要約学習の教材
〜図式(初級編)〜
第3弾
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2014.6.13(金)


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要約学習においては
子ども達に与える文章は
内容的にも構造的にも
当該学年レベルよりも
易しいものを準備します。

特に
導入に当たるところでは
内容・難易度ともに
気を遣います。

大切なのは
聞いたり読んだり
話したり書いたり
その中心に位置している
図式について知ったり
慣れたりすることが
いちばんの主眼です。




ここに紹介するのは
音声言語での学習教材です。

子ども達は2人組とします。
一人が別室で指導者の朗読を聞き
教室に戻ってから
その内容を
ペアの相手に伝えます。

メモを取りながら聞くのか
脳裏にメモしながら聞くのか
鍛える部分が微妙に違います。










@ おなら



 わたしたちは、食べ物を食べるとき、空気もいっしょに飲みこんでいます。飲みこんだ空気は、げっぷになって口から出るのがほとんどですが、食べ物といっしょに、胃や腸へ入る空気もあります。その空気が、小腸・大腸の中をどんどん送られていき、最後におしりから出されます。これが「おなら」です。

 なお、大腸の中には、いろんな種類のバクテリア(細菌)が沢山棲んでいます。バクテリアは、腸の中を通ってくる残りカスをエサにして生きています。食べるとき、エサを腐らせて消化しやすくしています。そのときに臭いガスが発生します。おならが臭いのは、これが原因です。

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図式




















A 蚊



 蚊が人間を刺すのは、人間の血を吸うためです。血は体の外に出ると、固まるという性質があります。そこで蚊は針を刺すと、まず血が固まるのを防ぐ液体を出します。これがかゆみの原因となります。

 蚊は、人間の体から出てくる体温や二酸化炭素を敏感に感じ取って、体にとりつきます。ですから、蚊に刺されやすい人は、体温が高かったり汗かきの人ということになります。血液型は関係ありません。

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B 筋肉痛



 筋肉は、直径約1/10mmという細い繊維状の細胞が寄り集まって出来ています。これを「筋繊維」と言います。筋肉は重いものを持ったり、激しい運動をしたりするなど、使いすぎると筋肉痛になります。筋肉の中に乳酸という物質がたまったり、筋肉の中の血液の流れが悪くなったりして、筋肉の中の酸素が足りなくなると筋肉痛になるのです。

 この場合、筋肉の間を通っている血液の流れをよくしてやると、筋肉痛も和らぎます。運動後に軽い体操をしたり、マッサージをしたりすると、痛みは早く取れます。しかし、筋繊維が切れて出血していることが原因の筋肉痛の場合は、安静にして回復を待つことが大事です。

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C 地獄



 地獄は、人間が考え出した想像上の世界です。地獄が本当にあるかどうかということについては、行って帰ってきた人がいないので、今のところハッキリしていません。

 地獄がどんなところかということについては、国によっても宗教によっても違いがあります。共通していることは、この世で悪いことをした人が行くのが地獄で、よい行いをした人が行くところが天国という点です。

 仏教では、閻魔大王が人間世界での行いを裁き、悪人に対しては「血の池地獄」「炎熱地獄」「極寒地獄」「針地獄」などで、さまざまな拷問を延々と受け続けるのが地獄とされています。

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D 酢



 酢に含まれている主な成分は、酢酸とクエン酸です。いずれも強い酸味(すっぱい)があり、これが健康維持にとてもよいのです。

 例えば、酢酸の酸味は唾液や胃液をたくさん出させる働きがあり、消化を助けたり食欲をわかせたりします。クエン酸は、運動したときに筋肉に増える乳酸を取り除き、疲れを取ってくれます。このような働きがあるため、「酢はスタミナの基」と言われているのです。

 なお、酢酸は強い殺菌作用があるので、魚や肉などを腐りにくくする働きもあります。

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E 土踏まず



 人間の足(くるぶしから下の部分)は、26個の骨が人体と筋肉に支えられて、アーチのようになっています。土踏まずは、アーチの形になっていることによって出来る、足の裏の地面に接しない部分のことを言います。

 土踏まずはクッションの役割をしており、体重を支えたり、歩くときのバネになったりしています。土踏まずが正常に働かないと、足の動きがスムースに行かなくなります。筋肉にかかる負担が大きくなり、血の巡りが悪くなります。疲れやすくなります。

 また、運動不足などが原因で、土踏まずがない「扁平足」になる人があります。扁平足になると、足が疲れやすくなります。長い時間立って仕事をすることが苦しくなります。このことが原因で腰痛になることもあります。

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F いびき



 鼾は、寝ているときにかく大きな音です。息をするとき、空気はのどや鼻を通ります。そのときに、通り道に当たるのどや鼻の内側の粘膜が震うために音が出るのです。

 鼾をかいているときは、たいてい口を開けて仰向けに寝ています。すると、のどの奥の筋肉がゆるむとともに、舌も奥に引っ込みます。こうなると、空気の通り道が狭くなって、ここを勢いよく空気が通過するため、のどの奥の筋肉を震わせるのです。太っている人や鼻が悪くて詰まっている人は、鼾をかきやすいといえます。

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G おしっこと汗



 おしっこと汗は、両方とも血液から造られますが、造られる場所が違います。おしっこは、腎臓で造られます。腎臓は、体の中で要らなくなった老廃物や、余った塩分や水分を血液から採りだしておしっこにしています。汗は、全身皮膚に200万個もある「汗腺」によって、血液から造られます。

 おしっこと汗とでは、成分も違います。おしっこの成分は、水分が95%。残りの5%が尿素・尿酸・塩分・アンモニアなどです。汗の成分は、水分が99%。残りの1%には塩分・乳酸・尿素などが含まれています。

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H お腹が鳴る



 お腹が鳴るときの音は、胃や腸の中にある空気やガスが、胃腸の筋肉の運動によって動かされて出る音です。胃は、食べたものを消化するためにいつも動いています。ところが、食べたものは3〜4時間もするとすべて消化されて、胃から腸へと移動します。空っぽになった胃が動くと、中の空気が動いてグーと鳴るのです。腸の場合は、食べ物を細かくしたり消化したりするときにガスが出ますが、このガスが動いて鳴るのです。

 ちなみに、お腹がすいたこととお腹が鳴るのとは、全く関係がありません。お腹が鳴る時間と、次の食事の時間がちょうど重なるために、お腹が鳴るとまるでお腹が減った合図のように思えるのです。

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I 大気汚染



 大気中には、さまざまな汚染物質が浮かんでいます。このうち、直径が2.5マイクロメートル(2.5ミリの1000分の1)以下の小さな粒子をPM2.5(ピーエムニーテンゴ)と呼んでいます。

 PM2.5は小さくて目に見えないので、吸い込むと肺の奥にまで入ってしまい、鼻、気管、肺などの病気を引き起こすことがあります。2013年ごろから、中国では広い地域で大気汚染が発生するようになり、日本でも環境基準をこえる濃度のPM2.5が観測されるようになりました。

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J 中国の大気汚染



 急激に経済が成長した中国では、北京市やその周りの地域を中心に、大気汚染が深刻な問題になっています。おもな原因の一つ目は、自動車の排気ガスです。中国では、この10年で自動車の数が6倍に増えており、今後もまだ増え続ける見込みです。

 原因の二つ目は、石炭を燃やしたときに出る汚染物質です。石炭は値段が安いので、中国では暖房や発電など、石炭がたくさん使われています。しかし排気をきれいにする設備は、日本ほど整っていません。中国では大気汚染が原因で病気になる人が増えており、特に、子どもやお年寄りに多く被害が出ています。

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K あくび



 あくびは、眠くなったり、疲れたり、退屈したりしたときによく出ます。これらに共通しているのは、脳の活動が低下しているということです。しかし、脳の働きが鈍くなったときに、なぜあくびが出るのかについては、まだよく分かっていません。

 ここから先は想像です。あくびは大きな口を開けます。ふだん動かさない筋肉を思いっきり動かすことによって、脳に強い刺激を与えます。このことによって、脳の活動を目覚めさせることが出来ます。もう一つの想像は、あくびをすることによって空気を思いっきり吸い込みます。このことによって、血液の中に一気に新しい酸素を送り込み、体の活動を目覚めさせることが出来ます。つまり、あくびをすることによって、鈍くなった体に活を入れようとしているのです。

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L 酸性雨



 酸性雨は、pH(水素イオン濃度)が5.6以下の、酸性の成分を多くふくむ雨のことです。酸性雨の原因としては、火力発電所、工場、自動車、飛行機などがあります。石油などの燃料を燃やすと、二酸化硫黄(SO2)が大気に出て、それが雨に溶けて降ると酸性雨になるのです。

 酸性雨が降ると、湖や沼などの水が酸性になり、魚が卵を産まなくなっている例が世界各地に見られます。また、木が枯れたり、コンクリートが溶けたり、建物が弱くなったり、さまざまな被害が出ています。

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M ナメクジ



 ナメクジに塩をかけてみたことはありませんか? ナメクジに塩をかけると、みるみる溶けていきます。いや、実際には溶けているのではなくて、縮んでいるのです。これは浸透圧という作用によって、塩をかけるとナメクジの水分が体外に抜けていく現象なのです。完全に溶けてしまう前に水分を与えると、ナメクジは復活します。また、塩以外に砂糖やコショウなど、水分を吸う性質のものであれば同じ現象が起こります。

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N カタツムリ



 カタツムリは、成長するたびに殻をとりかえるのでしょうか? いいえ、カタツムリの殻もどんどん成長していくので、ずっと同じ殻で暮らしています。殻は、一番外側、最も太い部分の端に新しい殻を追加する形でどんどん大きくしていきます。新しい部分が、古い部分より太いので、だんだんと太い殻に成長するのです。

 殻の中心近くの細い部分は、生まれた直後の若いときに使っていた部分です。実際に使っている(体が入っている)のは、比較的新しい太めの部分だけで、内側の細い部分は使っていません。

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O アマガエル



 アマガエルを「雨蛙」と書くように、昔からアマガエルが鳴くと雨が降ると言われていて、天気予報の発達していない時代には、農作業の目安にもなりました。ちなみに、オスしか鳴きません。

 なぜアマガエルは雨がわかるのでしょうか? それはアマガエルは皮膚が薄いため湿気や気圧の変化に敏感で、雨などの天候の変化にいち早く反応して鳴くからです。これを「レインコール」といい、昼間でも鳴くのが特徴です。

 アマガエルが鳴くのは、繁殖期にオスがメスに自分の存在を知らせる「メイディングコール」もあります。一般的には夜に鳴きます。また、繁殖期以外の賑やかな鳴き方を「シャワーコール」といい、夏の風物詩のひとつです。

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P アメンボ



 アメンボはカメムシ類の仲間で、カメムシのように捕まえたりすると匂いを発します。この匂いが甘い飴に似ているため、棒のように細長い体から飴のような匂いを出す虫ということで「飴ん棒(あめんぼう)」と呼ばれました。それが、今では「アメンボ」という名前になりました。

 池や水たまりを滑るように動いているアメンボですが、水のある所ならどこにでもいるのでしょうか? いいえ、きれいな水じゃないといけません。なぜなら、溺れてしまうからです。アメンボは、脚の先に細かい毛が沢山生えていて、そこから油のような水を弾く成分を出して浮いています。ですから、洗剤や油が浮いていると溺れてしまうんです。

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Q バレンタインデー



 2月14日は、ローマの聖人、バレンタインにちなんだ愛の記念日です。恋人、夫婦、友達、家族など、大切な人に「大切なのよ」と伝える日です。女性から男性へチョコを贈るのは、日本で生まれた風習です。

 バレンタインデーの由来は、3世紀のローマ帝国までさかのぼります。ローマ帝国では、戦う気力が落ちることを心配し、兵士の結婚を禁じていました。しかし、イタリア人のバレンチノ司祭は、恋に落ちた兵士と娘たちをひそかに結婚させてあげました。それを知ったローマ皇帝は怒り、バレンチノ司祭を処刑しました。その後、バレンチノ司祭は聖人として認められ、処刑された2月14日を愛の記念日にしたのです。(バレンチノは英語読みでバレンタインになります。)。

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R ひな人形



 ひな人形は、お内裏様とおひな様が結婚する様子を表しています。どうしてひな祭りにひな人形を飾るのでしょう? 平安時代、貴族の子供達の間で紙の人形でおままごとをする、「ひいな遊び」が盛んに行われていました。「ひいな」とは、小さくてかわいらしいものという意味です。その後、自分の体をなでてけがれを移した「ひとがた」を川に流すようになりました。

 これらが結びついて、けがれを移した人形を川に流す「流しびな」となりました。やがて人形作りの技術が発達すると、川に流さず家に飾るようになりました。そして、江戸時代に3月3日が「桃の節句」と定められると、豪華なひな人形や段飾りが作られるようになりました。

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S 4月入学



 日本では4月に入学するのが当たり前ですが、これは日本独自の文化。多くの国は9月です。では、なぜ日本では4月に入学するようになったのでしょうか?

 江戸時代は寺子屋、私塾、藩校などが学びの場でしたが、特に入学の時期が定められていなかったので、いつでも入学できました。その後、明治時代に西洋の教育が導入されると、高等教育では西洋にならって9月入学が主流となります。

 しかし、国の経済力を強めて軍備を増強する政策により、政府の会計年度が3月末となったり、軍隊の入隊届出開始が4月になったりしたため、小学校や師範学校の入学時期がその影響で4月となり、大正時代には、高校や大学も4月入学になりました。

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