@ 神奈川県の一主婦、鷹巣直美さん(37歳)が始めた「憲法9条にノーベル平和賞を」という動きが急展開しています。今年4月9日、ノルウェー・オスロのノーベル委員会から推薦を受理したとの連絡があり、正式に「ノーベル平和賞」候補になりました。「集団的自衛権」の行使や「改憲(憲法を変える)」が議論される中、「今こそ平和憲法の大切さを世界に広めたい」と願っての行動だそうです。
A この取り組みを始めると協力者が次々現れ、約2万5千人の署名を添えて、今年2月1日にノーベル委員会に推薦書を送りました。受賞者は人物か団体のみで、「憲法」そのものは受賞できません。考えた末、鷹巣さんは受賞者を「日本国民」にしました。
B 2012年の平和賞は、欧州連合(EU)が受賞しています。受賞理由は、「EUは、ヨーロッパの平和と民主主義と人権の向上に貢献した」とされています。鷹巣さんは語っています。「現在のEUには問題もありますが、ノーベル平和賞は、理想に向かって頑張っている人たちを応援する意味もあると思います。日本も9条の理想を実現できているとは言えませんが、9条は受賞する価値はあると思います」。
※ EU =欧州連合。European Unionの略称。ヨーロッパの地域統合体。価値観、平和、市民の福祉を促進することとしている。
C 鷹巣さんは、次のようにも語っています。「日本国憲法は、徹底した戦争の放棄を定めた国際平和主義の憲法です。特に第9条は、戦後、日本国が戦争をできないように日本国政府に歯止めをかける大切な働きをしてきています。実際、日本は今の憲法が出来てから、70年近く戦争をしていません。この間、日本は一人も戦争の犠牲者を出していません。こういう誇るべき歴史を刻んできている日本国民の受賞には、大きな意味があります。これをきっかけに、日本国民が憲法9条を考えたり、平和を考えるたりするきっかけになれば、とても嬉しく思います」。