@ 体に無害な「近赤外線」を当てることによって、がんを攻撃する免疫を活性化させ、がんを縮小させることに小林久隆(アメリカ保健研究所主任研究員)らが、マウス実験で成功しました。数年後の臨床試験(人間を対象にした治験)を目指しています。
A 地表に降り注ぐ太陽熱エネルギーの約半分が、近赤外線です。若返り治療などよい面での活用がある反面、欠点もあります。それは皮下組織を破壊し、皺の原因になったり老化現象を引き起こしたりすることなどです。
B ところで、がん細胞は(免疫を抑える働きのある)「制御性T細胞」を利用して、がん細胞を攻撃する「免疫細胞」から巧みに逃れていることが分かっています。研究チームは、がん化した患部に近赤外線を当て、化学物質による発熱でがんの周囲にある制御性Tを死滅させることに成功しました。その結果、がん細胞は免疫細胞の攻撃から逃れられなくなり、がんを大幅に縮小させることができました。がんを狙い撃ちする今回の方法が実用化できれば、より高い治療効果が期待できます。