要約学習の教材
〜図式(初級編)〜
bQ
.
[導入時]

2014.5.26(月)


要約学習の部屋に戻る





特に要約学習導入時においては
生徒に与える文章は
内容的にも構造的にも
易しいものを準備します。
大切なのは
図式の要領をマスターすることです。


 私の体験では、一般的に多くの子ども達にとって「文章を短く書き換える(要約する)」ことには大きな抵抗を示します。ここへ至るまでには、ステップが必要です。

 要約学習のスタートに当たっても、「文章を文章で再現する」学習は扱いません。さまざま試みた結果、音声言語で文章を与え音声言語で再現する(要約する)方法が有力であることを、体験的に知りました。指導者の語りかけや朗読をコンパクトにまとめる(誰かに伝える)という方法です。ちょうど伝言ゲームの要領です。

 その際、最初はメモを取らずに再現することにチャレンジさせます。やり方は2人一組。集団の半数を別室に招き、ここで準備した文章を朗読します。その後、教室に戻ってもらってペアの人に、聞いた内容を再現して伝えます。 ……私の体験では、生徒は意欲的に取り組み、やる気に満ちた雰囲気が広がります。

 次の段階で取り組むのが、メモです。一般的にはメモを取りながら聞いた方が「楽」なのですが、メモの取り方に問題があって、かなり難航します。しかし、文章朗読は1回だけです。メモの取り方で一番まずいのは、速記の如くずらずらと記録しようとする生徒(なぜか女子に多い)です。

 これを突破することが、この段階における指導目標となります。キーワードだけをメモする。さらには、それぞれのキーワードがどのように関連しあっているのか、構造図にする。 ……具体的に優れた「図式」(文章構造図)を示しながら、少しずつ身につけていってもらいます。

 ここに示した短文は、基本的には「聞き取り」(聴解力テスト)用です。が、文章の形で提示して図式化させてもかまいません。

.


この部屋に紹介する文章や図式は
コピーして使ってもらっても
いっこうにかまいません。









          
要約学習の 導入時 に活用する 教材の 例です。
          












@ 緑茶と紅茶


 緑茶を作るには、摘みとったばかりのお茶の葉に熱を加えます。それを乾燥させて作ります。お茶の葉に熱を加えるわけは、葉が茶色くなるのを防ぐためです。

 一方、紅茶は摘みとった葉をほったらかしにして、しおれさせて柔らかくします。その葉を揉み込んで、表面に傷を付けます。こうすることによって、葉が「発酵」という変化を起こしやすくしているのです。この発酵という変化によって、紅茶の色が茶色になるのです。

.






図式化
















A 緑茶のすばらしさ


 緑茶は、苦い味がします。この苦味の基になっているのは、カテキンと呼ばれる物質です。

 このカテキンには、強い殺菌作用があります。口の中の細菌を殺したり、口の中のクサイにおいを防いだりします。また、食中毒を防ぐ効果もあります。緑茶でうがいをすることで、風邪の予防にもなります。

 緑茶には、カテキンの他にも、いろいろなビタミンが含まれているので、日本に昔からある健康的な飲み物なのです。

.






図式化















B 乳歯と永久歯


 人間の歯は、生まれて半年経った頃から生え始めます。3歳くらいまでに、乳歯と呼ばれる歯が、上と下と合わせて20本生えます。

 しかし、これは人間が一生使う歯ではありません。6歳頃から12歳頃までの間に、「永久歯」と呼ばれる歯へと生え替わっていきます。永久歯は28本生えます。

.






図式化















C 乳歯はなぜ抜けるのか?


 乳歯は、小さな顎のサイズに合った歯です。ところが、子供の顎は、成長とともにどんどんに大きくなります。一方、すでに生えてしまった乳歯は、ほとんど大きさが変化しません。もしも仮に、顎が成長しても歯が生え変わらず、乳歯のままだとすると、歯の間に大きな隙間ができてしまいます。

 そこで、子供サイズの乳歯には一度抜けてもらって、大人用サイズの永久歯があらためて生えてくる、という仕組みになっているわけです。

.






図式化















D 歯磨きをしよう


 歯の表面は、エナメル質と呼ばれる固い物質で覆われています。このエナメル質の下には、傷つきやすい神経や血管があります。そこで、丈夫なエナメル質が内部を守っているのです。

 ただし、歯の食べかすが付いたままにしておくと「かす」がたまります。すると、食べかすをえさにする細菌が増えます。細菌はエナメル質を溶かしてしまいます。ですから、歯磨きはとても大事なのです。

.






図式化














E ネズミの歯とゾウの歯


  ネズミの歯は、硬い物をかじってすり減るので、一生伸び続けるようにできています。硬い物をかじらないでいると伸びすぎてしまいます。

 ゾウの歯のうち臼歯は、一生のうちに6回も生え変わります。臼歯は食べ物をすり潰すたびにすり減ってしまうので、新しい歯が次々に押し出されるように生えてくるのです。

.






図式化

















F 消しゴム


 消しゴムは、今から250年前にイギリスで誕生しました。最初は、名前の通り「ゴム」で出来ていましたが、50年くらい前からプラスチックを使った消しゴムが生まれました。

 消しゴムが誕生する前は、パンを練ったものが使われていました。今でも、絵を描く人の間ではパンが使われています。絵を描くための紙は、普通の紙より柔らかいので、パンが使われているのです。

.






図式化
















G 犬の気持ちを知るには?


 犬の気持ちを知るには、どこを見ればいいでしょうか?

 いちばんよく分かるのは、しっぽです。飼い主が外から帰ってくると、犬は思いっきりしっぽを振って、嬉しい気持ちを表します。しっぽを下に下げて、またの間に挟むときは、不安な気持ちやおびえた気持ちを表しています。強い犬に出会ったとき、しっぽをまたの間に挟みます。

 しっぽの他にも、鳴き声や顔つきなどからも、犬の気持ちを知ることが出来ます。

.






図式化















H 犬の鼻


 犬は、あまり目がよくありません。ものを見分けるときには、においで判断します。犬が鼻でにおいをかぎ分ける力は、人間の百万倍と言われています。

 大昔、犬が野生の動物だった頃、自分のなわばりの中に、危険な動物が入ってきていないかどうかは、においでかぎ分けていました。

 こういう「においをかぎ分ける力」を生かして、警察犬や災害救助犬や麻薬探知犬(麻薬をかぎ分ける犬)として活躍しています。

.






図式化















I 携帯電話


 携帯電話が登場してから、いつでもどこでも電話をすることが出来るようになりました。昔から見たら、夢のような話です。とても便利になりました。

 でも、問題もあります。道を歩きながら電話をしたり、自転車に乗ったまま電話をしたりする人がいます。まわりに注意が届かなくなり、とても危険です。

 また、電車やレストランなどで、大きな声で電話をしている姿も見受けます。マナーを守って、携帯電話を使いましょう。

.






図式化















J サボテンのトゲや毛


 サボテンのトゲや毛は、さまざまな働きをしています。

 茎の部分を鳥などに食べられないよう、自分を守っています。強い日ざしや嵐からも、茎を守ります。また、雨の少ない時季には、わずかな水分を集めて根本に落としています。雨が多い時季には、雨が直接、茎にかからないようにしています。

 こうした体のつくりは、厳しい自然の中で生き延びるための智恵です。

.






図式化















K 台風が去った朝


 今年最大の台風が、あちこちに災害をもたらしました。

 台風が去った翌朝、畑を見に出かけた谷山さんは、ガックリと肩を落として「全滅だ」とつぶやきました。どの畑も水浸しです。せっかく育った野菜は泥にまみれて倒れています。「仕方がない。またやり直そう、……」。谷山さんは、気持ちを切り替えるように言いました。

 農業は、自然の恵みを受けるとともに、自然との戦いでもあるんだと思いました。

.






図式化















L 時計


 日時計は、人類が最初に使い始めた時計です。太陽によって出来る、影の動きを利用して時間を知りました。

 しかし、日時計は晴れた日の昼間しか使えません。そこで、水時計や砂時計などが発明されました。そのうち、さらに便利な機械仕掛けの時計が誕生しました。人類は、いつでもどこでも時間を知ることが出来るようになったのです。

 なお、今でも使われている機械時計が右回りなのは、古代の日時計が右回りだったのを受け継いでいるからです。

.






図式化
















M 使い捨てカイロ


 使い捨てのカイロは、どんな仕組みで熱が出てくるのでしょうか?

 使い捨てのカイロの中には、活性炭という炭の粉の他に、鉄の粉、水、塩が入っています。ビニールの袋に入っているのは、外の空気を入れないためです。

 使い捨てカイロをビニールの袋から取り出すと、空気に触れます。すると、鉄の粉が水と反応して熱を出します。こうやって、カイロは温かくなるのです。

.






図式化















N キリン(1)


 キリンは、世界一背が高い動物です。背が高いので、木の高いところの葉っぱも食べることが出来ます。他の動物にえさを奪われることはありません。

 また、高い場所から見下ろすことが出来るので、ライオンなどの敵をいち早く見つけることが出来ます。他の動物は、キリンの様子を見て、危険を知ることが出来ます。キリンは、草原の見張り番でもあるのです。

.






図式化















O キリン(2)


 キリンは背が高くて便利なことがある代わりに、困ったこともあります。一つは、水を飲むときです。足が長いので、足を広げて踏ん張ります。このとき、ライオンなどに襲われたらひとたまりもありません。

 また、背が高いので、頭まで血液を押し上げるのが大変です。ちょっと激しい運動をしただけで、心臓の鼓動が早くなります。キリンが長い時間走ることが出来ないのは、このためです。

.






図式化















P サメ


 サメの歯は、何度でも生え替わります。歯が内側に何重にも並んでいて、抜け落ちたり欠けたりしても、すぐに新しい歯が出てくるようになっています。獲物を捕らえるために、いつも歯がよい状態になければならないからです。

 また、サメは耳と鼻がとても発達しています。遠く離れたところにいる獲物も、かすかなにおいや音を捕らえて見つけることが出来ます。

.






図式化















Q 塩


 塩は昔から、人間にとってなくてはならない重要なものでした。では、塩はどんな役を担ってきているのでしょうか。

 一つは、冷蔵庫がない時代、保存食を作るとき、塩漬けに使われてきました。塩鮭や漬け物など、食べ物が腐るのを防ぐ効果があります。

 塩は調理にも使われます。味付けはもちろんのこと、キュウリに塩をふりかけておくと余分な水分を出してくれます。皮をむいたリンゴを塩水につけておくと色が変わりません。

.






図式化















R 塩分と人間の体


 人の体は約60兆個の細胞が集まってできています。塩分は、その細胞が縮みすぎたり、膨らみすぎたりして壊れないように、調節する役割を果たしています。

 また、食べ物を消化する消化液は、塩分から作られています。胃酸の主成分となり消化を助けたり、バイキンを殺す役割を果たしたり、小腸で栄養素の吸収を助けたりもしています。

 さらに、ものの温かさや冷たさなどの刺激を脳に伝えたり、脳からの命令を筋肉に伝えたりする、神経細胞からの電気信号も、塩分(ナトリウムイオン)が関係しています。

.






図式化
















S カビ


 梅雨に入ると、カビが発生しやすくなります。カビは、どんな条件が揃うと発生するのでしょうか。

 カビが育つには、まず適度な温度と水分が必要です。温かくてしめった風呂場に、カビが増えやすいのはそのためです。

 また、カビのえさとなる栄養分も必要です。食べ物のカスや、体のアカなどがあると、カビが増えやすくなります。

.






図式化