要約学習の教材
〜図式(中級編)〜
第2弾
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2014.6.3(火)


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はじめに


 ここに掲載する文章は、中学1年生を想定した「中級」です。したがって、対象学年、子ども達の実態などを考慮の上、さまざまに活用していただきたいと考えています。

 基本的には、聞き取りから文章(読解)への過渡期の教材として作成しました。下は、その場合の学習指導過程のサンプルです。


10分 導入……聞き取りテスト2本
15分 個人学習(各自、手渡された文章の図式を書く)
07分 2人ペア同士が、お互いの図式を頼りにプレゼンし合う。
     
=前半1分は図式メモを見ずにチャレンジ!
07分 同じ文章を図式化したもの同士が、図式を見せ合う。
     ⇒代表者1人を選ぶ。(出来れば見ずに再現できた人)
10分 代表者5人による全体プレゼン。

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@ 新しい感染症
(その1)



@ 2009年、中国の山間部で原因不明の病気が集団発生しました。症状は、発熱の他に吐き気・下痢、神経症状(頭痛・けいれんなど)、そして出血です。血液を検査すると、血小板や白血球が減少していることが分かりました。2年後の2011年になって、病気の原因がSFTSウイルスであることが確認されました。

A SFTSというのは、「重症で熱が出て、血小板が少なくなる病気」という意味です。名前の通り、血液の中の血小板が破壊されてしまいます。血小板は出血を止める大切なものです。最終的には体のアチコチで出血し、血が止まらなくなってしまうという怖い病気です。世界で初めての発見です。「フタトゲチマダニ」というマダニが仲立ちをしていることも分かりました。

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A 新しい感染症
(その2)



B 「フタトゲチマダニ」は、家にいるイエダニなどとは種類が違います。大きさもイエダニなどは1ミリ以下ですが、「フタトゲチマダニ」は3から4ミリ。血を吸うと1センチ以上になります。主に、森林や草地などに生息しています。マダニは人や動物が近づくと、熱や匂いで感知して飛びついてきます。皮膚に管を差し込んで血を吸います。数日間、咬みついたままです。神経を麻痺させるような物質を出すので、咬まれたことに気づきにくいという特徴があります。
 
C 咬まれていることを発見したら、無理に取ろうとしてはいけません。マダニの体がちぎれたり、マダニの体液が体に入ったりする危険があります。すぐに皮膚科に行き、取り除いてもらいましょう。

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B 天体衝突の衝撃
(その1)



@ 2013年2月22日 (金)、 ロシア中部で小惑星の衝突が起きました。NASAの発表によると、直径17m、重さが1万トン、時速65,000Kmの猛スピードで大気圏に突入しました。この突入により、数回にわたって爆発を起こし、衝撃波で1,000人を超えるけが人が出ました。
                     
A しかし、こういう小惑星の衝突は珍しいことではありません。地球には毎日のように天体が衝突しています。「流れ星」は、ごく小さな天体が地球に衝突した時に、大気との摩擦で燃えて光って見える現象で、毎日当たり前のよう起きています。ただ、直径が50mサイズの天体大衝突は、1,000年に1回程度しか起きません。

B 地球上にはたくさんの小惑星の衝突痕があります。地上のクレーターは、170以上確認されています。中には、直径10キロの超巨大な小惑星の衝突で、塵が舞い上がって太陽を遮り、恐竜絶滅の原因となったと考えられている衝突の痕跡もあります。

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※ NASA =アメリカ合衆国の航空宇宙開発専門機関。
※ 痕跡 =過去に何かがあったことを示すあと。













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C 天体衝突の衝撃
(その2)



C こうした小惑星の接近を事前に察知しようと、各国が協力して観測しています。しかし、100m以上のものであれば見つかる可能性がありますが、今回のような数10mの比較的小さい小惑星を見つけるのは、現在の観測能力では困難です。

D ただし、こうした観測で地球に衝突そうな小惑星が見つかったからといって、衝突が回避できるわけではありません。天体に巨大な弾丸をぶつけてその軌道を変えたり、探査機を小惑星に着陸させてエンジンを長時間噴射し続けることによって軌道を変えたりする実験が行われています。いずれも軌道はごくわずかの角度しか変わらないので、早く見つけることが重要です。今回のロシアの出来事をきっかけに、各国が協力して対策を協議してほしいと思います。

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※ 軌道 =人工衛星が通る道すじ。  
※ 回避 =避ける













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D 中国で新たな鳥インフルエンザ



@ 中国で新たな鳥インフルエンザ(H7N9)が発生したことが判明しました。これを受けてWHOは、2013年4月1日、鳥からヒトへの感染があったことを正式発表しました。罹った人のうち、5人に1人がが死亡しています。中国での感染者の例から、H7N9に感染した場合の症状は、重い肺炎です。その他、発熱・咳・息切れなども起きています。

A 本来、鳥インフルエンザウイスルは人に感染することができません。しかし、感染者から見つかったウイルスの遺伝子を分析した結果、遺伝子は人の細胞に感染しやすい形に変化していました。現段階では、人から人へ感染するような変化は起きていませんが、ウイルスが突然変異を繰り返して、人から人に感染する変化を起こす可能性はあります。

B 一方、安心情報もあります。抗インフルエンザ薬の「タミフル」や「リレンザ」などの薬が、調査の結果、症状を改善する働きがあることが分かりました。つまり、H7N9は薬によって治療が可能です。

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E メタンハイドレート



@ メタンハイドレートは、死んだ動物や植物から出たメタンと水からできており、一見すると氷のようで、さわると冷たい。しかし、大量のメタンをふくんでいるため、火を点けると勢いよく燃えて、最後は水しか残らない。そのため、メタンハイドレートは「燃える氷」と言われている。

A メタンハイドレートは、温度が高かったり、圧力が低かったりすると、メタンと水に分解してしまう。温度が低く、高い圧力の場所でしか、固体の状態を保つことができない。そのため、水深500メートル以上の深い海底の下にしか存在しない。

B 日本周辺でも、紀伊半島から九州の南にかけて、北海道の南、佐渡島周辺などに、たくさんのメタンハイドレートがあると考えられている。近年、採掘技術(掘り出す技術)がどんどん進化して、採算(もうけ)が取れるまで、あとひと息というところまで来ている。

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F TPPの目的



@ TPPはそれぞれの国で設定していた「関税」をなくして、もっと自由に貿易にし、経済発展を促すことを目的としています。関税とは、自分の国の産業を守るために、外国からの輸入品に税金を掛ける制度のことです。

A 例えば、日本の農家の方が汗水流して作った米が、10キロ=3000円で販売されているとします。しかし、同じ10キロでもオーストラリアでは、1000円という安価で米を販売しています。これをこのまま輸入してしまうと、日本の米はオーストラリアのお米に値段で負けてしまいます。

B こうなると日本の米は売れなくなり、日本の農業は全滅してしまいます。そこで、オーストラリア米を日本に輸入する際、日本の米と同じような値段にするのが「関税」の役割です。TPPでは、お互いにこの「関税」をなくそうというのです。

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G 農家の所得を増やせ!
(その一)



@ 農業所得は、20年前に比べ半減しています。農家ごとの年間所得を見てみますと、企業化が進む酪農は720万円、養豚は658万円で別格ですが、リンゴやミカンなどの果樹農家で年間170万円、露地野菜は200万円、コメに至っては50万円という少なさです。一般サラリーマンの年収が約500万円と比べると、農業所得の少なさは際立っています。   

A こういう中にあって、いよいよ2013年7月から、日本のTPP交渉参加が始まりました。外国から安い農産物が輸入されるとなると、日本の農業はボロボロになりかねません。そこで、2013年6月、政府の「産業競争力会議」は、農業の競争力強化と所得を倍増するための施策を発表しました。

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※ 所得=働いて得た収入
※ 路地野菜=屋外で採れる野菜













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H 農家の所得を増やせ!
(その二)



B 一つ目は農地の集約です。日本の農業の弱さは、生産コストが高いところにあります。そこで、農地をまとめ、規模を拡大するため「農地集積バンク」を作ります。その上で、企業や意欲ある農家に貸し付ける仕組みをつくるとしています。
 
C 二つ目は、六次産業の活性化です。農産物をそのまま出荷するのではなく、総菜や缶詰などに加工したり、観光産業と連携したり、流通や販売まで行ったりします。このことで、農家の収入を増やすとしています。

D 三つ目は、国内だけでなく、積極的に海外輸出を目指すとしています。安倍総理はすでに「農林水産業・地域の活力創造本部」を立ち上げ、海外輸出に向けて各国を訪問し、売り込みを始めています。

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※ 集積・集約=集めること
※ 六次産業=食品加工(第二次産業)、流通・販売(第三次産業)も農業者が行うこと。













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I 4Kテレビ



@ 今、4Kテレビが注目を浴びている。4Kテレビとは、表示パネルの画素数が、フルハイビジョンの4倍のテレビ。横(水平画素)が3840(約4000)で、1000は1K (キロ)という単位で表されるため、4Kテレビと呼ばれている。

A 現在主流のフルハイビジョンテレビの画素数は、横(水平画素)1920×縦(垂直画素)1080で、縦横合計で207万3600あるが、4Kテレビは、横3840×縦2160で合計829万4400。つまり、フルハイビジョンの4倍の画素数となる。

B 今年5月発売を開始したソニーの場合、価格は49型の32万円から85型の200万円まで、画面の大きさによって値段も異なる。一方、東芝は23万円で40型を発売すると発表した。

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