要約学習をめぐって
〜研修会参加者の反応〜

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2014.6.28(土)


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はじめに


 過日、N小学校(対象;6年生)で2日間にわたり、計3時間、「要約学習の授業」が行われ、私が授業者を務めました。2日目は授業終了後、研修会も行われました。以下は、事後感想を紹介しながらコメントを付したものです。

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 2014.6.26 N小学校6年生 要約学習(第3時間目の授業)
 2014.6.19 N小学校6年生 要約学習(第2時間目の授業)






小学校2年生で



要約学習の導入段階では
メモをとらせることをしません。
聞き取りから再現を繰り返します。
小学校低学年段階までは
このやり方がメインとなります。

そのうち
聞き取る内容が長くなったり
データが入ってきたり
文章構造が複雑になってくると
必然的にメモの必要性を感じます。

その時点から
図式を書く学習がスタートします。

図式学習をスタートするまでに
図式のサンプルを
折を見て
見せておくと
児童は自然な形で
真似をしようとします。

1年生は
まずは
聞いて ⇒再現する
その繰り返しです。










素晴らしい学習集団



今回授業を参観されて
大きなおみやげは
何と言っても
子ども達の姿だと思います。
参観された先生方には
大いなる刺激を受けられたと
確信しております。

学習規律が確立されており
学習へ立ち向かう姿が
感動的でさえありました。

男女関係なく
良好な人間関係が出来ており
ペア学習
グループ学習も
実に親和的で
実りある学習が成立していました。

最後の全体発表に向けては
大勢の児童の挙手があり
驚いたり感動したりしました。










温かくて
意欲的な学級集団




伝えたいという意欲の高まりが
伝える表情・態度・声になります。
伝える学力が
ぐんぐん伸びます。

一方
そんな友達の姿が
聞く児童の姿を変えます。
そして
聞く力を底上げします。










学習規律が素晴らしい集団



国語科の授業と
テストとの関連について
質問を受ける形で話しました。

要約学習においては
この文章では
このキーワードが抜き出せていないと減点
というように厳密には
私の授業では行ってきていません。

実生活において文章を読む場合
自分が求めている内容を
あぶり出すようにしながら
読み進めます。
キーワードは
読む人によって
また
そのときの求めるものによっても
違ってくるのが実態です。

そういう意味で
一人一人が
全力で文章に立ち向かうこと
その成果を図式という形で
レポートに落とすこと。
このことこそ重要なのです。

図式を見ると
その文章にどのように立ち向かったのかが
つぶさに分かります。

一方では
美しく要約した図式を
その都度その都度
子ども達には提示してやる必要もあります。
これなくしては
やっぱりそれは
授業とは言えません。
指導とは言えません。












教材は
子どもが興味を持って読む内容に!




要約学習においては
指導者(私)が文章を作ります。
その際
子ども達にぜひ読ませたい内容
もですが
それ以上に
子ども達が読みたいと思う内容
読む価値がある題材を求めて探します。

これが
授業の活気を左右する
一つの要素となります。










子どもが自信をつける場を!



子どもが伸びるきっかけは
成功体験です。
要約学習
特にプレゼンも例外ではありません。

なお
とりわけ音声言語の学習においては
子ども達が認め合う場面の創出は
重要な要素だと認識しています。









継続は力なり



要約学習は
我々人間が日常生活
社会生活を送っていく上で
重要な要素を含んでいます。

われわれは毎日
聞くことの連続です。
読むことの連続です。
話す(スピーチ・プレゼンを含む)ことの連続です。
機会は少ないにしても
書くことの連続です。

要約学習においては
その日常生活をピックアップし
授業のまな板に載せます。

そして
再び日常生活へと返していきます。
まさに
生きてはたらく学習です。













認め 褒め 励ます



認め、褒め、励ますことは
子ども(人)をすくすく育てる
基本だと思っています。

要約学習の第一歩としての
幼児教育においては
子どもの話をじっくりと
耳を傾けて聞いてやること。
この積み重ねが
人間教育の基盤にもなっています。


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どの時間を使うか?



教科書教材でも
十分可能です。
じっさい私は
実践してきました。

まずは段落ごとに
図式化・(生徒によっては)絵図化させます。
段落が進むに連れて
これまで読んできた文章のなかで
どのように位置づけられるかが
確定してきます。
図式が膨らんでいきます。
そして
最後に文章全体の図式化です。















将来に生きてはたらく力



この要約学習
とりわけ「図式力」の向上は
教員の力量を高めます。

教員は子ども達の前に立って
話したり説明したりプレゼンしたりの連続です。
上手にプレゼンできる先生のもとでは
子ども達は
日々
プレゼンのお手本を見ていることになります。
これほど優れた学習はありません。












評価との絡みで……



「評価」の話が
研修会の時に出ました。

率直に言います。
評価のために
授業をしているわけではありません。
私は子どもの学力を伸ばすために
授業を行ってきました。
そして
今も要約学習の授業をしています。

あくまでも評価は
副次的なものです。
学習指導要録への記載など
必要に迫られて
そうするように法規で決まっているから
しているに過ぎません。
子ども自身にとっては
関係ない話です。

通信簿は法規にはありません。
学校長がサービスで?
発行しているのです。
この通信簿とて
子どもを認め、励まし、伸ばすことが
全ての原点です。











伝えたくてたまらない



図式もプレゼンも
積み重ねです。
雨垂れ石を穿つ
塵も積もれば山となる

理屈をあれこれ並べて
悩むより
とにかく実践あるべし!

きっと
子ども達の成長に
驚かれると思います。










プレゼンの魅力



基本的には
3年生も6年生も同じです。

6年生にも
厳然たる学力差があります。
その学力差を乗り越えて
この要約学習は
それぞれの能力を一歩でも伸ばそうと
がんばる子どもの姿があります。
知的障碍のある子も
その子なりに頑張れるのが
要約学習です。
そのように授業を展開します。















指導と支援のバランス



要約(図式)の基礎・基本とは
何でしょうか?
改めて考えてみました。

う〜〜ん
やっぱりテクニックではありません。
あえて言うなら
図式一つとってみると
優れた図式と
今後の精進を期待すべき図式とあります。

しかし
これは96点で
その子の図式は26点だと
教師が断じることに
どれほどの意味があるのでしょうか?

範示はしてやらないといけません。
すごい!
と思わせる図式を
教師がで〜〜〜んと
実物投影機で写しだす
その瞬間は大事にしたいと思っています。

一方では
子ども達一人一人の図式は
しっかりと受け止め
認め、励ましてやりたいと
いつも思っています。











小学校1年生は?



学級の実態にもよりますが
私の経験では
低学年段階では
基本的には
音声言語が主流だと認識しています。

『大きなかぶ』のさし絵を描く
これは
とても素晴らしい学習だと思います。
ただ
国語の教科書には
プロの挿絵画家が描かれた
さし絵が
で〜〜〜〜〜んと掲載されています。

話はそれますが
教科書のさし絵は
基本的には「なし」にしてほしいです。
教師が手元に持っていて
必要に応じて
子ども達に提示できる教科書であってほしいです。
子ども達の想像力・創造力を
伸びやかに伸ばすためにも、……。











無理のない範囲で……



こういうスタンスで
お願いしたいと思っています。

今回公開した
要約学習のスタイルが
全てではありません。
国語科・生活科・社会科・理科・算数・
体育・図工・家庭科・……
学校行事・学級行事・……
学級朝礼・学級終礼・学級活動・道徳・……
さまざまな場で
さまざまな工夫で
要約学習を展開していただきたいと
強く願っています。











実践の場は?



学習済みの教材で
要約学習を行うという考え。
一つのグッドアイデアです。

しっかり理解している文章を
図式化するのは
子ども達にとって
ぐんと気分が楽になります。
ハードルも低くなります。

「絵」「図」にする要約も
ぜひ取り組んでください。
とりわけ
学習の遅れがちな子にとっては
文章を絵にして
その絵を基に
文章を再現することは
喜んでやってくれるケースを
少なからず見てきました。







要約学習
導入の場(案)


 赤来中学校のように、要約学習を「総合的な学習の時間」に位置づけ、年間通して実践するスタイルが、一番のお勧めです。

 しかし、せっかく設けられた「総合的な学習の時間」は、各学校めいっぱいに活用しておられます。そこに「要約学習」を潜り込ませることは、なかなか難しいという話しも聞きます。

 そこで、例えば次のようなスタイルはいかがでしょうか?

(1) 国語科の時間から捻出する。一つの教材が12時間扱いとなっていれば、そこから1時間、何とか生み出すことは出来ないでしょうか? 要約学習でのねらいと国語科の読解力育成とは、大きく関わっています。

(2) ちょうど「読書の時間(朝読書)」や「基礎ドリルの時間」のように、10分程度の短時間を生みだし、継続するスタイルは採れないでしょうか?

(3) 例えば、毎月第3水曜6時間目にあたる時間を、要約学習に充てることは出来ないものでしょうか? カウントは何にするかは、要約学習の内容によります。

(4) 週休土曜日の活用が考えられます。どうやら東京で一般的になっている「土曜活用」(月2回)が、全国に広げられる方向にあるようです。これを活用できないでしょうか? 講師は、ボランティアで地域から募ります。要約学習のスタイルが理解できれば、指導できる方は沢山おられると思います。

(5) 要約学習の趣旨を常に念頭に置き、全ての教科、教育活動において、「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」を意識的に導入する。

(6) 子ども達の視点に立つと、要約学習で目指している学力「総合的な学力」を伸ばす機会は、学校生活の中にふんだんにあります。「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」の力をつけることを、全ての子ども達が念頭に置き、学校生活を送るだけで、ぜんぜん違います。

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