末期ガンの米女性
安楽死

.

2014.11.4(火)


要約学習の部屋に戻る

教材づくりの部屋へ戻る

全体像

朝日新聞
2014.11.4












2014年11月1日
私は死にます


 アメリカの女性、ブリタニーさん(29歳)は今年1月、脳に悪性腫瘍(末期がん)が見つかり、4月に「余命半年」と宣告されました。彼女がユーチューブに「2011年11月1日、私は死にます。」と掲載したことがきっかけで、尊厳死について議論が巻き起こりました。

 オレゴン州では 1997年に「尊厳死法」が成立し、末期患者には安楽死が認められています。ブリタニーさんは迷った末、家族一緒にオレゴン州に移住しました。そして、予告通り 11月1に家族と友人に見守られる中、医師に処方された薬を服用して死亡しました。

.


コメント
まさに賛否両論
議論百出の課題です。
ブリタニーさんの判断については
アメリカでも世論が
まっぷたつに分かれているようです。
処方した医師も
苦しい世界を
漂っておられることと思います。








日本では……?


 安楽死については、アメリカ人の 51% がこれを認めています。医師は「安楽死は自殺幇助だ」と、67% が反対しています。

 日本においては、1995年「東海大学病院事件」があります。多発性骨髄腫で入院していた男性患者に塩化カリウムを投与して死亡させた事件です。横浜地裁は、執行猶予付きの殺人罪の判決をしました。このとき、医師による積極的「安楽死」の要件として、次の4点を挙げています。
@ 耐え難い肉体的苦痛があること。
A 死が避けられずその死期が迫っていること。
B 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がないこと。
C 生命の短縮を承諾する明示の意思表示があること。

 今回のアメリカの事案は上記のケースと違い、医師による「自殺幇助」と言えます。なお、延命治療をしない「尊厳死」については、議員立法を目指す動きもありますが、反対意見も多く、停滞したままとなっています。

.


コメント
以前
コメントの部屋で
緩和医療について取り上げています。
今年3月
大学時代の友人が
脳腫瘍で他界しました。
私自身年齢的にも
いつ何が起こっても
不思議ではありません。
その際
ブリタニーさんの判断には
どちらかというと
私は共感しています。




23.09.18(日) 延命医療か緩和医療か?
26.03.10(月) 友の訃報






教材
上級編


@ アメリカの女性、ブリタニーさん(29歳)は今年1月、脳に悪性腫瘍(末期がん)が見つかり、4月に「余命半年」と宣告されました。彼女がユーチューブに「2011年11月1日、私は死にます。」と投稿したことがきっかけで、尊厳死について議論が巻き起こりました。

A オレゴン州では 1997年に「尊厳死法」が成立し、末期患者には安楽死が認められています。ブリタニーさんは迷った末、家族一緒にオレゴン州に転居しました。そして、予告通り 11月1に家族と友人に見守られる中、医師に処方された薬を服用して死亡しました。

B 日本における安楽死問題については、1995年「東海大学病院事件」があります。多発性骨髄腫で入院していた男性患者に対して、家族から強く請われる形で、医師が塩化カリウムを投与して死亡させた事件です。横浜地裁は下記のうち(T)と(U)が該当しないとし、執行猶予付きの殺人罪の判決を下しました。判決の中で、医師による積極的「安楽死」の要件として次の4点を挙げています。
T) 耐え難い肉体的苦痛があること。
U) 死が避けられず、その死期が迫っていること。
V) 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がないこと。
W) 生命の短縮を承諾する、本人からの意思表示があること。

C 今回のアメリカの事案は「東海大学病院事件」のケースと違い、医師による「自殺幇助」と言えます。なお、延命治療をしない「尊厳死」については、日本では「議員立法」を目指す動きもありますが、反対意見も多く、停滞したままとなっています。

.

※ 自殺幇助 =他人が自殺しようとするのを手助けすること。
※ 尊厳死 =回復の見込みがなく、苦痛の激しい病人に対して、生命維持装置を使わないなどして、自然に死を迎えるようにすること。
※ 安楽死 =回復の見込みがなく、苦痛の激しい病人を、本人の依頼または承諾のもとに人為的に死なせること。