要約学習をめぐって
〜研修会参加者の反応〜

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2013.2.16(日)


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はじめに


 過日、I町教委主催の「要約学習研修会」が行われ、私が講師を務めました。途中で要約の演習を入れ、実践事例を中心に研修を進めていきました。以下は、事後感想を紹介しながらコメントを付しました。

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どのように
要約学習を取り入れるべきか?




趣旨を感得していただき
感謝感激です。
ただ
実際に日々の授業(学校生活)の中で
どのように取り入れていくのか?
そこが問題です。

赤来中のように
「総合的な学習の時間」に位置づけて実施すれば
趣旨に基づいているし
何ら問題ありません。

しかし
各学校
時数が減らされた
「総合的な学習の時間」にあって
そこに潜り込ませることは
おそらく苦しいのではないかと
予想しています。

この件に関しては
改めて一番下に
私の考える案を
述べることにします。










要約学習の
基盤となる学力がないから……




それだからこそ
そういう聞く力・書く力・覚える力……
そういう基礎学力を育成するための
要約学習です。
まさに
その言語力の基盤を鍛えるのが
要約学習なのです。










話を図にする実践を!



速記の訓練をするのが
要約学習ではありません。
講演会を聞きながらメモを取ったり
インタビューしながらメモしたり
そういう
本来あるべき
メモの基礎と応用を鍛える場
それが要約学習です。

なお
図式(メモ)が書けるようになれば
それを手元に
プレゼンの訓練が可能となります。
これを積み重ねていけば
メモなしでも
スピーチできるようになります。

小学校では
その基盤を身につける場にしたいものです。










要約はキーワード



仰せの通りだと思っています。
インプットとアウトプットの
核となる部分
それが要約学習では
「図式」という位置づけです。










まとめる力をつけたい



話し手の話し方が
前後左右、紆余曲折
構想が乱れていると
メモを取る方は当然
苦しい作業となります。

それ以前に
メモを取ろうが取るまいが
分かりにくい話は
理解しにくいということです。

要約学習では
そういう構想力のないスピーチを脱し
聞き手を引きつけるとともに
理解しやすい話し方を身につけていきます。
そのポイントは
図式力です。










要約学習を
発達段階に応じて
どのように進めていくべきか?




こと言語力の育成(成長)ということになると
「心の成長」と似たところがあります。
らせん階段の如く成長していく。
つまり
繰り返しの学習です。

同じ学年でも個人差があります。
どの学年で
どういう要約力をつけるべきか?
などと悩むのは
悩むだけ損です。

系統図を苦労して作っても
おそらく立ち枯れします。

基本的には
音声言語が原点です。
乳幼児期から
子どもの話に耳を傾け
話を引き出すという
親子のコミュニケーションの機会を
少しでも多く持つこと。
これが言語力育成の基盤となります。

先日
○○保育所の所長さんから
電話がありました。
自閉症の傾向のある幼児の
保護者の方から
どう支援していったらいいのか
以前から相談があっていたそうです。

そこで
要約学習研修会で
私が奨励した方法
保育所で体験した出来事について
毎晩
お母さんが一生懸命
その子から
お話を聞くことにされた
そうです。

すると
まだたった十日足らずにも関わらず
その子の表情や
話す姿に変化(成長)が
確かに見られるとのことです。

塵も積もれば山となる
雨だれ石をうがつ










絵が得意なので!



小学校低学年・中学年の時期には
どんどん
文章を絵にする学習を
重ねていってほしいと思います。
この力が伸びれば
説明的な文章の読解はもとより
物語を読んでも
イメージ豊かに読めるようになり
絵本からの卒業
漫画世界からの脱却
が期待できます。










要約力は人生で必要



これまで要約学習や図式を学んでいった
卒業生から
ときどき聞かされる内容です。
受験勉強に役立った。
小論文の時に役立った。
社会人になって
プレゼン力(スピーチ力・伝達力)
コミュニケーション能力の
重要性が
すごくよく分かる。










子どもとともに!



要約学習で体験することは
脳の活性化には
すこぶる寄与しています。
特に
メモしないで聞き取り
それをプレゼンする学習場面では
子ども達は
時にパニックになります。
必死さが伝わってきます。

特別支援学級の児童生徒にとっても
要約学習は
能力開発に
大きく貢献できます。










子どもとともに学びたい



そうです。
要約学習は
心の教育や同和教育と一緒です。
子ども達とともに学ぶ。
グレードアップしていく。
私もそういう意味で
まさに発展途上にあります。










いかに枝葉を切り捨てながら読むか?



要約学習は
話の幹と
話の枝葉とを
明確に区分けしながら
聞いたり読んだり
話したり書いたり
そういう話の構造化を
学んでいきます。










基礎学力をつける
一つの方法




これまで出会った中学生で
いろいろと問題行動を起こす生徒は
ほぼ例外なく
(親に)話を聞いてもらった体験が乏しい
という事実です。

恐らくは
幼少時から
指示・命令・禁止の言葉の洪水
話を聞いてもらえない
ときに悪態をつかれて育った
可能性をいつも感じていました。

まさに単語族。
しかも決定的に語彙不足
人を傷つける語彙が多い
構造的に分かりやすく話せない。

結果
ついつい
苛ついたりキレたりする……!
つまり
コミュニケーションの基礎が
身に付いていないのです。

幼児期にテレビっ子にせずに
いかに忙しくても
親子のコミュニケーション
相手を思いやる
愛情に溢れた
心の通い合う会話を
少しでも多く持つこと。

これは
学力の基盤づくりとともに
心の成長の視点からも
親の責務です。










高校における要約学習



高校生ともなると
社会人になる一歩手前です。
それだけに
要約学習で身につけるべき
総合的な学力が基盤にないと
太刀打ちできません。

高校における授業
受験や就職を念頭に置くとき
先生が書いておられるように
構想力は喫緊の課題です。










生徒とともにスキルアップ!



保育所(幼児)から学び続け
グレードアップしてきた
総合的な学力が
高校生活では
いよいよ試されます。
鍛えられます。
そして
社会人として
また
上級学校の学生として
さらに飛躍の場が待ちかまえています。








要約学習
導入の場(案)


 赤来中学校のように、要約学習を「総合的な学習の時間」に位置づけ、年間通して実践するスタイルが、一番のお勧めです。

 しかし、せっかく設けられた「総合的な学習の時間」は、各学校めいっぱいに活用しておられます。そこに「要約学習」を潜り込ませることは、なかなか難しいという話しも聞きます。

 そこで、例えば次のようなスタイルはいかがでしょうか?

(1) 国語科の時間から捻出する。一つの教材が12時間扱いとなっていれば、そこから1時間、何とか生み出すことは出来ないでしょうか? 要約学習でのねらいと国語科の読解力育成とは、大きく関わっています。

(2) ちょうど「読書の時間(朝読書)」や「基礎ドリルの時間」のように、10分程度の短時間を生みだし、継続するスタイルは採れないでしょうか?

(3) 例えば、毎月第3水曜6時間目にあたる時間を、要約学習に充てることは出来ないものでしょうか? カウントは何にするかは、要約学習の内容によります。

(4) 週休土曜日の活用が考えられます。どうやら東京で一般的になっている「土曜活用」(月2回)が、全国に広げられる方向にあるようです。これを活用できないでしょうか? 講師は、ボランティアで地域から募ります。要約学習のスタイルが理解できれば、指導できる方は沢山おられると思います。

(5) 要約学習の趣旨を常に念頭に置き、全ての教科、教育活動において、「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」を意識的に導入する。

(6) 子ども達の視点に立つと、要約学習で目指している学力「総合的な学力」を伸ばす機会は、学校生活の中にふんだんにあります。「聞く⇒まとめる(図式化)⇒発表」の力をつけることを、全ての子ども達が念頭に置き、学校生活を送るだけで、ぜんぜん違います。

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