@ このままいくと我が国の多くの街は文字通り「空き家だらけのゴーストタウン」になる可能性が高い。住宅市場ではこのところ、毎年90万戸ペースで新築住宅が量産されている。だが、今後新築着工が120万戸ペースに回復すれば、2040年に全国の空き家率は43%、60万戸ペースに激減しても36%になるといった、恐ろしいシミュレーションがある。
A 都市の空き家率が30パーセントを超えると都市環境が悪化し、居住快適性が著しく低下することが研究者の間で知られている。空き家への侵入、放火などの犯罪の原因になる。街が荒れてくると、そこに暮らす人の心も荒む。かつてベルリンの壁が崩壊したとき、旧東ドイツの人々が旧西ドイツに大挙して押し寄せ、東ドイツでは空き家率が30%〜40%の都市が続出。街の荒廃が大きな社会問題となった。
B 空き家が増加する根本的な原因は、新築の造り過ぎだ。戦後の爆発的な人口増加による住宅不足は、とうの昔に解消されている。それにもかかわらず、今は「景気回復のため」として、新築住宅を造り続けてきている。これは「住宅建設は経済効果が高い(景気回復のため)」といった前提に基づくものだ。今後は、新築よりも空き家対策を重視した政策を進めていくべきだ。