小学校5年生対象
16教材


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2017.1.3


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2017.1.12〜1.13
E小学校5年生を対象に授業予定です。
5年生向けに
これまで作成している教材を選び
少しずつ変更して
以下のように16教材をそろえました。

なお
ホームページ容量の関係で
図式は省略します。


@ メディア依存
A ダニによる恐ろしい病気
B 海中都市
C ニホンイシガメを守れ!

D ジェネリック(後発医薬品)
E イルカ追い込み漁
F 消費税の軽減税率とは?
G 運動中の給水

H ゼロ戦
I 人間魚雷「回天」
J アイボ
K コミュニケーションロボット「パルロ」

L 50年後の日本
M 尿のにおいでがん発見
N 世界で最も恐ろしい生物は?
O 燃える氷

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(1) メディア依存


@ 日本は世界一です。ただし、電子メディア(スマホ・テレビ・テレビゲームなど)の時間の話です。小5〜中1を対象にした調査では、一年間合計 1,100時間(一日平均約3時間)。一年間に学校で受ける授業時間と同じぐらいになっています。

A 一方、子ども達の体力・運動能力は1985年をピークに、大きく低下した状態が続いています。電子メディアが普及し、メディアの時間が長くなったことが原因の一つとされています。からだの発達の遅れ、言葉の力のレベルが低いことなども含めて、日本の子ども達は深刻な状況にあります。

B ユニセフの調査によると、調査した24か国のうち、「自分は孤独だ」と回答した日本の子どもは 30%(3人に1人)。2位のアイスランド 11%(10人に1人)を大きく引き離して第一位です。メディアとの付き合い方を考え直す必要があります。

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(2) ダニによる恐ろしい病気


@ 3年前、ダニが関係している新しい感染症(細菌やウイルスが原因の病気)が日本で初めて確認されました。ウイルスの名はSFTSです。血液の中の血小板が破壊されるため体のアチコチから出血し、血が止まらなくなる恐ろしい病気です。

A この感染症は、「フタトゲチマダニ」というマダニが関係していることが分かりました。このダニは、家にいるイエダニとは種類が違います。大きさは3mmですが、血を吸うと1p以上になります。森林や草地などに隠れていて、人や動物が近づくと熱や匂いに反応して飛びついてきます。そして、皮膚に管を差し込んで血を吸います。数日間、咬みついたままです。

B 咬まれていることを発見したら、無理に取ろうとしてはいけません。マダニの体がちぎれたり、マダニの体液が体に入ったりする危険があります。すぐに病院へ行き、取り除いてもらいましょう。

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(3) 海中都市


@ 海の深いところで生活出来る、海中都市「オーシャンスパイラル」の計画が発表になりました。計画を発表したのは清水建設です。現在のところ計画だけではありますが、2030年頃には実現の見込みです。

A 計画によると、オーシャンスパイラルの中で5,000人が暮らせます。人が住む場所は、海中にぷかぷか浮かぶ直径500メートルの巨大ボールの中です。この巨大ボールの下から、らせん通路が5,000mの海底まで続きます。海底までは備え付けのゴンドラ(人が乗れるカゴ)で移動します。巨大ボールと海底とはケーブル(太くて強い綱)で接続されており、漂流する(漂って流される)ことはありません。

B 海底の施設には、潜水艦用の港や工場があります。また、海面近くと深海の水温差を利用した発電も行われます。

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(4) ニホンイシガメを守れ!


@ 日本の自然界に生息する(棲んでいる)カメに、異変が起きています。昔から日本にいた「ニホンイシガメ」の数が大きく減り、もともと日本にいなかった「ミドリガメ」が大幅に増えているのです。アカミミガメのふるさとは、アメリカのミシシッピ川流域です。日本では60年前ごろから輸入されるようになりました。

A ところが、飼い主が捨てた「ミドリガメ」が全国各地で野生化。急激に数を増やし、もとからいた「ニホンイシガメ」の棲みかを奪ってしまっています。もともと「ミドリガメ」はワニなどの天敵が多い所で生息しており、そのため卵を一度にたくさん産んでいました。ところが日本では天敵(自分を食べる敵)がいないため、爆発的に増えてしまったのです。今では、日本全体のカメの数の6割を占めています。

B そこで、日本政府は対策に乗り出しました。ニホンイシガメの輸出を制限するとともに、アカミミガメは輸入禁止にすることにしたのです。

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(5) ジェネリック(後発医薬品)


@ 最近、病院や薬局で「ジェネリック医薬品」を勧められることが多くなりました。ジェネリック(後発医薬品)は、新薬(新しく開発された薬)として販売されていた薬の特許期間(20年〜25年)が切れた後に、同じ有効成分(効き目のある物質)を持つ薬として販売されている医薬品です。新薬と比べて値段が半額以下で、しかも効き目が同じです。

A ジェネリック医薬品が安いのは、理由があります。新薬の開発には10年以上かけて研究し、費用も300億円以上かかります。その点、ジェネリック医薬品は効き目があるかどうかだけを確かめるだけで、厚生労働省から販売許可が得られます。

B ただ、ジェネリックに不安を持つ人も少なくありません。「ジェネリックにしたら効き目が少なくなった」とか、「副作用で発疹が出た」などと訴える人もいます。ジェネリックを利用する場合、おかしいなと感じたら医師や薬剤師に相談することが欠かせません。

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(6) イルカ追い込み漁


@ 秋になると和歌山県太地町では、イルカの「追い込み漁」が行われます。ここで捕獲されたイルカは食用のほか、一部は生きたまま水族館に販売されます。これに対して世界動物園水族館協会は、イルカの追い込み漁は残酷だと批判しています。

A 追い込み漁は、数隻の船で鉄管をたたくなど大きな音を出しながら、イルカの群れを沖合から湾の中に追い込んで捕まえる方法です。太地町では、昔からの伝統的な漁法です。特に残酷な方法とも言えません。ところが、欧米人は知能の高いイルカを人間に近い、特別な動物と考えています。漁によって捕まえること自体に、強く反対しているのです。

B 世界動物園水族館協会は、併せて日本の水族館に対して、太地町で捕獲されたイルカを買わないよう強く訴えました。どの水族館も、これに従うことにしました。イルカの出産や育児は技術的に難しく費用もかかりますが今後、各水族館はこの困難な課題に取り組んでいくことになりました。

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(7) 消費税の軽減税率とは?


@ 消費税は現在8%(パーセント)、国に納める税金の一つです。100円の買い物をするとき、8%(8円)多い108円を支払いますが、そのうち8円は税金です。これが消費税です。この消費税が来年4月から10%になります。しかし、食品は8%のまま据え置くことが決まりました。この8%に据え置く税率をのことを「軽減税率」と言います。ところで、食品を8%のままに据え置くのはなぜでしょうか?

A 食品は私たちの生活に欠かせません。収入がいくら少なくても、食品を減らすわけにはいきません。消費税が上がることによって、特に収入の少ない高齢者などにとって大きな痛手(ショック)です。そこで、食品は8%のまま据え置くことになったのです。

B なお、2017年4月に予定していた消費税増税10%を再び(2019年10月まで)延期にすることになりました。安倍晋三首相は「景気があまりよくない状況が生まれているから」と説明しました。

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(8) 運動中の給水


@ 30年〜40年前まで、「運動中は水を飲むな」と指導されてきました。必要以上水を飲むと体はエネルギーがたくさん必要となり、体力が消耗するというのが、その理由です。

A しかし今、運動中の給水は常識です。体の60%は水分です。運動することによって体温が上昇します。時には39度に達することもあります。高くなった体温を下げるために、多いときには1時間に1リットル(ペットボトル2本分)も汗をかきます。体重の3%の水分を失うと、運動能力が低下し始めます。10%失うとケイレンが起こります。20%以上失うと脱水症状(熱中症)を起こし、死の危険が迫ります。こういうこともあって、マラソンには給水地点が設けられています。

B 運動に際しては、まず運動前にコップ1〜2杯の水分を摂りましょう。運動中は「なるべくこまめに、一度に摂る量は少なめに」が基本です。ペットボトルを携帯して15〜20分おきに一回くらいの間隔で、コップ1杯程度の水分補給を基準にしましょう。

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(9) ゼロ戦


@ ゼロ戦(零式艦上戦闘機)は1940年7月に誕生しました。最高時速が533Km、航続距離(続けて飛べる距離)が2,222Km、当時の戦闘機の性能としては群を抜いていました。これだけの時速と航続距離が出た秘密は、徹底した軽量化(機体を軽くする)にありました。

A 機体は軽量化するため、ぎりぎりまで薄くし、機体のあちこちに「穴」を開けました。コックピット(人間が乗る場所)には、当然あるべき「防弾板」(特に防御を厚くした構造)がありませんでした。こうやって軽量化を図るとともに、航続距離を稼ぐため、(撃たれやすい)主翼の中にまで燃料タンクが造ってあったのです。

B こういう理由から、ゼロ戦は連戦連勝、アメリカ軍が恐れる戦闘機として活躍し続けました。しかしアメリカ軍はゼロ戦を徹底研究した結果、機体が軽すぎて急降下・急上昇に弱いことを発見しました。そのときから、ゼロ戦の優位は一気に低下しました。

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(10) 人間魚雷「回天」


@ 神風特別攻撃隊「特攻」は、飛行機による死を覚悟した体当たり攻撃として知られています。日本にはもう一つの秘密特攻兵器、人間魚雷「回天」がありました。本来、魚雷は潜水艦から戦艦めがけて発射される全長15m、直径1m の爆弾兵器です。その兵器の命中率を高めるために魚雷の中に人間が入って操縦し、人間もろともに体当たりし敵艦を沈めるという、恐ろしい兵器に改造したのです。

A 問題は、いざというときの脱出装置がなかったことです。ドイツやイタリアにも人間魚雷はありましたが、脱出装置がちゃんと造ってあり、生きて帰ることを前提に造られていました。それに対して日本の場合、出撃は「死」を意味していたのです。

B 終戦の前年、1944年7月に人間魚雷「回天」が完成。終戦まで約9か月、104人もの若者が海に散っていきました。一方、戦果(沈めた船)と言えば小型船ばかりで、しかも沈没4隻、損害5隻に過ぎませんでした。

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(11) アイボ


@ アイボは、正式な呼び名は「犬型ペットロボットAIBO」です。4本足の歩行が可能な子犬に似せたロボットで、組み込まれているカメラ・マイク・コンピュータによってまわりの様子を見たり、命令を聞き分けて動いたりできます。また、記憶したり学習したりすることができるので一匹一匹、飼っているうちに、個性(性格)が違ってきます。

A 初代アイボは1999年(平成11年)、ソニーが製作・販売し、多くの人に愛され続けてきました。計15万台が販売された後、2006年(平成18年)に生産を終えました。その後も、故障すれば「クリニック」(修理工場)で修理が続けられていましたが、2014年3月に閉鎖(修理をやめる)されてしまいました。アイボファンは、大きなショックを受けました。

B そこで、技術者として長年ソニーに勤めた乗松伸幸さんは早期退職し、「アイボ」の修理を始めました。「アイボ」が可愛くて手放せないファンは大喜び、現在も20匹が入院中とのことです。

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(12) コミュニケーションロボット「パルロ」


@ 「パルロ」は、5歳児ぐらいの雰囲気を持つ「コミュニケーションロボット」(会話をするロボット)として開発が進み、2012年に高齢者福祉施設向けロボットとして発売されました。定価は、一体が67万円。貸し出しの場合は、一月あたり3万円です。

A 「パルロ」の身長は40センチ。マイクやカメラとともに、人工知能を搭載しています。百人以上の顔と名前を区別できたり、数千の言葉を話したりして会話が出来ます。音声の方向も分かるので、顔を向け、目を合わせて会話が出来ます。メールの読み上げもしてくれたり、ニュースや天気予報を教えてくれたりします。また、歌ったり、音楽に合わせて踊ったりもします。

C 富士白苑(介護老人福祉施設)では3体購入しました。高齢者からは、「落ち着く」「かわいい」「頭がいい」など、すこぶる好評です。ただ、課題も残っています。一つは「音声認識の向上」です。話しかける人によって、音声を識別できたり出来なかったりということがあるからです。(現在、出雲弁の聞き取りは無理です。)

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(13) 50年後の日本


@ この冬は、暖冬で雪不足のためスキー場が営業できないというニュースが、ときどき報道されています。今回の暖冬は「エルニーニョ現象」が原因だとされていますが、全体的に地球が温暖化へと向かっているようです。こんな状況の中、このほど気象庁が「50年後の日本」予測を発表しました。

A それによると、50年後の日本は平均気温が2.5度上昇し、東京の気温が鹿児島の気温まで高くなるとのことです。このように温暖化が進むと、台風が巨大化するとともに竜巻がよく発生するようになります。洪水が起こりやすくなるとともに、逆に渇水(水不足)も起こりやすくなります。

B さらには、自然災害や害虫の発生により、農作物の被害が増えます。また、海面が65センチ上がるとともに、日本列島から砂浜の80%が消えるとのことです。

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(14) 尿のにおいでがん発見


@ 尿のにおいでがんが発見できるという、これまでにない方法が発表になりました。体長1ミリの線虫に人間の尿の臭いを嗅がせ、その反応からがんであるかどうかを判定します。費用は検査1回100円、約1時間という簡単な検査で分かります。まだ研究段階ではありすが、2019年に実現できる見込みです。

A 線虫は土の中や水の中に棲んでいる小さな動物で、簡単に増やすことが出来ます。研究グループは、がん患者には独特の臭いがある点と、犬並みの嗅覚でにおいに反応する線虫に注目。がん患者の尿には寄りつき、健康な人の尿からは逃げる行動を確認しました。

B さらに、線虫のがん検査で「がん患者」だと判定された24人のうち5人は、線虫の検査以前にはがんが見つかっておらず、これまでのがん検診で見つからない「早期がん」も発見できる可能性が高いことも分かりました。

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(15) 世界で最も恐ろしい生物は?


@ 「世界で最も恐ろしい生物」と聞いて、どのようなものが頭に浮かぶでしょうか。まず思いつくのは、ライオン、サソリ、毒グモなどでしょうか。「最も恐ろしい」というのは、何を恐ろしいとするか、その定義により異なります。ここでは、「その生物が一年間で人間を何人殺しているか」を基準にします。

A 世界で最も恐ろしい生物、第4位は「イヌ」です。人間を噛み殺しているのではなく、噛んだときに病原体「狂犬病ウイルス」が人の体内に侵入するからです。狂犬病は発症すると100%死に至る病気で、その数は年間2万5000人です。第3位は「毒ヘビ」です。世界では年間5万人もの人が死亡しています。第2位は「ヒト」です。地域紛争・戦争・テロによって、世界中で年間47万人もの人が「ヒト」に殺されているのです。

B さて、1位の生物は何でしょうか。それは「蚊」です。世界中で蚊に殺されている人間は年間なんと75万人。2位に大きく差をつけています。蚊がもたらす感染症は、マラリア(世界3大感染症の一つ。年間60万人以上が死亡。)・デング熱・日本脳炎など、恐ろしい病気ばかりです。

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(16) 燃える氷


@ メタンハイドレートは、死んだ動物や植物から出た「メタン(ガス)」と水からできており、一見すると氷のようで、さわると冷たい物質です。しかし、大量のメタンを含んでいるため、火を点けると勢いよく燃えて、最後は水しか残りません。そのため、メタンハイドレートは「燃える氷」と言われています。

A メタンハイドレートは、温度が低く圧力の高い場所でしか状態を保つことができません。そのため、水深500メートル以上の深い海底の下にしか存在しないのです。

B 日本でも、隠岐の島周辺、北海道の南、佐渡島周辺などに、たくさんのメタンハイドレートがあることが分かってきました。近年、採掘技術(掘り出す技術)がどんどん進化して、採算(もうけ)が取れるまで、あとひと息というところまで来ています。

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