集団的自衛権行使の是非
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2014.5.18(日)


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東シナ海を巡って
中国は
フィリピンやベトナムと
紛争・戦争に発展しかねない
危うい状況にあります。

領有権問題は
日本も他人事ではありません。
尖閣諸島周辺では
不穏な動きが加速しています。

さらに日本は
歴史問題・竹島問題との関わりで
韓国との関係が病んでいます。
北朝鮮問題も横たわっています。

こういう国際状況にあって
安倍政権は
個別的自衛権では
有事の際に
適切に対応できないことなどを理由に
集団的自衛権の行使に向けて
動きを加速させています。

さる5月15日には
安倍首相は記者会見を行いました。
これを受けて
翌日の新聞各社は
この是非について
いっせいに社説に取り上げました。

賛成と反対と
まさに百花繚乱です。

今回は
この問題を取り上げることにしました。






集団的自衛権問題
2014.5.18








反対の社説
朝日新聞/毎日新聞


 主な反対の論拠は、以下の通りです。

 中国に軍拡の口実を与え、むしろ安全保障環境を悪化させる。
 米軍を守るべき状況でも、個別的自衛権で対応できる。
 戦後日本の「平和主義」方針からの逸脱している。
 海外派兵につながるおそれがある。
 憲法改正の厳格な手続きが必要である。

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賛成の社説
〜読売新聞/日本経済新聞/産経新聞〜
〜山陰中央新報〜


 主な賛成の論拠は、以下の通りです。

 安全保障情勢が悪化しており、日米同盟の抑止力を強化するために必要。
 米軍が攻撃されても日本は放置するしかないという状況は、是正すべき。
「積極的平和主義」の具体化には不可欠。
 一国平和主義は通用しない。
 時代の変化に即した憲法解釈の変更は妥当。
 現行の憲法解釈と一定の論理的整合性を保っている、バランスのとれた考え方。

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 毎日  集団的自衛権 根拠なき憲法の破壊だ


 朝日  集団的自衛権 戦争に必要最小限はない


 読売  集団的自衛権 日本存立へ行使「限定容認」せよ

 日経  憲法解釈の変更へ丁寧な説明を

 産経  集団自衛権報告書 「異質の国」脱却の一歩だ
 
 山陰中央新報  安保法制懇報告書/懸念強く慎重な議論を











集団的自衛権行使をめぐって


「集団的自衛権」とは、自国と密接な国が武力攻撃された際に、自国が攻撃されていなくとも実力をもって阻止する権利のことをいいます。

 これは国連憲章によって、各国の固有の権利として認められています。しかし、これまで日本は、「憲法9条によって行使できない」と解釈してきました。

 もともと、憲法9条はいっさいの武力行使を放棄しているように読めます。が、政府は、自衛のための実力行使までは放棄していないと「解釈」しています

 ただし、
憲法9条が許す自衛権の行使は、「自国を守るために必要最小限度の範囲にとどまる」とし、集団的自衛権については、行使が認められないという考え方をしてきました。

 憲法9条と自衛権をめぐる解釈は、戦後さまざまな変遷を経て1981年に固まったとされています。


 しかしながら、北朝鮮の挑発行為や中国の海洋進出など、安全保障環境が脅かされる昨今です。こういうなかにあって安倍政権は、従来の憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権を行使できるようにすることを目指しています。日米同盟の抑止力・実効性を高めるために、どうしても必要だとしています。

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国連憲章 第51条

 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。

 この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

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平和的解決を目指すべき


 賛否両論、その社説を読み比べていると、ふと「理想と現実」という言葉が浮かんできました。

 憲法9条は、まさに戦争放棄の平和憲法です。日本は「個別的自衛権」のもと自衛隊は有してはいますが、憲法9条が歯止めとなって過去70年間、戦争で一人も他国の人を殺していません。殺されてもいません。

 こういう平和憲法を、ノーベル平和賞にという動きもあります。

 2014.5.07 3年生 要約学習「憲法9条がノーベル平和賞か?」

 むろん、こういうとらえ方は「あるべき姿」です。ずっと、こもまま徴兵制度もない、軍事費に莫大な予算を割くこともない、平和な日本であってほしいものです。日本発信の平和な世界構築を目指したいものです。

 しかしながら、現実には南沙諸島を巡って、中国とベトナムが一触即発の状況にあります。ベトナムではデモが暴徒化し、破壊行動にまで発展しています。

 日本も他人事ではありません。尖閣諸島を巡っては緊張関係が激化してきています。中国が実行支配に乗り出したら、海上警察や海上保安船では、ゾウとアリです。ひとたまりもなく尖閣諸島は中国の支配下に置かれると思います。

 では、日米安保条約を結んでいるアメリカが、何とかしてくれるのか? 国際情勢は、そんなに甘くはありません。

 そう考えると、中国に対する「歯止め」は必要かも知れません。しかし、それ(憲法解釈変更)がきっかけとなって、いっそう険悪な関係が助長されるかも知れません。

 そこらあたりが、素人の私には判断がつきかねています。個人的には、尖閣諸島問題は両国の平和的な解決策(どちらの領海でもない、平和的に操業する、共同して資源開発をする、……)を期待しています。

 もともと、地図を眺めていたら「尖閣諸島は、ほんとうに日本の領土なのか?」、私は疑問に思います。それでなくとも、琉球王国を武力で滅ぼし、乗っ取ったのは日本人(薩摩藩)です。もともとは日本の国ではなかったのです。

 現状では、公明党が一つの良識ある見解を示しているように思っています。日々の報道を注意深く見守っていきたいと思っています。

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中3「『正しい言葉』は信じられるか」
出来事のとらえ方
視点の置き方
表現の仕方で
同じ事象であっても
さまざまに伝えることが可能なのが
報道です。