幼児対象の要約学習
〜現状報告〜

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2016.10.9(日)


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実際に行った教材(例)

ツメの役割
チョウとガの見分け方
風邪の症状の意味
アマガエルはなぜ窓ガラスにくっつけるのか?





 
軌道に乗ってきている取組


 以下の文章は、「赤名保育所だより」第42号(2016.10.11 発行予定)に掲載する予定の解説文章です。上の写真は、この「たより」に掲載しました。


 きりん組の皆さんは毎日(12:30頃〜12:50頃)、6月中頃から「聞き取った内容をみんなの前でスピーチ伝達(プレゼンテーション)する」訓練を重ねてきています。
 内容を聞き取る(理解する) ⇒内容を保持する ⇒伝達(プレゼン)する という一連の流れを8名全員が行っています。個人差がありますが、最初頃と比べて少しずつ上達しています。

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学力の基盤づくり


 6月中旬からスタートした@「要約学習」とA「絵を見せない読み聞かせ」は、4ヶ月を迎えようとしています。

 @については、子ども達は最初から食いつきがよく、やる気満々です。しかし、その実態はというと「内容を聞き取るのが苦しい」、「内容を保持できかねる」、「脳裏にある内容をプレゼン出来かねる」子が、8人中2〜3人います。

 4人以外は、まだまだ期待するレベルに達していません。これが現在の実態ではありますが、どの子も実に前向きです。私が「始めるよ」と誘うと、遊んでいたものを片づけて嬉々として集まってきます。

 もともと12:30〜12:50の時間帯は、給食後の自由遊びの時間(12:10頃〜12:55頃)です。子ども達の中では自由遊びより、私との学習時間を楽しみにしてくれているのです。恐らくは、子ども達の意識の中では「遊びの延長」と位置づけられているのだと思われます。

 ちなみに、8月までは「一日10分〜15分」でした。昼寝の直前に「読み聞かせの時間」がありますが、この時間に年長児8人を別室に呼んで、私が担当していました。ところが、9月入所の0歳児が午睡時に泣いて、なかなか寝てくれません。その赤ちゃんのために、この部屋に場所を明け渡すことになりました。 ⇒次善の策として「12:30〜12:50の時間帯」となりました。ピンチはチャンスです。


 子ども達が興味関心を抱くための一番のポイントは、どんな内容を取り上げるかです。毎日3本ずつ、新しい情報を子ども達は知ります。今後取り上げる内容(予定)は、次のように考えています。

便秘になると? 便秘にならないためには?
インフルエンザにかからないために
最近の子どもがよく転ぶ理由は?
火山が起きる仕組みは?

螢の秘密
メダカが減ってきた原因は?
今の新幹線とリニア新幹線
花火は光ると同時にドカンと音がしない?
蚊に刺されたあとはなぜかゆい?
ジェットコースターは逆さになっても落ちない。


 8人を3班に分けて一日3本、それぞれ全員がみんなの前でプレゼンします。

 学力が伸びるカギを握っているのは、記憶力・集中力・学習意欲です。しかし、学力の基盤になっているのが「聞く力」と「話す力」です。現在、保育所で行っている「要約学習」は、それら全ての要素を鍛えようとしています。

 新しい情報を入力する知的な喜び、それを人前で披瀝(プレゼン)出来たときの達成感・満足感。これらが、子ども達の学習意欲を支えていると思っています。小学校入学まで、あと半年弱です。伸ばせるところまで最大限に伸ばして、小学校へ送ろうと肝に銘じている今日この頃です。

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自力読書を期待しながら……


 A「絵を見せない読み聞かせ」については、要約学習に引き続き行っています。子ども達は、脳裏に自分なりの挿絵を描きながら聞くよう、伝えてあります。1ページ〜2ページ朗読しては、立ち止まって挿絵を見せます。

 音声言語だけですから、集中力がないと全くストーリーが絵になりません。挿絵の部分を読み終えると、そのページ(挿絵)をドンと見せてやります。

 子ども達は感じたことを自由発言し始めます。挿絵から気づくことをみんなに伝える子もいます。時には、挿絵と朗読した本文(内容)と比較した感想を言う子もいます。自分の体験を話す子もいます。 ……しばらくは、挿絵をめぐって井戸端会議です。

 最初戸惑っていた子ども達も、この方式にすっかり慣れてくれています。「絵を見せない読み聞かせ」、たんたんと音声朗読のみが耳に入ってきます。一人一人が、その情報からイメージ(挿絵など)を脳裏に展開します。

 この繰り返しが、やがては「自力読書」につながっていると信じて、根気よく、毎日続けてきています。時限爆弾を仕掛けるような気持ちで、毎日こつこつと積み重ねています。

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