@ ブラック企業とは、「若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む企業」のことです。その逆が「ホワイト企業」です。近年、就職した大学生の3人に1人が3年以内に退職・転職しています。その原因の一つがブラック企業だとされています。こういう中にあって、就職先を決めるにあたって学生は「会社がブラック企業かホワイト企業か」をたいへん気にするようになっています。学生の働く環境への意識の高まりは、企業の採用活動にも変化をもたらしています。
A どの企業も残業の少なさや休暇の充実をアピール。学生の売手市場(就職しやすい状況)が続く中、人材を確保しようと企業は必死です。しかし、「営業目標を下げることなく労働時間をどう減せるか」、現場は悩みつづけています。調査によると企業の約80%が、残業時間の削減に「何らかの形で取り組んでいる」と答えています。残業の削減で予想される影響を聞いたところ、「従業員のやる気が上がる」というプラスの声もありますが、「仕事の積み残しが発生する」「売り上げが減る」など、悪影響を懸念する声も目立っています。
B 成果を上げている企業もあります。例えば、従業員1万5,000人の大手住宅メーカーです。6年前から本格的に働き方改革に取り組んできています。その1つが、パソコンの使用制限です。事前に残業を申請しないと、定時でパソコンが強制的に使えなくなります。働けるのは夜8時まで。時間がくると、オフィスの照明はすべて自動で消えます。このことが従業員の意識を変えました。