飯南地域中高一貫教育
現状と課題


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2014.12.12(金)


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全体像



2014.12.11
今年度第2回目の
飯南地域中高一貫教育研究委員会が
開かれました。
この席(協議会)において
これまでの中高一貫教育の流れと
現状・課題について
かいつまんで説明してほしい旨
事務局から依頼がありました。

時間は6分〜7分程度とのこと。
そこで
上の図式を作成し
それに基づいて
テンポよくプレゼンすることにしました。












そもそも
中高一貫教育とは?


 発端は、平成9年6月です。中央教育審議会が公立学校への「中高一貫教育」導入を打ち出しました。趣旨は、主に次の4点です。

1) 受験に振り回されない、ゆとりある安定的な学校生活の実現。
2) 6年間を見通した一貫教育を行うことによって、個性の把握・伸長を図る。
3) 中1から高3まで、異年齢集団の交流・体験活動。
4)
(私立の中高一貫教育とは趣旨が違う。)受験準備に偏した学校教育にならないよう留意する。

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コメント
私立の中高一貫教育校が
東大合格の上位を独占しています。
進学実績を上げている
多くの一貫校は
5年間で教科書を終え
残る1年間は
大学入試に向けて
敢然と立ち向かっています。

しかし
中教審答申で言う
公立の中高一貫校は
趣旨がぜんぜん違います。
言ってみれば
ゆとり教育の理念・考え方を
実現する方途の一つです。








飯南高校は連携型


 公立の中高一貫教育は、学校教育法の一部改正を待って平成11年4月、スタートしました。3累計あります。
1) 中等教育学校
2) 併設型(同一の設置者) 
3) 連携型(異なる設置者)
 ……(1)(2)は都会型。「受験準備に偏しない」と銘打っているにもかかわらず、成績優秀者が集まりようになり、おおむね有名進学校に鳴っています。
 一方、(3)は田舎型、緩やかな連携です。生徒現象に伴う田舎の高校が、生き残りをかけたスタイルとも言われています。

 飯南高校は、この連携型です。平成10年から模索が始まり、平成13年から本格実施となっています。いちばんの特色は、何と言っても授業交流にあります。

 毎週、英・数(以上週2日;2・3年生)・国(週1日;3年生)の授業に、高校から先生がやってこられ、TTで授業に入ります。高校の先生にとっては、中学校ではどんな教科書を使い、どんな授業を行い、生徒はどんな反応をしているか、つぶさに把握することが出来ます。この状況を念頭に、新入生の指導に当たっています。むろん、高校と中学校の教員同士の意思疎通も頻繁に行われています。

 この他にも、3教科以外の授業交流、各種検定試験合同実施、合同勉強合宿、部活動交流など、他の学校では見られない、緊密な交流・連携が展開しています。

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コメント
この飯南町に
中高一貫教育が入っていなかったら

ずいぶん違った風景になっていると思います。

子ども達にとって
地域にとって
ありがたい転機でした。









地元の子は地元の高校へ


 飯南高校は、以前から地元の生徒がこぞって入学しないことに危機感を持っていました。赤来中からは6〜7割、頓原中からは5〜6割の生徒が、おおむね入学してきていました。それにしても、成績上位の生徒は、ことごとく都市部の進学校へ出る状況にありました。

 飯南高校では、平成6年頃から進学実績をまず上げることに全精力を傾けました。国公立大学の入学生を出すことが、いちばんの説得力になると考えたからです。

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コメント
以前
成績上位者は
こぞって町外の高校へ進学していました。
が飯南高校へ入学する生徒の中には
成績優秀者も
毎年いました。
家庭の事情などから
大学進学を考えていない女子生徒が
その例の一つです。

こういう生徒に視点を当て
徹底的に個別指導を行うとともに
進路指導も行われました。

一方
特別奨学金制度も
ひと役買ったと思います。
頓原中・赤来中
それぞれ
成績・人物優秀な入学生
6名ずつ
年間10万円
特別奨学金を贈与! する。
というものです。
この制度で飯南高校へ向かった生徒を
実際に何人か知っています。

それでなくても
町外の高校に進学すると
月に8万円以上
仕送りが必要となります。









町内からも町外からも入学生増!


 飯南高校の努力の甲斐あって、平成10年頃には、国公立大学合格者が(以前は0人)10人台まで出るようになりました。そのころ、期を一にして中高一貫教育が導入されました。飯南高校は、進学実績だけではなく校風面でも魅力が大きくアップしました。結果、赤来中からの進学が8〜9割、頓原中から7〜8割となりました。

 さらには、町外生が皆無に等しかった飯南高校に、町外からどんどん入学生があるようになりました。そのきっかけとなった一つが、飯南町教委が主催した「キラリ! ドリームアップ思援会議」(平成23年〜24年)です。

 今年4月の入学生は80名。その過半数が町外生という、以前には考えられない状況が生まれています。

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コメント
数年前から考えたら
予想だにしなかった
町外から
大挙しての受験生です。

しかしながら
来春の見込みは
町外生がガクンと減るとのこと。

まだまだ
油断なりません。
さらなるてこ入れが必要です。









ペーパーテストのない世界


 ところで、中高一貫教育が導入されて以降、進学に当たってペーパーテストが行われなくなりました。このことに関して、アンケート結果の通りです。特に保護者の間では、勉強やる気を引き出すためにも「ペーパーテスト実施を!」という願いが、ずっとくすぶっています。

 この点、特別選抜試験においては、面接の中に「卒業研究のプレゼン」を入れています。将来に生きてはたらく学力「総合的な学力」を診る、貴重な機会となっています。中3生には、高いハードルとなっています。

 また、内定合格してから中学卒業までの間、内定合格者には高校から5教科に関して課題が出されています。決して楽な課題ではありません。高校入学までに身に付けてほしい学力を伸ばすよう配慮しています。

 こういうことを丁寧に説明して、保護者には理解を得ているところです。

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コメント
町内からの受験生は
推薦入試と同じような扱いとなります。
ペーパーテストはいけません。

これが
油断すると「ゆるみ」につながります。
実際
私自身退職前の
赤来中で勤務した6年間。
学力向上に関しては
生徒のモチベーションを上げることに
精力の大半を費やしました。

また
保護者との関係でも
さまざまなドラマが展開しました。
涙ながらに校長室で
「我が子は一般入試を受験させてください」と
懇願されたケースもありました。









生徒数減


 飯南高校をめぐっては、大きな課題が横たわっています。それは地元の子どもが減少することです。

 島根県教委の規定では、入学生が42人(70人×0.6)を切ると、高校再編計画の俎上に載ると伝えられています。ということは、町外生の入学に期待するしかありません。たまたま今春は、町外から40名以上の入学生がありました。これが、安定的に入ってくるかどうかは、きわめて流動的です。


 地元の子が飯南高校へ、こぞって入学することとあわせて、町外からの入学生を維持する努力が、今後も喫緊の課題となっています

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コメント
そして
最後に課題です。

中高一貫教育と
入学生の確保と
二つのテーマが
ごちゃごちゃになりましたが

確かに言えることは

飯南高校は
地域の誇りです。
地元の宝です。
光輝く学校です。

横たわる課題を解決していくことが
さらなる
飯南高校の魅力につながると
信じている私です。












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