要約学習をめぐって
〜研修会参加者の反応〜

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2014.8.21 


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はじめに


 過日、I小学校校内研修にて先生方を児童・生徒に見立てて「要約学習」の授業を行いました。こういうスタイルの研修は初めてでした。意外な効果(?)があることを発見しました。一石二鳥、要約学習の授業を受ける子ども達の立場に立った気持ち、学習効果、疑問なども、同時に体感できるという成果です。以下は、事後感想を紹介しながらコメントを付したものです。

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プレゼンの楽しさを実感



人に伝える(プレゼンする)という行為は
とても楽しくわくわくする行為です。
改めてその喜びを実感されたとのこと。
ぜひ
日頃の授業の中で
こういう場面を創出されることを
期待しています。

要約学習は
短期集中的に行うと
より効果的であることは
A小学校の実践で体感しました。

一つのアイデアとして
国語の説明的文章の学習指導過程でも
導入が可能です。








図(図式)の威力



音声言語(文字言語)だけでの入力は
受信者に集中力と聴解力(読解力)とが
要求されます。

その点
視覚的な伝達手段
例えば
写真・動画・グラフ・図・図式などがあれば
ずいぶん理解が容易になります。

中でも図式は
話の内容の関係性を
視覚的に
一気につかむことができます。

一方
伝える側にとっても
図式が手元(念頭)にあると
スッキリと整理しながら
プレゼンすることができます。













構造的な図式



より洗練された図式が描けるためには
よいサンプルをたくさん見ること
そして
実際に自分で図式を描く機会を
たくさん持つこと。
これが秘訣です。

なお
図式は次のいずれの場面でも
大いに威力を発揮します。
文章の取り込み
聞き取りメモ
作文の構成メモ
スピーチメモ












なぜ音声言語から入るのか?



なぜ要約学習は
音声言語から入るのか?

何と言っても
子ども達は文字言語の要約に
抵抗を持っているからです。

その点
音声言語の聞き取りと伝達は
幼い頃から行っています。
その上
実際に授業を展開してみると
どの教室でも
大いに盛り上がります。
楽しい授業が展開します。

その延長線上に
文字言語があります。
楽しいイメージを抱いたまま
文字言語の世界に入っていくことができます。

音声言語を省略して
文字言語から要約学習を始めると
授業は停滞します。

これは
体験からつかんだ普遍的な事実です。












キーワードはどれか?



プレゼンは1分以内としています。
必然的に
文章のどこを切り捨てるべきか
どこを取り上げるべきか
自問自答します。

なお
調べ学習の際は
筆者が重要と考える大事な部分と
調べ学習主体者(学習者)が
ほしがっていた部分との間に
ズレが生じるケースがあります。

そこが
国語科(読解)による要約と
総合的な学習の時間における
調べ学習との相違点だと
認識しています。








図式を基にプレゼンを構想する



図式を眺めていると
どこがポイントか
どこから始めるか
どう「おち」をつけるべきか
さまざまなアイデアが浮かんできます。

これも「図式」活用のよさです。













図式の威力



調べ学習で取り込んだ情報が
文章のままだと
得てして重複・無理・無駄が生じます。

その点
図式の形で取り込むと
スッキリと整理できます。










低学年では?



私自身
要約学習に取り組むようになって以降
小学校低学年の実践経験がありません。

国語の授業体験を参考にすると
先生が指摘しておられるように
関連する中心的な「絵」を描き
その絵の周囲に
必要な情報を
言葉で書き込んでいく方法が
発達段階に適していると考えています。

来年1月
I小学校2年生を対象に
授業を提示する計画になっています。
教材づくりに
全力を傾注する心づもりでいます。















図式はトレーニングで上達







図式は回数です。
さまざまなパターンの文章を
図式に変換したり
先生や友だちの図式を見たりする体験を
繰り返す中で
徐々に上達します。

図式力が上達すると
読む・聞く
書く・話す
全ての言語能力がレベルアップします。











参考文献



元の文章を丸写しすると
その旨を
どこどこからの「引用」と明記する必要があります。

元の文章を図式化し
図式を基に文章を再現すると
「参考文献」を明示する必要があります。

これらは
情報モラルとして
学校教育の中で
子ども達にしっかりと指導する必要があります。








図式を応用して……!



実際に図式を描いていただくことによって
さまざまなことについて
気づいていただいたように思います。

子ども達には
ぜひ
さまざまな場面で
図式を活用することを
生活に取り入れてほしいと願っています。










要約学習
導入の場(案)


 赤来中学校のように、要約学習を「総合的な学習の時間」に位置づけ、年間通して実践するスタイルが、一番のお勧めです。

 しかし、せっかく設けられた「総合的な学習の時間」は、各学校めいっぱいに活用しておられます。そこに「要約学習」を潜り込ませることは、なかなか難しいという話しも聞きます。

 そこで、例えば次のようなスタイルはいかがでしょうか?

(1) 国語科の時間から捻出する。一つの教材が12時間扱いとなっていれば、そこから1時間、何とか生み出すことは出来ないでしょうか? 要約学習でのねらいと国語科の読解力育成とは、大きく関わっています。

(2) ちょうど「読書の時間(朝読書)」や「基礎ドリルの時間」のように、10分程度の短時間を生みだし、継続するスタイルは採れないでしょうか?

(3) 例えば、毎月第3水曜6時間目にあたる時間を、要約学習に充てることは出来ないものでしょうか? カウントは何にするかは、要約学習の内容によります。

(4) 週休土曜日の活用が考えられます。どうやら東京で一般的になっている「土曜活用」(月2回)が、全国に広げられる方向にあるようです。これを活用できないでしょうか? 講師は、ボランティアで地域から募ります。要約学習のスタイルが理解できれば、指導できる方は沢山おられると思います。

(5) 要約学習の趣旨を常に念頭に置き、全ての教科、教育活動において、「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」を意識的に導入する。

(6) 子ども達の視点に立つと、要約学習で目指している学力「総合的な学力」を伸ばす機会は、学校生活の中にふんだんにあります。「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」の力をつけることを、全ての子ども達が念頭に置き、学校生活を送るだけで、ぜんぜん違います。

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