ワトソン
人工知能が治療の助言

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授業対象=中学校3年生
実施=2018.1.15


2018.1.14


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全体像


教材


@ IBMの人工知能「Watson」が、特殊な白血病患者の病名を10分ほどで見抜き、その生命を救ったと東京医科学研究所が発表しました。この患者は医師によって「急性骨髄性白血病」と診断され抗癌剤治を受けていましたが、まったく効果が現れていませんでした。

A このような病名診断は通常、複数の医師が症状や遺伝情報などから医学論文を突き合わせて行っています。しかし論文の数は膨大で、人間の能力ではすべてを学習・記憶し結論を出すことは困難です。そこで東京医科学研究所は、人工知能「Watson」を2000万件以上の癌に関する論文を学習して鍛え上げました。この学習成果を基にWatsonが診断を下し、急性骨髄性白血病のうち「二次性白血病」というタイプであるとの分析結果が出ました。

B さらにWatsonは、抗がん剤を別のものに変えるよう提案。患者はWatsonが病名を見ぬいたおかげで適切な治療を受けることができ、すでに退院しました。さらにWatsonは他の患者43人に対して、治療や診断のアドバイスを提供しているとのことです。すでに時代は人工知能(AI)による診断と治療方法のアドバイスの方が遥かに正確になっていると言えそうです。今後、人間の医師の役割はAIが出す診断のチェックおよび治療処置と、新たな知識を発見する研究分野などに特化していくのかもしれません。

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合計20分〜23分扱い

  図式化(個人学習)8分 

  ⇒4人グループ(相互プレゼン;40秒×3セット) 

  ⇒全体代表プレゼン(計4人;4分)

  =合計時間 20分+アルファ




この日の授業では
次のような3層構造で行いました。

 1)聞き取りメモ
  =「自動運転」の話(指導者がスピーチ)をメモ書き(図式)しながら聞く。
  =その後、2人組になって相互にレゼンしあう。⇒代表者プレゼン

@ 2年に一度開催する「東京モーターショー」を無事終えた2017年の自動車業界。世界の環境規制を受け、各社はEV(=電気自動車)分野の強化を方針として打ち出しました。トヨタ自動車は、2025年までにエンジン車のみで展開する車種をゼロにすると発表。2030年に自社の販売台数のおよそ半数(550万台)を電動車にし、FCV(=燃料電池車)、HV(=ハイブリッド車)、PHV(=プラグインハイブリッド車)と合わせてEVの開発に本格参入し、電気で動く車(=電動車)の幅広い展開を行うと発表しました。

A ヨーロッパなどを中心とした世界各地でガソリン車の販売を禁止する動きがある中、世界のEV化への流れは一気に拡大しています。トヨタ自動車は海外市場を強く意識する方針変更ですが、国内メーカーの多くはガソリン車中心の認識を変えていいません。

B 電気自動車の課題は「航続距離(電池容量)」と「充電場所」です。今後、画期的な技術革新がないと厳しいと言えます。もしかしたら、現状では1000万円程度と想定される「燃料電池自動車」(燃料は水素)のコストダウンの方が、先に来るかもしれません。もっとも電気自動車も、200万円後半から400万円程度の本体価格がもっと安くなれば、消費者の購買意欲も上がると思われます。

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 2)上の教材を含む4教材を使用。4人グループで相互プレゼン。

 3)2人組になり、一人が別室で(メモをとらずに)一つの情報を聞く。
  =教室へ戻ってペアの人にプレゼン ⇒代表者プレゼン
   教材=「水素発電」&「揚水発電」

              注目される水素発電

@ 東日本大震災(2011年3月11日)による、福島原子力発電事故をきっかけに、川内原子力発電所以外の原発は停止したままです。日本の電力は、(輸入でお金のかかる)石油や天然ガスなどによる「火力発電」に頼る状況となっています。

A これを解決する方法として、「再生可能エネルギー」(現在、発電のわずか 2%)があります。再生可能エネルギーによる発電は、例えば太陽光発電・風力発電・地熱発電などがあります。しかし、それぞれに発電が難しかったり、不安定だったり、お金がかかりすぎたりして、活用するまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

B そこで最近注目されている発電方法が、「水素発電」です。昨年12月、トヨタから燃料電池自動車「ミライ」が発売されました。この自動車は、燃料として水素を積んでいます。空気中の酸素と反応させて発電し、モーターを動かしています。この原理を利用して発電するのが「水素発電所」です。

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               揚水発電所

@ 電力は、現在のところ大規模な蓄電装置(電気を溜めておく仕組み)が実現していません。そこで見直されているのが「揚水発電」です。「揚水」とは、水を汲み上(揚)げることです。揚水発電は、夜間の余った電力を使って低い土地から高い土地に、ポンプで水を汲み上げます。

A 逆に電力がたくさん使われる昼間は、高い土地から水を落として、通常の水力発電のように水車を回して発電します。これによって電力エネルギーが3割失われますが、電力の需給の差(昼間の電力消費は多いが、夜間の電力消費は少ないという差)を巧みに活用した「蓄電」の方法です。

B 揚水発電所は国内に40か所あり、総電力は 2,600万Kw(世界最大)です。しかし、規模が小さい発電所ばかりということもあって、現在の利用率はわずか 3%に過ぎません。現在稼働している国内最大の揚水発電所は、兵庫県朝来市の「奥多々良木発電所」です。ここでは高低差400m、貯水池間の距離4Kmを利用して193万Kwを発電し、夏場の電力安定供給に寄与しています。

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