短歌入門
角川学芸出版
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2015.01.14(水)


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決定版「短歌入門」
角川学芸出版



全体像


人は本を読んだり
新聞の記事などの文章を
読んだりするとき

国語入学試験のように
筆者の意図に沿って
きちんと正確に
読みとろうという意識はありません。

全体的に
流し読みをしながら
自分にとって
有益・有用な内容のか所は
ここぞとばかりに
じっくりと精読します。

そうでないところは
リラックスして
淡々と読みます。

要約学習は
まさにそういう生活読みを
体現しようとしています。

要約学習研修会において
よく出される質問があります。

正しくキーワードを
書き出していない子どもについては
どのように指導するのですか?


私は答えます。

要約学習は
正確な読みと同時に
自分なりに
全身全霊かけて
文章に立ち向かう体験を
とても重視しています。

その子どもは
その文章に
どのように立ち向かったか?
どのように受け取ったか?
そこが重要です。
それこそ生活読みです。

それが出来ていたら
全員が花丸です。

正確に読みとるという読解力は
文章に全身全霊で
立ち向かっているうちに
必ず向上してきます。

友達や指導者の図式を参考に
一段一段
階段を上ってくれればいいのです。


さて
この『短歌入門』は
かなり分厚い本です。
しかし
私の心の琴線に触れた部分は
上の図式の通りです。

本の読み方は
こういう読み方で十分だと
日頃から私は考えています。

同じ本を読んでも
十人十色
百人百葉
三者三様
各人各様
千差万別です。













1300年の歴史


 短歌は、折々に感じたり思ったりした混沌とした「心の中の思い」を、「5・7・5・7・5」の詩型にはめて表出することです。秩序化することによって、心の安定を図るとも言えます。

 短歌は1,300年の歴史を誇っています。リズム感があり、手軽に思いを表出できる詩の形だからだと思います。短歌には、言葉を選択する喜びがあります。削るところは削り、最低限の描写を追求します。

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コメント
よくぞ
神世の昔から
今日に至るまで
人々に愛され
受け継がれてきたことかと思います。

俳句とともに
世界でいちばん短い詩の形。
古来
日本人は
この短歌の形式に見せられてきました。

その魅力はどこにあるのか
筆者は
端的に教えてくれました。








よい作品


 よい作品には、その人の暮らしぶり、その人らしさがにじみ出ています。情があります。その心(情)が「種」(内容)を産みだし、表現を生み出します。次に3つ、例を挙げます。

 一つは表現力です。「さくらばな陽に泡立つを……」と表現すれば、日光の中に咲いている花のさまを生き生きと思い浮かべます。

 二つ目は比喩です。「桃の木は いのりの如く 葉を垂れて 輝く庭に みのる折ふし」と歌えば、桃の木のありさまが目の前に展開します。

 三つ目はノオマトペです。「くいくいと鮭ののぼりゆく」「しゅわしゅわしゅわとセミの鳴く」「つんつんつんと粉雪の舞う」という具合に、ありふれた擬音語・擬態語・擬声語に囚われない表現こそ、短歌の魅力です。

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コメント
さすがです。
なるほどです。
今後の試作に
大いなる参考になりました。









実相観入


 短歌の神髄は、観察です。「実相観入」とは斎藤茂吉の言葉です。徹底して、これでもかというほどに、飽くなく観ることです。たとえばの例を示します。

 ランドセル 背に揺らしつつ 走り行く 男の子に会へり 駅までの道」 ⇒「ランドセル 揺らして走る 男の子 右片方の 靴下ゆるみ」。

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コメント
これまた
実相観入について
感得できる例を
示してもらいました。

この他にも
あらゆる視点から
短歌の魅力・神髄
心得など語ってある本でした。

しかし
私は
ここに書き出した内容が
特に心に残りました。

読書とは
それでいいと思っています。

講演会もそうです。
2時間のお話の中で
何か一つでも
心の琴線に触れることがあれば
話を聞いてよかったと
心から思えるのです。