要約学習の教材
〜図式(中級編)〜
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2014.6.11(水)


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中級編の教材として
ここに紹介しましたが
聞き取り問題(聴解力テスト)にすれば
上級編となります。
また
小学校中学年にとっては
上級編となります。

さらに
ここには10編の文章を紹介していますが
文章内容・語句など
難易に差があります。

実際に活用される場合には
優しい言葉に書き換えたり
文章の一部を削除したりするなど
指導者の意図で
自由に加工して使ってください。

なお
図式については
出来るだけ詳しくするようにしています。






この部屋に紹介する文章や図式は
コピーして使ってもらっても
いっこうにかまいません。









@ 腎臓の病気


@ 人間の体の成分の60パーセントは水です。その水の量は、体の中の仕組みによって調節され、いつも一定に保たれています。食べたり飲んだりして、たくさん水分を摂ったときには、体の中の余分な水分は、おしっこや汗となって、体の外に捨てられているのです。

A また、「おしっこ」の中には、腎臓が血の中からより分けた、体にいらなくなった物(体の毒)を含んでいます。これが体の外に捨てられなくなると、体がむくんで(腫れて)きます。そのうちに血管や肺ににまで水がたまり、「尿毒症」(症状は、頭痛・めまい・痺れ・昏睡など)という死に至る怖い病気になります。

B 尿毒症を起こした患者の多くは、腎不全を起こしています。慢性腎不全の場合は、腎臓の機能は二度と復活しません。その場合、「人工透析」を行います。一生透析をしないといけません。

C 特に糖尿病の患者は、腎臓が悪くなる可能性が高いというデータがあります。糖尿病にならないよう、食べ過ぎに注意したり、運動を心がけたりして、肥満にならないよう気をつけましょう。

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※ 人工透析 =腎臓の代わりに、からだの中の老廃物や不要な水分を除去して血液をきれいにする医療行為。






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A ナチュラル・キラー細胞


@ 人間の体は、60兆個もの細胞から出来ています。この細胞一つ一つは、古くなると死んでいきます。代わりの新しい細胞をどんどん造らないといけません。その際、遺伝子の情報(どのような細胞にするのかという設計図)に基づいて、死んでいく細胞と全く同じ特徴を持つ細胞を造ります。

A ところが、さまざまな原因で、正常な細胞とは異なった細胞が出来ることがあります。これが「ガン細胞」です。一日に約5,000個も発生していると言われています。でも、安心してください。ナチュラル・キラー細胞(「生まれながらの殺し屋細胞」という意味)が、このガン細胞を破壊してくれるのです。誕生したばかりのがん細胞を発見しては、たちどころに攻撃して死滅させます。私たちのカラダの中では、毎日毎日、「5,000勝0敗」の闘いが繰り広げられているのです。

B しかし、免疫(ナチュラル・キラー細胞)による監視も、やはりミスが起こります。生き残ったがん細胞は、やがて大きな塊に成長して「癌」になっていくのです。

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B 森林セラピー


@ 森林セラピーは、森林の環境を利用し、医学的に裏付けされた「森林浴」の効果により、心身の健康維持・増進、病気の予防を目指しています。

A 森林浴の効果として第一に挙げられるのは、フトンチッド効果です。森の中に入ると、樹木から出てくるさわやかな香り、枯れ葉やキノコの香りなど、森林特有の香りが漂っています。これがフトンチッドです。「フトン」は植物、「チッド」は殺すという意味のギリシャ語です。フトンチッドとは、もともと植物が他の植物(雑草)や害虫を寄せ付けないため、自分を守るために出している物質のことです。殺菌作用がありますが、人間にとっては心を静めたり、体の痛みを和らげたりする効果があります。

B 二つ目の効果は、森の中の酸素に溢れたきれいな空気に触れることにです。いわば空気浴です。森の中の空気に包まれて軽い運動をすると、血管が鍛えられたり、体の調節機能が高められたりします。

C 三つ目の効果は、森林のなかで心身の休養をすることです。森林の醸し出す癒しの空気に包まれて、ゆったりと過ごすことによって、日頃のストレスも軽くなり、疲れも取れ、おおらかな気持ちになることが出来ます。

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C タバコの害


@ タバコの煙には、ニコチンやタールという、体の害になる物質が含まれています。タバコを吸い続けていると、ニコチンやタールが肺などにどんどんたまっていき、肺ガンや心臓病にかかりやすくなります。

A また、ニコチンは血管を縮ませることが分かっています。血管が縮むと、血管をけいれんさせたり縮めたり、また、血圧を高くしたり、動脈硬化の原因になったりします。

B 一方、タールは癌を起こさせる発ガン物質です。また、胃や腸の働きを悪くします。

C なお、タバコの煙は、吸った煙より吐いた煙の方が有害です。タバコを吸わない人が煙を吸い込むと、タバコを吸う人と同じように体に悪い影響があります。そこで、近年は建物の中での「禁煙」や「分煙」が進んでいます。

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D 死の判定


@ お医者さんが「死」だと判定するのは、「生きている状態から生きていない状態になり、再び生きている状態には戻らない」と確認したときです。

@ 人が死んだかどうか確認するのは、3つあります。一つは、呼吸運動が行われていないことです。呼吸が止まると、酸素を取り込むことが出来なくなります。

B 確認の二つ目は、心臓が止まって呼吸運動が行われていないことです。心臓が止まると血液が体に流れなくなりますすから、酸素や栄養を運ぶことが出来なくなります。こうなると、あっという間に体中の細胞が死滅していきます。

C 確認の三つ目は、黒目の真ん中にある瞳孔です。瞳孔が開いたままだということは、瞳孔の動きを支配する「脳幹」(脳)が働いていないということを意味します。脳が働かなる(脳死状態)と、まもなく心臓・呼吸が停止し、確実に死に至るのです。

D ただ、医学の進歩により、脳死状態に陥っても、心臓や肺を人工的に動かすことができるようになりました。このため、「脳死」の概念が生まれました。そして、脳死を「人の死」と捉えるところから、臓器移植の医療が始まりました。

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E 胃液


@ 食べたものは胃の中の胃液で消化され、吸収しやすい物質に変えられます。胃から分泌される「胃液」には、さまざまな消化酵素の他に、金属を溶かしてしまうほどの塩酸も含まれています。

A しかし、胃は胃液で溶かされることはありません。その秘密は、胃の壁から分泌されるムチンというねばねばした物質にあります。この粘液で胃の表面が覆われているので、胃液で溶かされたり消化されたりということがないのです。

B ただ、食べ過ぎたり飲み過ぎたり、強いストレスが続いたりすると、このムチンという粘液の働きが悪くなります。そうなると、胃液が胃も溶かして胃壁に穴を開けるということも起きます。こういう病気を「胃潰瘍」といいます。

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F メラニン色素


@ 髪の毛や肌の色は、体の中にある「メラニン」という黒い色素(黒い粒)の漁によって決まります。メラニンは、強い光から体を守る働きをしています。

A 肌が黒い人(黒色人種)はアフリカなど、日ざしが強い暑い国に住んでいる人に多く、肌にたくさんのメラニンがあります。メラニンが強い日ざしから守っているのです。髪の毛の縮れも、強い日ざしを防ぐ働きがあります。

B 逆に白色人種は、日ざしの弱い寒い国に住んでいます。日ざしが弱いためメラニンが少なく、肌の色も黒くなりません。髪の毛も金色や銀色や灰色で、中には白髪のように見える人もいます。これはメラニンが少ないためで、白髪ではありません。

C 日本人は黄色人種です。体にメラニンがほどほどにあるため、肌の色は黄色から茶色の間です。また、髪の毛は、黒から黒っぽい茶色です。

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G 傷の修復


@ 手を切ったりしてケガをすると、たちどころに傷口から血が出てきます。人の体は、この血の働きによって傷を治すことを始めます。

A 血管が切れると、血液中からフィブリンという細い糸のようなものが出てきます。このフィブリンは、血小板や赤血球の粒を絡めながら、血の塊を造ります。この塊が少し固くなったのが「かさぶた」です。かさぶたは傷口をふさいで、出血を止めたり、細菌が入ってくるのを防いだりします。

B 同時に傷口で始まるのが、白血球などによるばい菌攻撃です。このことにより、傷口が化膿する(膿む)のを防ぎます。

C 血液などの働きにより傷口を守ってくれていることにより、人の体は傷口を治して元通りにするために、新しい皮膚や皮下組織の細胞をどんどん造ります。ですから、かさぶたは無理に剥がしてはいけません。傷の修復が終わったら、自然にかさぶたは剥がれるようになっているからです。

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H ウイルスと戦う


@ 風邪を引くと鼻がつまるのは、風邪の原因となるウイルスを退治しようとする症状の一つです。鼻の奥のぬるぬるした粘膜には、血管や神経がたくさん集まっており、とても敏感に出来ています。ウイルスが粘膜にとりつくと、これを殺すために白血球がたくさん集まってきます。

A 鼻の粘膜が赤く腫れあがって鼻がつまるのは、ウイルスの出す毒や、ウイルス・白血球の死骸、壊れた細胞などが原因です。これを洗い流そうとするのが鼻水です。

B 一方、ウイルスのの毒は血液にも吸収され、体内を巡って脳へも行きます。すると、脳の中の痛みを感じる神経を刺激して頭痛を起こさせます。また、脳の中の体温を上げる働きをする部分を刺激して、熱が出ます。体温を上げることによって、高温に弱いウイルスの攻撃力を削いでいるのです。

C 風邪を引くとノドが痛くなったり、胃腸が痛くなったりもします。体のそれぞれの場所で、白血球などがウイルスと必死に戦っていることを表しています。咳が出るのは、ウイルスを外に出そうとしているからです。こうやって、人の体は必死にウイルスと戦うように出来ているのです。

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I 血液型


@ 血液の分類は、ABO型でわけています。この型で分類すると血液は、A型、B型、AB型、O型の4つです。

A 血液型が発見されたのは、1901年です。そのときは、A型、B型、C型の3つに分類していました。しかし、1年後にA型とB型の両方の要素を持った「AB型」が新たに発見されました。このことによりC型は、A型とB型の両方の要素を持たない血液型という意味で、0型(ゼロがた)と名づけられました。ところが、その後呼び方が変わって、一般にO型(オウがた)と呼ばれるようになりました。

B 血液の中にある赤血球は、血液の中で1つ1つばらばらに流れています。ところが、異なった血液型の血液が入ってくると、くっついて塊になります。これを、「凝集反応」と呼んでいます。この反応が起こると、血液が血管を塞いでしまいます。その結果、血液は流れなくなり、人は死んでしまいます。

C このため、輸血のときは、基本的には同じ血液型の人の血液をもらわないといけません。

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