@ 今、さまざまな産業で外国人への依存が進んでいます。特に進んでいるのは、高齢化のため人手不足が深刻な農業です。全国的に見ると、農業に従事している外国人の数は1995年には約2,800人だったのが、2015年には2万1,000人。この20年で、7.5倍にもなっています。
A こうした中、産地では日本の食卓にも影響を与えるような事態が起きています。全国一のメロンの産地、茨城県の鉾田市では、若い世代の実に5人に1人が外国人。そのほとんどが、一時的に日本の農家で働く「外国人技能実習生」です。当初、「実習生」はメロン農家の人手不足を補ってくれるはずでした。ところが、ここ20年でメロンの生産量は減り、メロン農家も半分以下になってしまいました。実習生を雇うようになったことで、メロン栽培から葉物野菜にかえたというのです。
B その理由は、「外国人技能実習」の制度にあります。農家は実習生と年間を通して雇用契約を結び、毎月給料を払わなければならない仕組みです。ところが、メロン栽培で収入があるのは年2回の収穫期のみ。そのほかの時期には仕事が少なく、ほとんど収入もありません。農家にとって、収入がない時期にも実習生に給料を払うのは大きな負担です。一方、葉物野菜の場合、時期をずらして種をまくことで毎日収穫ができます。1年を通して収入があるため、毎月、実習生に給料を払いやすいのです。こうした理由で鉾田市の農業は大きく変わってきているのです。