@ 昔、オオカミは害獣(人間に害をもたらす動物)を駆除(退治)してくれるということで、山間部(農家)を中心に「狼信仰」が存在していました。「オオカミ」(大きい神)と呼ばれたのも、その考え方に由来があります。しかし、ニホンオオカミは約百年前に絶滅しました。その原因は江戸時代、ニホンオオカミの間で狂犬病が流行(人間にも移る)していたこと、オオカミによる家畜襲撃の増加がオオカミの駆除(殺すこと)につながって、絶滅に至ったと考えられています。
A ニホンオオカミは体長約1m、肩高約50p、体重15Kg。海外のオオカミよりも小さく、中型日本犬ほどの大きさです。山峰に広がるススキの原などにある「岩穴」を巣とし、そこで3頭前後の子を産んで育てていました。ニホンオオカミは大規模な群れを作らず、3〜10頭程度の群れで行動し、主にニホンジカを獲物としていました。しかし、人里に出現して飼い犬や馬を襲うこともありました。
B こうやってニホンオオカミが絶滅したことにより、天敵がいなくなったイノシシ・ニホンジカ・ニホンザルなどの野生動物が大繁殖することとなりました。やがて、大繁殖したこれらの動物が人間の生活圏にまで進出し、農作物に大きな被害を与えるようになって、今日に至っています。