@ 少し傷がついたりしただけで、まだ賞味期限前なのに捨てられてしまう食品のことを「フードロス」と言います。このフードロスが年間621万トンに上っています。こういう捨てられるはずだった食べ物の一部が、スーパーや食品メーカーから食糧支援団体に届きます。これを生かした“食糧支援”が、全国的に広がりつつあります。
A 食費が1日千円以下の家族(6畳一間で4人暮らし)のケースです。高橋さん(仮名)は 女手一つで、3人の娘を育てています。朝から晩まで、休む間もなくホテルで清掃の仕事をして、パート代は月に18万円ほどです。家賃や光熱費などを引くと、1日分の家族の食費は千円以下しか使えません。いつもお腹を空かせていた子ども達は次第に気力を失い、学校にも通わず、引きこもりなっていきました。借金するまで追い詰められた一家は、思い切って市役所に相談に行きました。そこで勧められたのが、食糧支援です。食糧支援を受けられるようになって半年、子ども達はみるみる元気になり、学校へ通うようにもなりました。一家は感謝の生活を過ごしています。
B 食糧支援団体「フードバンク」によると、632万トンあるフードロスのうち、食糧支援などに活用できているのはわずかに4,000トン程度です。今後フードロスの無駄を活用して、一人でも多くの人が助かるよう、全国各地での取組が期待されています。