@ 今年3月、囲碁の対局で、人工知能を搭載した「アルファ碁」(制作はアメリカの会社)がプロ棋士に4勝1敗で勝利しました。対局した人間は、世界で最も強いと言われている韓国のイ・セドル棋士(33歳)です。コンピュータは1997年、チェス(ヨーロッパで流行している将棋に似たゲーム)のプロに勝ちました。その後、将棋にも勝ちました。しかし、囲碁は人間特有の「大局観」が必要です。プロ棋士に勝つのは難しいだろうと言われてきました。
A アルファ碁では、「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれる処理を使っています。まず、アルファ碁に過去の対戦の棋譜を数多く見せて、パターンを学習させます。この時、棋譜の中の一つ一つの「手」が良かったかどうかも教えます。ここがポイントです。アルファ碁では、これだけで3000万手を入力しました。こうして、アルファ碁は「どこに打つといいか」の“直観”を持ったソフトに育ちました。人間の脳の神経回路を手に入れたのです。
B さらに、アルファ碁同士で対戦させる「強化学習」も行いました。人間でいえば、勉強した後の模擬テストのようなものです。相手に「勝つためには、どこに打つか」を実践的に学習させたわけです。今回の快挙が、人工知能の飛躍につながると言われています。