@ 今(2015.9.16)、国会をめぐっては「安全保障関連法案」の是非をめぐって最終段階に入ろうとしています。政府がこの議案を持ち出してきた背景には、どんなことがあるのでしょうか?
A 一つには、日本近海をめぐる不穏な動きがあります。例えば中国は、尖閣諸島をめぐって領空・領海侵犯事案が頻発しています。韓国との間には竹島問題、慰安婦問題が揺れています。北朝鮮においては核の開発、ロケットの発射実験など、目が離せません。一方、ロシアは特に太平洋沿岸に沿って領空侵犯が頻発しています。もはや日本一国では、有事の際に対応できない事態が予想されます。
B これまで日本は「個別的自衛権」で対応してきています。国連憲章においては、他国から不法な攻撃を受けたときには個別的自衛権を発動し、各国はその攻撃から防衛することが認められています。この度政府が提案しているのは、これに加えて「集団的自衛権」の行使です。これも国連憲章で認められているのですが、いざというとき他国と協力して防衛に当たる権利のことです。政府はアメリカと協力することによって、戦争への抑止力を高めようと国会に提案しているのです。これを「積極的平和外交」と政府は呼んでいます。
C 集団的自衛権を行使する背景には、もう一つ「世界平和に貢献すべきだ」という考えがあります。今も世界では紛争が絶えません。虐殺やテロなどにより、難民も多数出ています。経済大国、日本はもっともっと積極的に働きかけるべきだというのです。
D これに対して、野党の多くは反対しています。その大きな理由の一つが、集団的自衛権の行使は憲法違反だという主張です。集団的自衛権を行使する必要があるなら、憲法を変えるべきだ。国民に信を問うべきだと主張しています。また、集団的自衛権の行使は「戦争の抑止力」になるという考え方に対して、逆に日本は戦争に巻き込まれる危険性が高まるとしています。自衛隊は後方支援とは言っても、米軍指揮下に入ります。敵から見れば前戦も後方支援もありません。
E また、「世界平和に貢献すべきだ。」という意見に対しては、「今日本はPKO(国際平和維持活動)で貢献している。日本は武力を使わず、外交努力を最優先するべきだ。」と主張しています。