近年、島根県の教員採用はきわめて厳しい状況にあります。
平成23年度
|
採用人数 |
受験者数 |
今年度
倍率 |
昨年度
倍率 |
小学校 |
80 |
391 |
5.0 |
5.5 |
中学校 |
30 |
378 |
12.6 |
12.3 |
高等学校 |
20 |
339 |
17.1 |
12.6 |
文部科学省のデータを見ると、競争率(倍率)については、(小・中・高平均で)高知県が23.0倍と最も高く、次いで岩手県(20.6倍)、秋田県(20.4倍)、鳥取県(18.3倍)、沖縄県(17.9倍)の順。島根県は10.3倍、全国平均は7.3倍となっています。都会地では、(千葉4.5倍、東京4.7倍など)倍率が緩和されてきています。下表は、全国の採用状況(倍率)です。
採用年度 |
小学校 |
中学校 |
高等学校 |
2001(平成13年度) |
9.3倍 |
16.0倍 |
13.4倍 |
2002(平成14年度) |
6.3倍 |
12.0倍 |
13.9倍 |
2003(平成15年度) |
5.3倍 |
11.8倍 |
13.9倍 |
2004(平成16年度) |
4.8倍 |
11.3倍 |
14.1倍 |
2005(平成17年度) |
4.5倍 |
11.7倍 |
14.0倍 |
2006(平成18年度) |
4.2倍 |
11.7倍 |
13.3倍 |
2007(平成19年度) |
4.6倍 |
9.8倍 |
14.2倍 |
2008(平成20年度) |
4.3倍 |
8.3倍 |
12.8倍 |
2009(平成21年度) |
3.8倍 |
7.4倍 |
8.4倍 |
2010(平成22年度) |
4.3倍 |
7.2倍 |
9.4倍 |
島根県も少しずつ緩和へと向かいつつあります。教員の年齢構成から行くと、40歳代後半から50歳代前半に大きな「山」がありますから、あと4〜5年の辛抱です。
ちなみに、私も教員採用試験に関わっていた時期があります。当時は、小学校教員の採用人数が20名〜25名に対して、受験生が約500人近くいました。50人綴りの解答用紙を採点しながら、「この綴りの中で合格は、たった2人。不合格は48人か!」と、ため息が出るほどでした。その多くが70点台に集中していましたから、まさに1点〜2点の世界で合否が決まっていたと思われます。
ところで、近年の島根県採用試験(内容)ですが、昔(私が受検した頃)と比べて信じられないほど高いハードルとなっています。何と言っても、「模擬授業」がいちばんのネックです。立場上、これまで何人もの受験生を相手に指導をしてきました。
指導をしながら、立場が逆(=受験生)ならと考えると、くらくらがつきそうです。気の毒です。自分の時代に、こんなパターンがなくて本当によかったと思います。
こんな状況ですから、大学を卒業してすぐに採用なんて、とんでもありません。少なくとも教育現場で経験を積まないことには、とても「模擬授業」など太刀打ち出来るとは思えません。
正直な気持ちを述べると、ペーパーテストも模擬授業も小論文も、それはそれで選抜の方法としては致し方ないと思います。でも、人間は総合的に判断されるべき。とりわけ「教員」は、実際に学校に勤務して、生徒と関わって、授業をしたり校務活動をしたり部活動をしたりする中で、適性が見えてくるものです。
ですから、本当に優れた教員を採用しようと思ったら、(校長による)「講師」の評価がいちばん実際的かと思われます。もっとも、公平性について課題があるので、実現は難しいですね。
蛇足ですが、8月と2月には「講師評定」があります。案外、県教委は8月の評価は教員採用試験、2月の評価は4月からの「期限付き講師」採用の参考にしているのかも知れません、……?