@ 産業廃棄物は工場などから出る、有害物質を含むゴミです。これは瀬戸内海にある香川県、豊島(てしま)の話です。豊島は、周囲20km、人口約800人の島です。今年3月28日、岸壁に100人を超える住民が並びました。島を苦しめてきた産業廃棄物の撤去(取り除く作業)を見届けるためです。
A 昭和50年代、島に不法に投棄された産業廃棄物によって、美しい島(豊島)は「ゴミの島」と呼ばれるようになりました。日本の経済成長に伴って、全国で相次いだ産業廃棄物の不法投棄になりました。とりわけ深刻な状況に置かれたのが、瀬戸内海にある豊島です。昭和50年代から10年以上にわたり、民間の処理業者によって車のタイヤや壊れた部品、化学物質など大量の産業廃棄物が不法に投棄されたのです。これに対して住民たちは、42年にわたり活動を続けてきました。
B 廃棄物を撤去してほしいと県に助けを求めたものの、県は「撤去する義務はない」と応じませんでした。しかし、住民の根気強い働きかけにより、やっと真鍋武紀前県知事が「豊島の住民の皆様に、長期にわたり不安と苦痛を与えたことを認め、心からおわびをいたします。」とコメントを発表、廃棄物を撤去することを約束しました。そして3月28日は、残された廃棄物がすべて島から搬出される日だったのです。もっとも、島には汚染された地下水の浄化作業がまだ残されています。島がかつての姿を取り戻すまでには、まだまだ長い道のりが続きます。