@ 今年のノーベル医学生理学賞に、東京工業大栄誉教授の大隅良典氏(71歳)が選ばれました。生物は飢餓状態になると、自らの細胞を作り替えたり、休眠状態になったりして乗り切ろうとします。このことは、哺乳類の冬眠などを通して古くから知られていました。
A 大隅氏は、生物が細胞内でたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象を証明しました。この働きに不可欠な遺伝子を「酵母」(さまざまな発酵を起こす微生物)を使うことによって実現したのです。
B オートファジーは、生物が生き延びるために身に付けている戦略です。近年、オートファジーはパーキンソン病やアルツハイマー病など、異常なたんぱく質が体に溜まるのを防ぐ働きをしていることが分かってきています。今後、さらに研究が進めば、がん治療・難病治療・老化防止に役立てられることが期待されています。
C なお、日本のノーベル賞受賞は、これで計25人となりました。授賞式は今年12月10日、ストックホルムで開かれ、賞金約9,500万円が贈られます。