@ 岡山大学医療研究センターは、がん放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」に使う新しい薬(ホウ素)を開発しました。ホウ素をがん細胞に吸収させて、中性子(放射線の一種)を当てると、ホウ素と中性子が「核反応」を起こします。すると放射線が発生し、がん細胞を壊すという仕組みです。正常細胞にほとんど影響がないという長所があります。
A ただ、BNCTは昨年6月に(医療費がぐんと安くなる)保険適用となりましたが、厚労省から許可されたホウ素製剤は、現在ではまだ一種類(頭頸部のがんの治療に使用)しかないという問題点があります。同センターの道上准教授は「この治療方法は頭頸部(頭と首)だけでなく、他の臓器のがんに効く可能性もある。研究を急ぎたい。」と話しています。
B 一方、電気自動車などに使われる「炭化ケイ素(SiC)半導体」技術が、中性子を照射して体内のがんを死滅させる「がん治療装置の小型化」に貢献しています。開発したのは、「福島SiC応用技研」です。これまでのがん治療用の装置と比較して、10分の1の大きさです。大きい装置を利用する場合、中性子などが外に漏れないようにするため建物を建設する必要があります。その点、福島SiC応用技研の場合は小さい装置で大丈夫で、建物を新たに建設する必要がありません。装置を導入する病院側の費用を抑えられる良さがあります。