@ 養殖とは、魚・貝・海藻などを人工的に飼育・繁殖させることです。この養殖によって生産される水産物が、今や世界全体では半分以上を占めています。そのあり方を大きく変えるかもしれない新たな技術が、日本で開発されました。ヒラメは高級な魚という位置づけが変わり、どこの家庭でも気軽に食べられるようになるかも知れません。
A 大分県佐伯市では、ヒラメの養殖場では「緑色の照明」を使っています。緑の光を浴びて育つヒラメは、エサを食べる量がだんぜん多く、動きも極めて活発です。この結果、成長のスピードがぐんと早まりました。平均でヒラメの重さは 1.6倍になるとともに、以前は1年近くかかっていた出荷までの期間が、9か月に短縮することができました。これによって人件費や燃料代も抑えられ、年間300万円以上も利益が上がったとのことです。
B これを発見したのは、北里大学の高橋明義教授です。白・赤・青・緑の4種類の光で実験を行ったところ、ヒラメに緑の光を当てたとき、最も体が大きくなりました。高橋教授は「ヒラメが多く生息する数十メートルの深さに、ちょうど届くのが緑の光です。本来住む環境に近い光を浴びることによって、動きが活発になり食欲も増すのではないか。」と話しています。