@ 神風特別攻撃隊「特攻」は、飛行機による死を覚悟した体当たり攻撃として知られています。日本にはもう一つの秘密特攻兵器、人間魚雷「回天」がありました。本来、魚雷は潜水艦から戦艦めがけて発射される全長15m、直径1m
の爆弾兵器です。その兵器の命中率を高めるために魚雷の中に人間が入って操縦し、人間もろともに体当たりし敵艦を沈めるという、恐ろしい兵器に改造したのです。
A 問題は、いざというときの脱出装置がなかったことです。ドイツやイタリアにも人間魚雷はありましたが、脱出装置がちゃんと造ってあり、生きて帰ることを前提に造られていました。それに対して日本の場合、出撃は「死」を意味していたのです。
B 終戦の前年、1944年7月に人間魚雷「回天」が完成。さっそく11月には出撃しました。そして終戦まで約9か月、104人もの若者が海に散っていきました。一方、戦果(沈めた船)と言えば大型船艦はゼロ、小型船ばかりで、しかも沈没4隻、損害5隻に過ぎませんでした。