@ 小型無人機「ドローン」と人工知能(AI)を使って山間地の「生活改革」を目指す実証実験が東京都奥多摩町で始まった。実験で大きな役割を果たすのが、最先端のAI技術である「ディープラーニング」(深層学習)だ。人間の脳の神経回路のように、コンピュータ自身が「学び」を重ねていく中で「考える力」を蓄えていく。
A ドローンの場合、地上を繰り返し撮影して情報を蓄積し、町内の様子が詳しく分かる特殊な地図を作り、これに基づき高度な自動飛行を実現する。町が想定する利用法の一つは、防災や災害時への対応だ。飛行時の画像と地図を比較することで、災害に伴う地形の変化や倒壊家屋などを即座に見分けられる。警察や消防に通報すれば2次被害を防げるし、土砂崩れなどで孤立した地域にドローンで迅速に救援物資を運べる利点もある。
B 過疎化や高齢化の対策にも活用する。中心部から遠い集落の高齢者は「買い物弱者」になっている。そこで高齢者宅に日用品を運んだり医薬品を届けたりして、生活を支援する。空き家の近くで不審者を発見したら、すぐに警察に通報するシステムも検討している。また、町内にはクマ、シカ、イノシシ、サルが生息し、農業被害が大きい。飛行中に害獣を農地や住宅地付近で見つけたら、大きな音を出して山に追い払う。