが正念場となります。

 今回のテーマは「学校週5日制」です。平成14年度に完全実施となり16年目に入って、完全に定着しています。しかし、今でも社会的には賛否が飛び交っています。そこで「学校週5日制」の経緯に併せ、「学校週6日制に戻そう!」というスピーチをします。子ども達には反論してもらいます。

 時間を4分間与え、自分の意見を図式化。二人組で相互にプレゼンしあいます。その後、時間の許す限り全体発表(挙手)という流れです。さて、小学校5年生がどのような反応、反論を見せてくれるのか、……楽しみではあります。

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メディア・リテラシー(英: media literacy)
=情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、
その真偽を見抜き、活用する能力のこと。

リテラシー
=読み書き能力。情報の応用力。
情報を受信するだけでなく、発信できる能力も含めた活用力。







メディアリテラシー


 今、学校教育をめぐっては、メディア・リテラシーが注目されています。

 学校教育(読解力)においては、いかに正確に文章を読みとるようにするかが、授業で目指すところでした。しかし、「ピサ型学力(読解力)」がクローズアップされ、情報活用能力こそ求められるべき学力という考え方が主流となってきています。

 その流れの中で登場したのが、「総合的な学習の時間」でもあります。インターネットの普及などにより、個人でも情報を発信することが容易になった昨今、リテラシーの向上がますます求められるようになっています。

 社会生活をめぐっては、さまざまな課題が取り巻いています。消費税、原発、学校週五日制、東日本大震災復興問題、個人情報保護法、靖国参拝問題、尖閣諸島と日中問題、……。これらの課題について、新聞やテレビなどマスコミの論調に振り回されない、自立した社会人であることが、ますます重要となってきています。

 こういう時期に当たり、生徒には文章を正確に読みとるとともに、自分なりの考えをめぐらし、さまざまな観点から自分なりの見解を導き出すよう、その基盤を培ってやりたいと考えています。

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後戻りは出来ません


 ところで、学校週5日制が6日制に戻るのかというと、それはほとんどの無理だと思われます。完全実施開始から15年が経過しており、すっかり学校、地域社会に定着しているからです。ただ、アンケート結果から見られるように「子ども達にとって、ほんとうに5日制にしてよかったのか?」という疑問が渦巻いています。

 もともと「大人の論理」(学校を週休2日制[あえて学校週5日制と命名]にすることを突破口にして、労働時間の短縮を実現しよう!)から浮上した「学校週5日制」です。「子どもを家庭・地域に返そう!」という美名?の基に、10年がかりで実現しました。

 その結果、子どもを取り巻く状況はどうなったのか?

 都会では「学習塾の加熱」を招き、田舎では「ゆとり」どころか「生活のゆるみ」を生んだという声が大きいようです。逆に学校は「ゆとり」どころか、「忙しなくなった」という声が大半です。地域活動は、スタート当初は百花繚乱でしたが今や完全に色あせました。それどころか、課外活動・部活動の加熱(勝利至上主義)を加速している現状もあるようです。

 都会にあっては、有名私立進学校の多くが「6日制」を維持していることもあり、東京都・大阪府などでは「月2回の出校」を認めています、……。

 ただ、この度の「学校週5日制」を機に「新しい学力観」が提示され、 とうとう「大学入試」にまで改革が及びつつあります。「知識・理解」だけではなく、「自ら学ぶ意欲・学び方・思考力・発信力」の育成がクローズアップされています。

 その目玉が「総合的な学習の時間」ですが、現状は学校間格差が徐々に広がっているのではないかと危惧しています。

 「総合的な学習の時間」を学校行事・学級活動・体験活動などにカウントし、「新しい学力」が置き去りになってしまっているのではないか、……? 本当に「新しい学力」を育てる授業となっているのか、……?

 今、個人的に東奔西走している「要約学習」こそは、「新しい学力」を支える重要な学力を培っていると自負しているところです。

 溢れかえっている諸情報、社会の動きに関心を持ち、自分から調べたり考えたりする姿勢を培う。その調べ方、まとめ方、発信の仕方の基盤を学ぶ時間、それが「要約学習」(実際には図式学習)です。

 人工知能が加速度的に進化しています。人の仕事がどんどん奪われるのではないかという恐ろしさが漂っています。

 今や「学校週5日制」は地域社会に定着しています。後戻りは出来ません。こういう現状をふまえて、では学校はどうあるべきか? 多忙に流されるのではなく、時々立ち止まって「児童・生徒像」「学校像」「学力観」を見つめ直し、着実に前進していきたいものです。

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私自身は?


  すでに学校現場を離れて7年余りが経過している私ですが、保育所に勤務しています。年長児を対象に「プレゼン学習」を日々模索しています。

保育所での要約学習

 要約学習については、赤来中では年間7時間(1年生は5時間)出かけるとともに、赤名小・来島小・飯南高校にも出向いています。

 今年度は、町外の学校では、出雲市・浜田市・奥出雲町・美郷町にも授業や教員研修に出かけ(てい)ます。いま行っている「要約学習」は、きっと将来の豊かな生活に役立つという、確固たる強い信念を持って、1時間の授業に全力投球しています。

 何よりも嬉しいのは、保育所を含めて、子ども達が「要約学習」を心待ちにしてくれていることです。着実に図式力を高めてくれていることです。

 明日のO小学校5年生(2クラス)の授業については明日、授業の状況を(この下のスペースに)記録しようと考えています。

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2018.6.25
授業後



児童の反論図式例








以下は
2018.6.25(月)記載


5年生2クラスの授業を終えました。
今日は気温が30度を超す猛暑。
5時間目と6時間目でしたが
2クラスとも
果敢に学習に取り組んでくれました。

楽しみにしていた
反論スピーチですが
5年生でも
なかなかやるもんです。

ただ
学校6日制の方がいい
という児童も若干名(たぶんクラス32人中7〜8人)いて
驚きました。

でも学習の趣旨を話して
あえて反論スピーチ用の図式を書いて
スピーチをしてもらいました。

2人組の相互スピーチの後
挙手により全体発表を促しました。

時間不足になるほど
たくさん手が挙がり
活発に発表してくれました。

メディアリテラシーを育てる。
小学校5年生でも
十分学習が成立すると知りました。

要約学習に
また一つ進展があった
この度のチャレンジでした。