要約学習
子ども達の描いた
図式
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2014.7.19(土)


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これまで紹介した
生徒作成の図式に加えて
ここでは
若干のコメントを加えながら
再度紹介します。







燃料電池自動車





子ども達の図式


 

「FCV」が
中心に据えられており
情報が四方八方に
分けて紹介されています。
スッキリとした図式です。












これも「FCV」が
中心に据えられており
必要な情報が
ぱっと見て分かります。
左のさし絵は
オリジナルです。
こういう絵図を描くと
脳裏に刻み込まれます。













各段落ごとに
キーワードを抜き出したり
絵にしたりして
まとめています。
全体構造は分かりにくい面がありますが
必要な情報が
きっちりと押さえてあります。













とても丁寧な図式です。
要約学習とは言えない
図式ではありますが
こういう真摯な図式から
正確コンパクトな図式へと
つながっています。













この人は
文章を正確・的確に
読みとっていると
一見して分かります。















まさに要約。
必要最低限の情報を
ぱっぱっと書き出しました。














燃料電池自動車に関して
必要情報を
整理して図式にしています。















電気自動車との違いを
的確に表にしました。
また
販売価格の推移
水素供給システムの推移が
一目瞭然で取得できる
スッキリした図式です。















一番重要だと
本人が考えた
水素燃料・水だけ出す

強調されています。









@ FCV(燃料電池自動車)が注目されています。FCVは、水素を燃料とします。ガソリンは必要ありません。空気中の酸素と反応させて発電し、モーターを動かす車両です。エネルギーを生み出して出てくるのは、水だけです。排気ガスは出てきません。

A トヨタ自動車は、来年2015年にFCVの販売を予定しています。価格は800万円の予定ですが、東京五輪が開催される5年後には、ハイブリッド車の価格(300万円程度)まで安くする見込みです。

B 今のところ、FCVが燃料タンクを満タンにして走れる走行距離は、約480kmです。ひと足先に実用化が進んだ電気自動車は、1回のフル充電で走れる距離が200Kmに過ぎません。その上、電気自動車においては充電時間が15分から30分もかかりますが、FCVの水素充填時間は3分から5分で終わります。ガソリン車とほとんど変わりません。

C 問題は、ガソリンスタンドに「水素供給システム」を整備すること。2015年までに東京など4都市を中心に 100カ所の水素ステーションを設置する計画です。さらに、2025年には全国 1,000カ所、2030年には 5,000カ所に水素ステーションを設置するとのことです。

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※ 水素充填時間 =水素を車のタンクに満たす時間








指導者サンプル












ロボット





子ども達の図式




この子は
絵図化(左)と
図式化(右上)の
両方を書いています。
むろん
左の方が脳裏に
鮮明に残ります。
プレゼンの時には
こちらが有利です。
















これは
スッキリした分かりやすい
優れた図式です。

文章内容が
引き出しに
項目ごとに
きちんと整理整頓されています。
















さし絵が特徴的な図式です。
絵だけで
十分内容が伝わります。
















この図式は
各段落ごとに行われています。
各段落相互の関係
もしくは
文章全体の構造は
未完成となっています。

しかし
こういう図式化作業の積み重ねが
全体構造の図式化へと
レベルアップしていきます。
















この図式も
段落ごとに
文章の流れに沿って
キーワードを抜き出し
矢印などで
内容を関係ずけようとしています。

今後が期待できる図式です。
















この図式は
「産業ロボット」を中心に据え
全体構造を図式にしています。
優れた図式です。















これは
実にスッキリと絞り込んだ
要約を目指した図式です。

これさえあれば
30秒以内にでも
内容を再現できます。















夢のロボットと
産業ロボットとの関係が
表現し切れていませんが
人間と比べて
産業ロボットの優れた点について
端的に図式化しています。










@ まんがやテレビ番組には、『鉄腕アトム』、『ドラえもん』など、人間と同じようなロボットが登場します。その多くは自分で考え、しゃべり、行動しますが、それは人間の空想が生み出した「夢のロボット」です。こんなロボットは完成していません。まだまだ未来の話です。

A 現在、実際に存在するロボットの多くは、「産業ロボット」と呼ばれるものです。例えば、自動車工場では、車体を溶接したり塗装をしたりする作業を行っています。

B ロボットを使うようになった工場では、ロボットが人間の代わりをすることによって、いろいろな問題点が改善されました。例えば、人間が作業していた時に起きていたミスが無くなりました。

C また、人間であれば作業を続けると体が疲れて休養が必要ですが、ロボットは疲れるということがありません。休みなく働きます。さらに、危険な作業で人間が大けがをすることも無くなりました。高温や深海や放射能など、どんな場所での作業もしてくれます。今やロボットは、人間にとって無くてはならない存在となっているのです。

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指導者サンプル

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リニア新幹線





子ども達の図式




ごちゃごちゃしているように見えますが
文章内容が
きちんと整理整頓されています。

今後の課題は
センテンスの抜き出しを
(キー)ワードにすることです。
















矢印が入り組んでいますが
それぞれ
一つ一つの矢印が
役目を果たしています。















リニア新幹線をめぐっての
さまざまな情報について
○内の数字によって
流れを整理しようという
意図が見えます。

今後は
内容に軽重をつけ
より短時間に
内容を再現するときは
どの項目を残すのか
または捨てるのか
ぱっと見て分かる工夫が必要です。















実にスッキリとした図式です。
この図式に
囲み(枠)を書き込むと
全体構造が
よりくっきりと伝わります。















重要事項を
内容別に整理して
コンパクトにまとめました。















一部
絵図化している点
再現するときに
記憶から引き出しやすくなっています。

















多くの図式が採用しているように
最大キーワード(タイトル)を
中央に配して
文章全体を
図式化していることが
ぱっと見てさっと了解できやすい
図式となっているようです。










@ 東京と名古屋の間を 40分で結ぶ「リニア新幹線」が、建設に向けて動き始めています。世界最速の時速500Kmで走行し、東海道新幹線の(東京〜名古屋間)1時間半と比べて、およそ半分の時間に短縮されます。今年度に着工し、13年後の2027年に開業を目指しています。

A リニア新幹線は、磁石の力を利用します。車両の外側に「超電導磁石」という、非常に強力な磁石が貼り付けてあります。また、トンネルの壁には、グルグル巻きの電線(コイル)が取り付けてあります。コイルに電気が流れると磁石になります。この磁石と超電導磁石の間で働く力を使って、車体が浮いたり進んだりするのです。

B 計画では、リニア新幹線は全長(286Km)の ほとんど(約250Km)がトンネルです。都会では地下を走ります。山岳の部分では直線的な最短ルートにしようとすると、山に穴を掘ったトンネルが多くなるのです。さらに騒音対策のため、地上部分のほとんどがフードで覆われる予定です。フードで覆うことにより、風雨や雪の影響が無くなります。また、軌道に動物が入ってくるのを防いだりという効果があります。

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指導者サンプル












地球の温暖化





子ども達の図式




リニアモーターカーの図式と同じく
タイトルを中心に持ってきています。
それを取り巻くように
文章から引き出した
キーワードを配しています。
















これも同じ構造です。
一部を絵図化している点
工夫が見られます。















一見
ごちゃごちゃした印象を受けますが
文章内容が
しっかりと整理整頓された
優れた図式です。
















書き出してほしかった
キーワードが
一部ありませんが
この生徒は
例えば
四万十市の最高気温41度は
全体から見れば
省略しても
差し支えないと
判断したと思われます。
(そう思います。
私の図式もそうしています。)

要約するための
図式化にあたっては
そのぐらいの英断をしながら
図式化させたいものです。

これが
要約力を高める
一つのコツだと思います。















全体的に
ごちゃごちゃしたのが
少し残念ですが

キーワード同士
段落同士を
必死で関係づけようと
努力した跡が伺えます。















「温暖化」の漢字が
間違っていますが
図式の方は
温暖化による恐怖について
しっかりと読みとり
図式化できています。










@ 去年の夏、高知県四万十市で日本観測史上の最高気温、41度に達しました。この温暖化の傾向は、日本に限らず地球規模で起こっています。地球の平均気温はここ130年間で急上昇しており、特に最近の50年間では 1.2度も上昇しています。

A 気温が上昇すると、氷河や南極の氷が溶けて海に流れ出します。また、海水が温められて膨らみます。これによって、海面が上昇してしまいます。ここ100年間で海面は 15cm程度上昇したと言われています。

B 予測では、今後100年間に海面は約80cm上昇し、南太平洋の島国など、海抜の低い多くの土地が海に沈む可能性があります。日本でも沿岸部では、海面上昇によって大きな被害が出ると予想されています。

C 一方、温暖化が進むと気候が激しくなると言われています。集中豪雨などによる洪水が増えたり、竜巻の被害が激増したりします。また、台風の規模も大きくなると考えられています。逆に雨が極端に少なくなり、干ばつが起こる地域も出てきます。

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※ 干ばつ =雨が降らないなどの原因で起こる、地面がカラカラで水不足の状態。








指導者サンプル


いずれも
要約学習を始めて
3時間目に描いた図式です。
図式としては
2回目(2枚目)です。

ここに掲載した作品は
いずれも
図式の趣旨をくみ取り
オリジナル性を発揮しながら
文章と格闘した
優れた図式です。

これからの
さまざまな学習場面で
この図式を活用・応用していくと
どんどん
図式がグレードアップするとともに
聞く力
読む力
話す力
書く力
それぞれが
らせん階段のように
伸びていきます。
期待しています。